エピローグ3 元魔王軍四天王の最弱令嬢は自由に生きる!
連続で更新してますので、いつも最新話から読んでいる方はお気を付けください!
皆と久しぶりの再会を果たしたあの後、結構夜遅くまでセレニエール達のところで宴をしていて、私とユリウスがエルル村に戻ったのはもう夜更け過ぎ。
深夜のエルル村はとっても静かである。
とぼとぼと、ランプの明かりだけを頼りに、真っ暗なエルル村の土の道を、ユリウスと二人で歩く。
先程まで、懐かしい皆に会って、色々な話を聞いて、笑いあっていたのもあって、なんだか足取りは軽やかだ。
それにしても、私の出生の秘密には驚いた……。
全然気づかなかった。
いや、確かに、セレニエールめっちゃ私に絡んでくるやんって思ったことあったけどさ。
なんて、考えていると、いきなり手をユリウスに掴まれた。
私がユリウスの方を見上げると、
「もうとっくに日も暮れた。もうエルルと手を繋げない今日は、終わってる。今はもう、エルルの手を繋げる日だ」
と言い訳をするようにユリウスが早口で答えた。
え、なんの話?
と思って、しばらく考えてからやっと思い出した。
そう言えば、ご機嫌斜めになった私が、今日は手を握らないとか言ってたっけ。
コロッと機嫌が直った私はとっくに忘れていたのだけど、ユリウスは忘れてなかったらしい。
私もユリウスに握られた手を握りしめる。
すると、ホッとしたのか、少し強張っていたユリウスの力が抜けた。
「よかった。ありがとう、エルル」
と言ったユリウスがなんだか愛しくて、私は「寒い」と言ってそのまま体を寄せて、ユリウスにくっついた。
へへ、だって、もう深夜だもん。
誰も周りにいないし、暗いし、エルル村だし、そうなればこの無敵のエルルは、大胆な行動もとるってものよ!
「エルル、その、婚約者のことで、君の気分を害してしまったこと、悪かった」
「いいわよ。もう別に。あ、でも! これから他の女によそ見したら許さないからね!」
「それはない」
ユリウスが微かに笑いながらそう答える。
へへ。そんな言葉に気分を良くした私は更にユリウスを握る手に力を込めた。
私だって、ユリウスと手を握るのは好きだ。
それから少し遠回りをしようと言う話になって、近くの湖の辺りまで散歩することになった。
静かな夜に、ユリウスとくっついて、ただ歩くだけなのに、なんていうか……すごく、楽しい。
「……不思議だな。何故か今が一番自由だと感じるんだ」
夜の散歩を楽しんでいると、ぽつりとユリウスがそうこぼした。
「それはそうでしょ。もう魔王も倒して、エルル村のみんなとエルル村で生活できてるんだから!」
と私は返したけれど、ユリウスは首を振った。
「いや、確かにそうだが、アナアリアにいた時の私は、色々な権限を持っていた。大体のことは自分の力でねじ伏せられると知っていて、魔王の命だと思えば良心の呵責もなくどんなことでもできた。……だが、今の私はエルルと手を繋げないことにひどく落ち込み、友のために力を貸したい気持ちを、友のために堪えている。小さいことで、一喜一憂している今の私を、きっとかつての私は不自由だと思うだろう。しかし、私は、これ以上にないくらい自由だ。そう感じる」
ユリウスがそう言うと、夜風が頬を撫でた。
ひんやりと冷たい夜の匂い、それに私の大好きなエルル村の土の匂いがする。
「そうだね。私も、そう感じる」
そう同意して、私は少しばかり寒くなったので、さらにユリウスの側に擦りついた。
ユリウスは温かい。
「少し夜風が冷えるな。上着を貸そう」
そう言ったユリウスが、私の手を離して上着を脱いだ。
そして、私と向かいあって、私の背中に自分の上着をかけてくれる。
ユリウスの匂いのする温かさにくるまれて、私は、先ほどユリウスが言った話の中で、一つの発見を見つけた。
「ねえ、ユリウス、聞いて。私ね、すごい発見をしたかも! さっきのユリウスの話ね、『自由』のところを『幸せ』に置き換えても、すっごくしっくりするの」
私がそう言うと、手持ちのランプに照らされていたユリウスが、少し考えるような素振りをし、頷いた。
「確かに、そうだな。なるほど、そうか、そう言うことか」
そう楽しそうに話すユリウスが、なんだかすごく愛しく感じていると、続けてユリウスが私に、「それで、エルルはどんな時に自由を感じる?」と聞いてきた。
「私は、偉大なるエルル村の村長だもの。いつだって、自由よ! でも、そうね、たまに、たまーに、不自由を感じる時はあるわ」
私がそう言うと、ユリウスが少しばかり心配そうに首を傾げた。
「どんな時だ?」
「えっとね、例えば、だけど、キスしたいのに、届かない時、とか……。まあ、今なんだけど……」
と、先程感じた愛しさと、夜のテンションのおかげでそんなことを私が言うと、ユリウスの目が見開き、でもすぐにその目が優しく細められた。
「エルル、あまり可愛いことを言わないでくれ。どうにかなりそうだ。……目をつむって」
そう言ったユリウスがこちらに屈むようにして顔を近づけて来た。
ユリウスの両手がそっと優しく私の頬を包む。
私は、顔を上げて目をつむった。
唇に感じる愛しい人の感触に、その手の暖かさに、私は、これ以上にないぐらいの『自由』を感じていた。
FIN
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました……!!
これでもって、完結です!
ただ、ローランとかクラークとかのことをあまりかけなかったなぁという気持ちがあるので、
番外編と言う形で書くかもしれませんが……うーん、どうだろう。
それにしても、途中で、当初予定していたものより、もう少し長く書けるかもしれないと思って、色々設定を足して、話を続けたら、気付けば結構な文量になってましたね!
まさかこんなに長くなるとは!
そして感想や評価も、いつもありがとうございました!
とっても励みになりました!
本当に、ここまでお付き合い頂いてありがとうございました!
読んでくださった皆さんに、圧倒的感謝を!








