Coffee Break : ウイニー王国
Coffee Breakは本編ではありませんが、
その時々の物語の背景となる為、若干ネタバレ要素が含まれる場合があります。
気になる方は飛ばして読んで下さい。
昔々、まだ天に神々が住んでいた頃、神様に愛された天神族のレギと言う名の美しい女性がおりました。
神獣からも愛され、何不自由なく暮らしていたレギは天から下界に住む人々の姿を見るのが大好きでした。
ある日レギはいつもの様に下界を見ていると、お城に住む王子様が祈りを捧げている姿が目に映りました。
レギは一目で王子様に恋をし、自分の主である神様にお願いをしました。
「神様、どうか私を下界に、人間にしては貰えませんか?」
レギを寵愛していた神様は「それは出来ない」と首を縦には振ってくれませんでした。
それでもレギは諦めきれず、ずっと下界を見つめ続けました。
寝食も忘れ、下界を見続けるレギを哀れに思ったユニコーンはレギをこっそり下界へと連れ出しました。
それに気がついた神様は怒り狂い、レギとユニコーンに呪いをかけました。
「お前が私を裏切るならば、お前は一生その姿でいればいい。私を裏切ったユニコーンなぞ、私の怒りをその身に宿し続ければいい!」
レギは青い鳥の姿へと変えられ、ユニコーンは穏やかな心を失い、暴れ回るようになりました。
レギはユニコーンを思い泣き、それでも王子様を見つめ続けました。
春から夏に夏から秋にと季節が巡る中、王子様は何時ものように祈りを捧げていると、いつもこちらを街の民家の屋根から見ている1羽の青い鳥の姿がある事に気がつきました。
(あの鳥は何故何時も彼処にいるのだろう?)
不思議に思いながらも、毎日こちらを見つめてくる鳥に話し掛けるのが王子様の日課となって行きました。
やがて冬が訪れてもレギは王子様のそばに留まって居ました。
どんなに寒くても、レギはとても幸せでした。お城の窓から王子様が笑いかけてくれるだけでレギの心は暖かかったのです。
しかし鳥の体で冬を越すことは難しく、レギはとうとう屋根の上から落ちてしまいました。
いつもの様に王子様が窓の外を覗けば、青い鳥の姿はありませんでした。
不思議に思い、街へと出れば、裏路地で倒れている小さな青い鳥を見つけました。
(何故こんなになるまでこの鳥はここに居たのだろうか)
王子様は哀れに思い、鳥を城へと連れ帰り丁重に弔ってあげることにしました。
王子様が哀れな鳥を思い祈りを捧げると、一頭のドラゴンが城へと降り立ち王子に言いました。
『その哀れな鳥を助けたいか?ならば我が祝福を与えよう。だからどうか彼女を幸せにしてやってくれ』
ドラゴンが息を吹きかければ、小さな鳥は美しい女人の姿へとかわり、人として目を覚ましました。
王子様は一目で恋に落ち、2人は結婚を誓いました。
しかし神様はやはり許すことが出来ませんでした。
今度こそ2人を殺してしまおうと、天から大きな雷を2人へめがけて投げつけます。
すると天に残っていたドラゴンと神獣達が驚いて、一目散に下界へと逃げて行きました。
天に残った天神族と神様はその力を失って、やがて空へと溶けてしまいました。
神様から逃げ延びたレギと王子様は元居た国を離れて、やがてウイニー王国という大きな国を作り幸せに暮らしましたとさ。




