魔法訓練 〜ユーリカリアとシェルリーンのトラウマ〜
ジューネスティーンは、シュレイノリアと共に、ユーリカリアとシェルリーンの魔法を見る事になった。
そして、ウィルリーンも4人の様子を確認するように、一歩下がって見ていた。
ユーリカリアとシェルリーンは、火魔法を使えない。
ユーリカリアの可能性としては、自分の生まれた村を出る際に火傷を負ったことが原因で、火に対するトラウマがあるように思える。
ただ、シェルリーンにおいては、火に慣れてないので、火魔法が使えない可能性が高かった。
そんなこともあって、ツノネズミリスの討伐の時は、使える魔法を優先して強化していった。
時間的な猶予が無かったので、攻撃可能な魔法で、威力が高そうなものを集中的に伸ばす事を考えた。
ただ、今回は、時間的な猶予があるので、何とか、2人にも火魔法を使えるようにできないかと思ったのだ。
ユーリカリアは、火事によるトラウマなので、その火に対する影響を確認する必要があった。
「では、ユーリカリアさんとシェルリーンさんは、火に対する影響を確認するところから、始めるようにします。」
ユーリカリアとシェルリーンは、ジューネスティーンの言葉を、聞いていた。
「とりあえず、火を見て、どんな反応になるのか確認させてもらいますので、ヨット、火を見せます。」
そう言うと、ジューネスティーンは、自分の右手の人差し指を立てると、その先に指と同じ太さの炎を出した。
2人は、それを見るが、特に、表情の変化は見えない。
ただ、2人からは、3m程離れたところに対峙していただけなので、ジューネスティーンは、指の先の小さな炎をつけたまま、その手を2人の方に向けて伸ばした。
そして、2人の方に一歩足を踏み出すと、ユーリカリアの顔に冷や汗が出てることが分かった。
(やっぱり、ユーリカリアさんのトラウマは、強すぎるかもしれないな。)
ジューネスティーンは、ユーリカリアの反応を見てから、シェルリーンを見た。
すると、シェルリーンの表情が、少し引き攣った様子をしていた。
(ん? 何だ? )
ジューネスティーンは、シェルリーンの様子が気になった。
今までの話から、シェルリーンは、炎に慣れてないだけかと思ったのだが、ジューネスティーンの炎を見て、顔を引き攣らせていた。
それを見て、ジューネスティーンは、炎を消した。
「あのー、シェルリーンさん。 今、どんな、気持ちだったのか、教えてもらえませんか? 」
シェルリーンは、話しかけられて、我に返った様子で、ジューネスティーンを見た。
「あ、え、ええ、・・・。」
ユーリカリア以上にシェルリーンは、炎に対して、何か有りそうな表情を示した。
「な、何だか、火が、迫ってくるような気がしたんです。 ・・・。 か、カマドの火を見るのは、大丈夫なのに、な、何でかなぁ。 ・・・。 見ていた火が、近付いてくると思ったら、何だか、体が、すくんで、しまいました。」
それを聞いて、ジューネスティーンは、考えるような表情をした。
(どうやら、シェルリーンさんには、炎が迫ってくる恐怖のようなものがあるのかもしれないな。)
ジューネスティーンは、何か、考えるよな表情をする。
(火を着けた時は、2人とも、表情の変化は無かった。 でも、前に進もうとしたら、恐怖を感じたのか。 近づいてくる炎が怖いのか? )
「すみません。 もう一度、火魔法の確認をしても、いいですか? 」
ジューネスティーンは、2人に了解を取ると、もう一度、さっきと同じように火魔法を指の先の方に出した。
「すみませんが、2人とも、この炎の近くに来てもらえませんか? 」
2人は言われた通りに前に歩き出すが、ユーリカリアは、2歩前に出ると、足が止まってしまった。
しかし、シェルリーンは、その炎の50cmのところまで、歩み寄った。
「あ、もう大丈夫です。」
そう言うと、ジューネスティーンは、炎を消した。
ジューネスティーンは、2人の表情を確認していたのだ。
ユーリカリアは、明らかに、炎に近づくことはできそうも無かったが、シェルリーンは、近くまで来れた。
(何でだ? 俺が、向かって行こうとすると、シェルリーンさんは、明らかに怖がったけど、自分から近づこうとすると、問題が無かった。 何でだ? )
疑問に思っていると、肩を何か硬いもので叩かれたので、その方向を向くと、シュレイノリアが、ジューネスティーンを見ていた。
「ジュネス。 2人に火魔法は、無理そうだ。」
それを機いて、ジューネスティーンは、何でだといった表情をした。
「ユーリカリアは、きっと、村を出た時の火事が原因だ。 だが、シェルリーンは、迫ってくる炎にトラウマがあるのだ。」
ジューネスティーンは、まだ、よく分からないといった様子でシュレイノリアを見た。
「シェルリーンは、自分から近付いてきたのは、自分の管理可能な炎と思ったからだ。 ジュネスが、炎を持って近付くのは、自分で、炎を調節できないと思ったか、小さい時に炎が迫ってくるのを見た可能性が高い。 無意識下のトラウマは、それを克服するのは、難しい。 だから、2人に火魔法を覚えさせるのは、やめておこう。」
それを聞いて、ジューネスティーンは、納得したような、そうで無いような、微妙な表情をした。
だが、シュレイノリアの言う事を、少し考えるような、間を持つと、納得したような表情をした。
「そうか。 シュレが、そう言うなら、2人に火魔法は、やめておこう。」
シュレイノリアに答えると、ジューネスティーンは、4人の様子を伺っていたウィルリーンを見た。
「ウィルリーンさん。 2人には、炎に対するトラウマがあるようですから、今は、これ以上火魔法を教えても上手く使えるようになるか分かりません。 だから、これから、様子を見て、炎に対して、影響が無いようなら、教えてあげてください。」
「分かったわ。」
「きっと、今なら、水魔法や風魔法を、もっと、訓練したほうが、2人には、有効だと思います。」
ジューネスティーンは、出来ない火魔法を根気よく教えるより、使える魔法を伸ばす方が、2人のためにもなるし、パーティーとして、狩りの中で魔法を使おうと思うなら、別の魔法を覚えることの方が、有効だと思ったのだ。
そして、いつ使い物になるかは、時間がかかる可能性があると判断して、後のことは、ウィルリーンに丸投げする事にしたのだ。
今後の事を考えれば、ユーリカリア達のパーティーと別れる事になるので、その時の為に、ウィルリーンに任せた方が良いと判断したのだ。
そして、トラウマを取り除くことも、時間が掛かる。
または、取り除けない可能性もあるのだ。
時間の掛かることなら、パーティーメンバーに依頼しておいた方が良いと判断したようだ。




