第43話【年齢】
売り子だの踊り子だの、よく分からない事をロザリーヌは言っていたが、そーいうのはリズに任せておけばいいだろうとフェアリーは思っていた。
目的はあくまで【水の神殿】にいるウンディーネ様との接触。
ドラゴンがやたらと地球に侵入していることを世界樹さまに伝えるために力を貸してもらうのだ。
「ねぇフェアリー」
隣に座るリズが荷台に揺らされながらこちらの顔を覗き込んできた。
「なんですか?」
「ロザリーヌさん孫がいるんだって。あの見た目で」
「まご? まごってなんですか?」
賑わう大通りの中、フェアリーは聞き返した。
聞いたことがない単語だったからだ。
「あー、孫ってのはあれよ。ロザリーヌさんにはお子さんがいて、そのお子さんにも子供が生まれて、それを孫って言うのよ」
正直フェアリー的には凄くどうでもいい話だったが、また不機嫌になられても困るので相槌は打った。
「なるほど。で、それとロザリーヌさんの見た目と何か関係があるんですか?」
「だってロザリーヌさんあんなに若々しい見た目してるのにお婆ちゃんなのよ? 凄くない? 何歳なのかしら?」
「まぁ、私より年下だと思いますよ?」
「そりゃーそーでしょーよ」
「あらん!? 私より年上なの? 失礼だけど、フェアリーさんはおいくつなの?」
手綱を握るロザリーヌに聞かれ、フェアリーは迷わず答えた。
「さぁ?」
「え? さぁって?」
「数億年なので、細かい年齢はもう正直忘れました」
「数億年? ……あははは。フェアリーさんたら面白い人ね」
ロザリーヌはまったく信じていない様子だったが、フェアリー的には問題ないのでそれまでにした。
別に信じてもらう必要はない。
「ロザリーヌさん。すみませんがまず【水の神殿】に行かせてもらえませんか? 私達はウンディーネ様に会わなければいけないんです」
フェアリーのウンディーネという言葉にロザリーヌは驚いた。
ロザリーヌは手綱を引いているので振り返らず、前を見たまま言葉を返す。
「精霊さまに会うのかい? でも精霊さまは100年に一度しか姿を見せないそうよ? わたしもかれこれ一度も姿を拝んだことがないんよ。会うのは難しいんじゃないかしら……」
「それなら大丈夫ですよ」
言い切ったのはリズだった。
「アタシとフェアリーは精霊さまと会話が出来るんです。だからすぐに姿を見せてくれると思います」
「あらーん……リズさんまで。あんまりお年寄りをからかわないでおくれ」
「嘘じゃないんです。証明しますから【水の神殿】に行きませんか? 3人で」
3人で!? っとフェアリーはギョッとしてリズを見たが無視される。
当のロザリーヌも困ったように苦笑していた。
「ん〜……しょうがないねぇ……まぁ商売は明日からだし、今日はまず【水の神殿】でお祈りをしておこうかね〜」




