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第36話【戦士としては一流だが……】

「サラマンダー様!」


 エタンセルへ帰還し、リズの静止を聞かずに真っ先に【炎の神殿】に駆け付けたフェアリーが叫んだ。

 まだ昼過ぎなので礼拝者たちは多く、そのほとんどが喧しいフェアリーを見ても黙っていた。


 このエタンセルを救った英雄として知られているため。

 そして何よりサラマンダー様と会話できる素晴らしい人間だと思われてるからだ。


『おお、おかえり……ってまたなに怒ってんだよ! 怒りすぎだぞお前!』


 燭台の【消えない炎】から一粒の火球が現れると礼拝者たちは歓喜して祈りを捧げた。

 それらに構わずフェアリーは怒り散らす。


「これが怒らずにいられますか! ドラゴンが地球に2匹も侵入してたんですよ! 2匹もですよ! 2匹!」


『俺に怒鳴られてもよ……』


「わかってます。だから世界樹さまになんとか交信できませんか? もうこれは一言いわないと気が済みません!」


『無理だって! そんなに言いたいならウンディーネ・シルフ・ノームたちを連れてこいよ。そうすりゃ世界樹さまと交信できる』


「ああもう……面倒ですね」


『なーにが面倒だよ! 交信なんてフェアリーなら単独で出来るはずなのに、お前が世界樹さまを怒らせてるからこーなってんだろうが!』


 痛いところを突かれたフェアリーは砂を噛むような顔になるが、その砂を飲み込むように真顔に戻る。


「それは……認めます。ですが一刻も早く世界樹さまに警戒網をもっと強くしろと警告しないと! 今回はたまたま私とリズさんがその場に居たから良かったものの、こんな幸運は何度も続きません!」


『さすがにもうドラゴンは来ないんじゃねぇか? フェアリー達だってそう何度も何度もミスはしねぇだろ?』


「それならそれで結構です。しかし世界樹さまに忠告はさせて頂きます。なので私はこれからウンディーネ様・シルフ様・ノーム様を探そうと思います」


『仕事熱心だねぇ……ならあいつらの居場所を教えてやるよ』



 サラマンダーに四大精霊の居場所を聞いたフェアリーは、イルセラの執務室にリズを呼んで、イルセラとまとめて今後の話を説明した。


「四大精霊を探しに行く!?」


 リズがやたら大袈裟に言った。

 何をそんなに驚いているのか?

 今後の対応としては間違っていないだろうに。


「はい」


「なんで勝手にそんなこと決めてるのよ! せめて相談してからにしてよ!」


「え? 何故ですか?」


「何故って……」


 リズが揺れる瞳でフェアリーを見てきた。

 その顔は、どこか不満そうで、何か言いたそうな顔だった。


「フェアリー。理由を教えてちょうだい」


 机の椅子に座るイルセラに聞かれ、フェアリーは彼女に視点を移して話した。


「本来は一匹たりとも通してはいけないドラゴンを2匹も地球に侵入させています。この事を世界樹さまに強く警告しないといけません。もしかしたらフェアリーの警戒網に穴があるのかもしれないんです。そこを調べてもらうためにも世界樹さまへの交信は不可欠なんです」


「なるほど。確かにあんなのが何匹も現れたら人間はあっという間に滅ぼされてしまうものね」


「ええ。ドラゴンの脅威はイルセラさんもすでにご存知なので、御理解いただけるかと……」


「今さらあなたを疑うわけないでしょう? それでまずは『ウンディーネ様』に会いに【アクアヴェール】へ向かうのね?」


「はい。地図ではそこが一番近かったので。ルートとしてはまず【アクアヴェール】で『ウンディーネ様』。そして『ノーム様』のいる【グランドクリフ】。そして最後は【風の鳴く島】にいる『シルフ様』。この順番で行こうかと思っています」


「かなり長い旅になるわね」


 と言いつつイルセラはリズの顔を一瞥した。

 その顔は明らかに怒っている。

 しかしそれに肝心のフェアリーが気づいていない。


「……リズ。先に行って準備をしてあげて。私はもう少しフェアリーと話があるから」


「……はい」


 静かに答えたリズは、突き刺すような睨みをフェアリーに当ててから部屋を出て行った。

 なぜ睨まれたのか分からないフェアリーは眉を顰める。


「……フェアリー。リズが怒ってることに気づいてる?」


「え?」


 イルセラの言葉に虚を突かれた。

 リズが怒っている?

 なぜ?


「あなたはリズの『使い魔』よ? つまりパートナーなんだから。そういう大きな話は私じゃなくて先にリズにするべきだったわ」


「え? いえ、ですから、ここにリズさんとイルセラさんを呼んでまとめて説明したんですが……」


「それがダメだって言ってるのよ。まずはリズから説明してあげるべきだったの。2人でしっかり話し合ってから決めて、そして私のところに来るべきだったのよあなたは」


「は、はぁ……」


「今後は独断を控えなさい。そしていいタイミングを見つけてちゃんとリズに謝りなさいよ?」


「……あの、それは、何かをする度にリズさんに許可を取らなければいけないということですか?」


「当たり前でしょう? パートナーなんだから。あなたは世界樹さまに許可とか取らないの?」


 世界樹さまに許可なんて取らない。

 そもそもドラゴンが来たら戦えと命令されるが、言われなくても戦うのが我々フェアリーたちだ。

 

 許可なんていちいち待ってられない。

 そんなものを待っていたら先手を取られてしまう。

 だから許可なんて取ったことはない。


 まずフェアリーはそんなに会話などもしないし、出掛けたりもしない。

 ずっとドラゴンの襲撃に備えて待機しているだけだから、許可とかそれ以前の話だった。


 


 

挿絵(By みてみん)

世界樹の妖精フェアリー ???歳 身長170センチ



挿絵(By みてみん)

イルセラの騎士リズ・リンド 15歳 身長155センチ



挿絵(By みてみん)

エタンセルの領主イルセラ・フー・エタンセル

28歳 身長168センチ 

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― 新着の感想 ―
[一言] 強いだけの少女なのか。 まあ、コミュニケーションは難しいもんね。
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