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離れてしまった

レク前日。

何時ものように亜耶と待ち合わせて登校する。


校門では、何時もと違う風景が目に入った。

あぁ、そっか。レクは明日だっけ。

あの行列に並ばなきゃならないのか・・・。

ちょっと面倒臭いが、クジは引かなければならない。

思ったよりも早くに順番が回ってきた。

オレは、箱から一枚の紙を引き出した。

これが、亜耶と同じ班になれるかの運命のクジ。

引く前から、亜耶と同じ班になれるように願ってた。のだが・・・。


「悠磨くん、悠磨くん。何番だった?」

亜耶が、オレの袖を引っ張ってきた。

よっぽど気になるんだろう。

「・・・ん、ああ」

オレは、そう返事をしてまだ開いてもいない紙を広げた。

亜耶が、オレの手元を覗き込んでくる。

「63番だね」

落胆したように言う亜耶。

「亜耶は、何番だった?」

オレは、亜耶に聞いてみる。

「23番だった」

それを聞いて、オレは焦った。

班が別々ってことは、他の他人に亜耶の事を頼まなければならない。

一番避けたかったんだが・・・。

お願いするにも、まだ誰が居るかわからない。

「番号を確認し終えた人から、この掲示板にクラスと名前を記入してください」

役員の声が、あっちこっちで聞こえる。

亜耶は、さっさとサインペンを手にすると、自分の分とオレの分を記入し出す。

オレは、亜耶と同じ班になるヤツを確認する。

そこには、透の名前と泉の名前、それと篠崎先輩の名前が書かれてあった。

よかった、透に亜耶の事を頼むことができる。

後の二枠は、決まってないみたいだが、透に任せれば大丈夫だろう。

他人任せって言われても、こればかりは仕方がない。

オレが側で守れれば一番のベストなんだが、こればかりはどうしようもない。

「あっ、悠磨くん。龍哉くんと一緒だ。いいなぁ」

突然羨ましそうに声をあげる亜耶。

オレは、亜耶の後ろから覗き込むようにして、掲示板を見た。

「本当だな。でも、亜耶のところには、透と泉が一緒じゃん」

オレの言葉に、眉を潜める亜耶。

そして。

「泉さんって、どんな娘なの?」

珍しく亜耶が聞いてきた。

無理もないか。顔合わせはしてるけど、お互い話したこと無いもんなぁ。

そう思いながら、クラスでの彼女の事を思い描く。

「どんな娘って・・・、明るくて、クラスの中心的な娘かな」

これが、一番的を得ていると思うが。

「そうなんだね」

笑顔で答えてはいるが、どこかぎこちない。

どうしたんだ?

オレは、不思議に思いながら。

「篠崎先輩もだよ、亜耶」

そう告げると、自分の班のところを見て、落胆してる。

そう言えば、篠崎先輩って、亜耶を狙ってるって言ってたっけ・・・。

亜耶の不安材料、取り除いてやれればいいんだが・・・。 

そんな事を考えてたら、ツンと服を引っ張られる感じがして、その方を向いた。

「教室に行かないの?」

って、亜耶が小首を傾げてオレを見ている。

何で、そんな可愛い仕草で言うんだよ。

オレは、つい顔を逸らす。赤くなってるだろう顔を見られたくなかったから。

「あぁ、行こうか」

オレは、何気に亜耶の手を繋ぎ歩き出した。

不信がってる亜耶の前を・・・。



亜耶を教室まで送り届け、自分の教室に入る。

掲示板に名前が書かれてあったのだから、透はもう来ている筈。

オレは、教室を見渡して、透を見つけると。

「おはよう、透。明日、亜耶の事頼むな」

そう告げると。

「おはよう。その言い方だと、俺が鞠山さんと同じ班になったんだな。よし、任された」

そう言って、自分の胸を叩く透。

「それから、後な、泉と篠崎先輩も同じ班だった」

オレが追加で告げると透が、頭を抱え込んだ。

急にどうしたんだ?

「それ、本当か?」

確認するように聞いてきた。

「あぁ。しっかり見てきた」

オレの言葉に悶絶する透。

何か、問題があったか?


オレの予想外の事が、起きるなんてこの時は思いもしなかった。


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