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セルレイン達の常識


 セルレインとウィルザイアは、唖然としていた。


 セレインを呼び出した、このギルド支部のギルドマスターであるエリスリーンから聞かされた、セルレイン達が助けた少年と少女は、魔法適性が有った事による。


 この小さな村では、魔法適性の検査を子供にしてはいるが、ここ十数年間、適正のあった子供が現れたとは聞いたことが無かった。


 ただ、魔法適性のある子供は国の保護下に入り、魔法について学ばされ軍なり魔法研究機関に入る事が多いが、転移者についてはギルドの保護下にあるので国から表だった干渉は無い。


 どの国もギルドとは友好関係を結んでおいた方が利益が多い。


 ギルドの召喚獣による労働力、ギルド本部が作る魔道具等、各国より優れた技術が提供されなくなる事を恐れ表立った圧力を掛けてくる事は無い。


 南の王国に現れた転移者について、ギルドの保護下に入ることで南の王国と他国との均衡も保たれていたので、転移者に魔法適性があったとしても南の王国が干渉してくることは無い。


 また、ジューネスティーンより前に現れた転移者において魔法適性があった記録はかなり遡る事になり、ここ数十年は魔法適性無しだった事から、転移者と言っても魔法適性がある人は住民と同程度の確率でしかないと思われていた。


 前回の転移者である、火薬と銃を発明したジェスティエンにも魔法適性が無かった事と、それ以前に現れたウサギの亜人のアリアリーシャ、エルフの二卵性双生児と思われるカミュルイアンとアンジュリーンにも魔法適性は無かった。


 辺境である始まりの村の魔法適性検査においても、一度に2人も魔法適性が有るなんて事は無かった。


 毎年行われている子供達の魔法適性試験において、過去に、この小さな村では、1人の適性者が出たとしても、2人の適性者が出た話を聞いた事が無い事もあり、いくら転移者だったからといって同時に2人の魔法適性が有る人が現れるとは思っていなかった。


「そうなのよね。魔法適性を2人とも持っているとは、誰も思ってなかったのよ。それに2人も冒険者になることを希望したから、なってもらおうと思ったのよ」


 その話を、セルレインとウィルザイアは迷惑そうに聞いていた。


「魔法適性が有れば使っても良いなら丁度良かったわね」


 2人の表情とは裏腹に、エリスリーンの表情は嬉しそうだった。


 2人が子供を一緒のパーティーに入れる事が面倒だと思っていた事もあって、断る理由としての魔法適性だったのだが、その魔法適性を少年と少女の2人が持っていると聞いて断る理由が潰され、それ以上の断る理由が出てこなくて困っていた。


 そんな2人にエリスリーンは、思惑通りセルレインのパーティーにジューネスティーン達を組み込ませられる可能性が高くなったと思ったようだ。


「どうでしょう。あなた方なら、2人を助けたパーティーという事もあるから、これから先、冒険者として活動しようとする2人に実績のある冒険者の元で基本を覚えてもらいたいと思っているのよ」


 セルレイン達は、エリスリーンが自分達を評価してくれているのでは無いかと思ったのか、エリスリーンの言葉に興味を示した。


「それに、これは依頼だから、2人をメンバーとして受け入れてくれるのであれば、ギルドから報酬も出させてもらうわ」


 そう言うと、エリスリーンはテーブルの上に中銀貨6枚を置いた。


 6枚というのは、セルレイン達のパーティーが6人だった事から簡単に配布出来るようにと配慮していた。


 そして、中銀貨1枚は、最低通貨の白銅貨100万枚に相当するので、セルレインとウィルザイアは、その金額に息を呑んだ。


「受け入れてくれるというのなら、これは、契約金として、そちらのパーティーに渡します。契約期間は半年間としますが、その契約期間が終わった際は、今の金額の10倍を支払う事になります」


 その話を聞いて、更に2人は固まった。


 以前の、2人をギルドに届けた時の報酬額も高額だったが、今回の金額にも驚いたのだ。


「ああ、それと、2人の成長の様子によっては、ボーナスも出る事になるわ。だから、ギルドとして、君達には損をさせるつもりはないから安心して下さい」


 エリスリーンは、ギルドとしてジューネスティーンとシュレイノリアの2人を確実に冒険者として育てたいと考えているため、セルレイン達に預けた際、しばらくは魔物の討伐も減る可能性を考慮して契約金を用意した。


 その間の不足分の補填を考えていたのだろうが、セルレイン達からしたら自分達の稼ぎ以上の金額となっている事もあったので驚いていた。


 そして、法外な報酬については、ジューネスティーン達を冒険者として育てる以外の意味もあった。


「それと、君達に、2人を預けるのは、2人の安全もお願いしたいのよ」


 エリスリーンの言葉を聞いた2人は、何の事だと思ったようだ。


「あなた達は、ジェスティエンという冒険者について知っている事はある?」


 その名前を聞いて、2人にも思い当たる事はあった。


「それって、あの少年の前に現れた転移者ですよね」


「そうよ。火薬とかいうものを使って、鉄の玉を撃ち出すとか。それも、遠くの獲物でも簡単に殺せるとかって話よね」


「ああ、それを撃つ時って、なんか、とんでもないデカイ音を立てるとかって聞いたぞ」


 セルレインとウィルザイアが、ジェスティエンについて知っている事を話し出したので、エリスリーンは黙って2人の話を聞いていた。


 エリスリーンは、2人が、どの程度まで、ジェスティエンの事を知っているのか確認していた。


 ただ、話しをしている2人は、それが、ジューネスティーン達と、どう繋がるのか気になったようだ。


 その疑問を知りたいと思ったのか、2人は、エリスリーンを見た。


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