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ヲンムンとアメルーミラ


 ヲンムン軍曹は、困った表情をした。


 それは、潜り込ませているアメルーミラをどうするのかと思ったからだ。


 ジューネスティーン達と敵対的な関係は避けるのであれば、アメルーミラをスパイとして潜り込ませているのは、問題があるのではないかと思えたのだ。


「メイカリア中佐。 潜り込ませた奴隷はいかがいたしましょうか? 」


 内部情報を調べるために、ヲンムンは、命令を受けて、亜人奴隷をジューネスティーンのパーティーに潜り込ませている。


「ああ、それが有ったな。 ・・・。 そうだな、引き続き、話は聞くように、だが、あまり、乱暴な扱いはするなよ。 どんな事があっても、ジューネスティーン達とは敵対関係にはしたくない。 だからくれぐれも奴隷のような扱いはするな。 貴重な協力者として扱うようにせよ。」


「ハッ! 」


 ヲンムン軍曹は、メイカリア中佐に答える。


「君らの話も近くから見て貴重な報告をあげてもらえたが、その奴隷は、パーティー内から見ていたのなら、違う視点からの報告が聞けるだろう。 それも貴重な報告になるので、丁寧に確認しておくようにするんだぞ。」


 メイカリア中佐は、聞いている亜人奴隷が、女性の猫の亜人だと聞いていたこともあり、男のヲンムン軍曹に、釘を刺すように注意した。


 ヲンムン軍曹としたら、随分と細かな指示をすると思ったようだが、これから先は、報告を受ける時の対応を考えていたのか、話を聞くと、すぐに考え出していた。


 メイカリア中佐としたら、何かあった時の保険も兼ねて細かな注意をしたのか、そんなヲンムン軍曹を、一瞬、鋭い視線で見るが、すぐに表情を戻した。


「そういえば、ジューネスティーン達は、まだ、戻ってきてないな。 ツカ少佐が、色々と根回しをして、あちこちで、足止めしていたようだから、帝都に帰ってくるまで、時間がかかるだろう。」


 メイカリア中佐は、そこまで言うと、ヲンムン軍曹に何か思ところがあったようだ。


(そういえば、ヲンムン軍曹は、ツカ辺境伯領から帰って、様子が変わったように思えるな。)


 一緒にツカ辺境伯領へ行った、コリン少尉とメイミン曹長を見た。


(2人の仕事っぷりに感化されたのかもしれないな。 ・・・。 これによって、ヲンムン軍曹が、伸びてくれれば、それに越した事はないな。)


 メイカリア中佐は、肩の力が抜けたような態度をすると、ヲンムン軍曹を見た。


「ジューネスティーン達が帝都に戻ってくるまでは、今までの報告をまとめるなり、これから必要になりそうなものを確認するなりしておくように。」


 メイカリアは、ヲンムン軍曹に簡単な仕事を任せるだけにして、ジューネスティーン達が戻って来るまで、半分休暇のような仕事を与えた。


「かしこまりました。」


 ヲンムン軍曹が、答えるが、メイカリア中佐の真意まで、理解できたかは、その表情からは窺えなかった。




すると、メイカリア中佐は、何かを思い出したようだ。


「そうそう、君達が急いで帰ってくる時、ジュネスティーン達は、途中で、盗賊団を一網打尽にしたらしいぞ。」


 ヲンムン軍曹もだが、コリン少尉達も、その話を聞いて驚いている。


「なんでも、ツカ少佐が、何か策を巡らせたらしいが、彼らが、斜め上をいってしまっていたらしく、討伐隊が到着した時には、盗賊団は、全員、彼らの手によって、捕らえられた後だったそうだ。」


 コリン少尉とメイミン曹長は、気まずそうな表情をしていた。


「ああ、この件は、君たちの仕事とは関係ない。 君たちの仕事は、あくまで、ツノネズミリスの討伐の状況の確認にあった。 だから、ツカ辺境伯領の案件は、関係無い。」


 メイカリア中佐は、盗賊団の逮捕について話をすると、もう一つ思い出したようだ。


「それと、ジュネスティーン達が、ツカラ平原で、最初の野営をした時に、ツカラ平原に出ていたサーベルタイガーも撃退したようだ。 もし、私が、君たちにジューネスティーン達と同等の速度を出せる地竜を用意できたら、その様子も確認させることができたのだが、残念だったよ。」


 その話を聞いて、コリン少尉とメイミン曹長は、血の気が引いたようだ。


 ただ、メイカリア中佐は、自分が、地竜を用意できなかったと言ったので、助かったと思ったようだ。


「いずれにせよ、彼らの装備もだが、魔法に対する知識も豊富なようだ。 それにユーリカリアのパーティーか。 彼女達は、外人部隊の傭兵として、雇いたいくらいだな。」


 メイカリア中佐は、半分冗談まじりに話しをした。


 しかし、コリン少尉とメイミン曹長としたら、ちょっと心配要素のある発言だったようだ。



 そして、メイカリア中佐は、ヲルンジョン少尉の顔をチラリと見た。


(こいつは、この会議中に、話をしたのは1回きりだった。 発言内容も、稚拙な内容だったな。)


 メイカリア中佐は、何か考えを巡らしているようだ。


(こういった小者は、大体、コソコソと、しょうもないことをしている事が多い。 まあ、注意しておく必要はあるだろう。)


 そして、ヲンムン軍曹を見た。


(この男も、この小者の下で、嫌気を感じているようだな。 ツカ辺境伯領へ行く前の軍曹と帰った後の軍曹なら、帰った後の軍曹は、考え方も変わったように思える。 どうしようもない上司の下だと、部下は、やる気を削がれるからな。 コリン少尉達と一緒に居て意識が変わったと思って良いだろうな。)


 そして、一瞬、鋭い視線をメイカリア中佐は、ヲルンジョン少尉に送った。


 しかし、すぐにいつもの表情に戻していた。


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