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ギルドの様子


 少年は着替え終わった少女を見て少し恥ずかしそうな顔をしていた。


 メイリルダは、その姿を確認すると、少女を少年の前に連れて行った。


 少女を少年に近づけると、少年は恥ずかしそうにして視線を少女から外したので、メイリルダは、少年の肩に手を置いて少女と対峙するようにさせた。


 少女の方は少年を興味深そうに見ている。


「さあ、可愛いって言ってあげて。可愛いよ」


 メイリルダは、少年の肩を軽く揺すった。


「か・わ・い・い・よ」


 それを聞いて、メイリルダも医師長も微笑んだ。


「そうよ。女の子には、可愛いと言ってあげるのよ。今みたいに、恥ずかしいと思う気持ちになった時は、女の子を褒めてあげるのよ」


「か・わ・い・い・よ」


 少年は、もう一度少女に言った。


 すると、少女は笑顔を少年に向けた。


 そして、少年に近付いて少年の手を取った。


 少年は、一瞬、驚いて少女を見るが、少女の目が少年を慕うような目をしていたので少年も見つめ返していた。


 すると、少女がメイリルダを見た。


「わたし、いっしょがいい、こいつと」


 片言ではあるが、少女がメイリルダに話しかけてきた。


 それを、メイリルダと医師長は聞いて驚いたように少女を見た。


「だめか?」


 驚いて声が出なかったメイリルダに少女が聞いた。


「え、あ、いいわ。いえ、い、一緒に、暮らそう」


 メイリルダは、慌てて少し引き攣った笑顔をして答えた。


「ありがとう」


 少女は、返事をした。


 少女は、昨日、重傷で担ぎ込まれて生死の境にあり、今日は、少年と知らない言葉を喋っていたのに、もう片言でもメイリルダ達の話す南の王国の言葉を話し出したの。


 メイリルダと医師長は、これ程早く少女が言葉を話出したことに驚いていた。


 メイリルダは医師長を見ると2人は目が合い、メイリルダが話し始める前に医師長が声を掛けた。


「メイリルダ。もう、これから先はお前の仕事だ。この少女の怪我は完治していると言っても過言ではない。ここに入院させておく必要など無くなっている。後は、この2人を連れて行って、お前が2人の世話をしておくれ」


 1・2ヶ月は、殆ど泊まり込みで様子を見なければならないかと思っていたのだが、急激な回復により入院させておく必要が無くなった事を本来は喜ぶところなのだが、医師長の思惑を大きく良い方向に回復してしまい、逆に気が抜けてしまったようだ。


 医師長も少女の早過ぎる言語の習得に驚いていたのだが、自分の仕事は、病人と怪我人を治すことなので、治療を必要としないなら、さっさとメイリルダに渡してしまった方が良い。


 少女を入院させておくことで、医務室の警備を強化する必要があったのだが、退院してしまえば、医務室周辺の警備は通常警備に戻すことが可能となる事から、医師長を含めた医師や看護師達の負担が減ることになる。


 その事もあって、医師長は、少女が退院できる事にホッとしたようだ。


 一方、少女の事を任されたメイリルダは、この後の事を考えていたようだ。


(どうしましょう。これ、そのまま寮に連れて行けばいいのかしら?)


 そんな戸惑ったような表情をしていると、医師長が少しイラついたような表情をした。


「何をしている、メイリルダ! 入院させておく必要が無いんだから、さっさと連れて行ってくれ」


 メイリルダは、医師長が素っ気ない様子で追い払うように言うので、その理由が分からなかった。


(どうしたのかしら、なんだか素っ気ないけど?)


 メイリルダが、医師長を見ていると、医師長は椅子の背もたれに体重を預け、右手でこめかみを中指と親指で押さえていた。


 その姿をメイリルダは見つめていた。


 それに医師長は気がついた。


「どうした?」


「え、ああ、はい」


 その返事に医師長は、イラついたようだ。


「あのなぁ、私は、昨日から一睡もしてないんだ。その少女は大丈夫だから、私の睡眠のために早く連れて行ってくれ!」


 その言葉で、メイリルダは医師長が何を考えていたのか理解できたようだ。


「はい」


 そう言うと少年の手を取った。


 少年のもう一方の手は、少女の手を繋いでいたので、そのまま引っ張っていけば、もれなく少女が一緒に付いてくるとメイリルダは思ったようだ。


 案の定、少年と少女はメイリルダと一緒に医務室を出ると、そのまま手を繋いで歩いてくれた。


 医務室を出て、ギルドのロビーに出ると、そのまま、外に出ようとした。


 すると、後ろから焦った様子で、1人の受付嬢が大声でメイリルダを呼んだ。


 なんだと思って声の方向に振り返ると、メイリルダを呼んだ、その受付嬢がメイリルダの所に走ってきた。


 メイリルダは、なんで、そんなに大声で呼ばれなければならないのか、不思議そうに振り返って、自分の方に向かってくる受付嬢を見た。


「メイリルダ、あなた、そんな事していたらダメじゃないの!」


 メイリルダに声をかけてきたのは、仲の良い先輩の受付嬢だった。


 その表情は、とても真剣なもので、ちょっとでも失敗したら爆発しそうなほどだった。


「あのね、この子達は転移者なの。それに、前回、ジェスティエンが転移してきた後だから、ジェスティエンの銃のように強力な武器を発明してくれるかもしれないと思った連中が狙っている可能性があるの! だから、2人を誘拐されないように、しっかり守ってあげないとダメでしょ!」


 メイリルダは、もっともだと思って聞いていた。


 だが、先輩受付嬢は、そんなメイリルダの態度にムッとしていた。


「あのね、外を歩くのなら、あなたは2人の手を繋いであげるの!」


 そう言われて、メイリルダは、少年を見て少女を見ると、少年の手をとって少年は反対側の手で少女の手を握っていたので3人は手で繋がれていた。


 メイリルダは、これなら問題ないだろうと思ったようだが、先輩は気に食わない表情をしていた。


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