28 オクタヴィア・ララーシュタイン
全盛期のカッコいいテンタクルスが登場です。
アタシの名前は『オクタヴィア・ララーシュタイン』元人間の魔族。
かつてアタシは人間の国オルスラントの第二王女、女将軍、姫騎士、輝石のオクタヴィアと呼ばれた。
美しさ、強さ、知性、学力、全てを兼ね備え、そして臣民からの信頼も厚いアタシの人生は幸せそのもの、順風満帆だった。
そして、アタシはそれを鼻にかける事も無かったので一部の連中以外は全てがアタシの味方になってくれた。
オルスラントは平和な国だった。
自然は豊かで鉱物資源もあり、臣民は勤勉で貴族の腐敗も無く国王を中心に誰もが日々を幸せに過ごす国で、アタシもいずれ誰か良い人と結婚して子供と共にこの国で死んでいくのだなと思っていた。
だが、父王が崩御し、国は不幸に襲われた。
それまで平和だった国は父の崩御と共に貴族の中の一部連中が隣国と手を組み侵略戦争を始めたのだ。
そして、アタシは国の第二王女として民衆を守る為に剣を取った。
一級の魔法を使い、更に剣まで使いこなすアタシは敵国の召喚したグレートデーモンくらいなら一人で倒せた。
そんなアタシを民衆は輝石の姫騎士と讃えたのだ。
だが、貴族の連中は隣国の皇帝に力を借り、圧倒的な機械兵団、発掘兵器といった人道にも劣る兵器の数々でオルスラントを次々と火の海に変えていった。
蹂躙される人達を助ける為、アタシは手を出してはいけない方法に頼る事にしてしまったのだ。
それは……『悪魔との契約』
アタシの召喚の儀に応じたのは最強の魔族だった。
そしてアタシはその相手に自身の魂を引き換えにすると言ったが魔族はそれを拒否した。
力を貸してもらえないのかとすがったアタシに対し、魔族はある提案をしてきた。
それは「お前の魂は必要ない、お前は私の嫁となれ」というものだった。
しかし全く男の経験のなかったアタシはそれが何を意味するのかを知らなかったのだ。
そしてアタシは自らをその魔族の嫁になると宣言する事で力を貸してもらえたのだった。
アタシの召喚した魔族はなんと四天王最強の男だった。
その者の名は『テンタクルス・ネジレジアス』魔王アブソリュートの側近中の側近。
魔界のナンバー2ともいえる最強の悪魔、魔族の将にて大元帥。
テンタクルスは笑いながらたった一人で古代兵器を破壊した。
そして、最強の機械兵団ですら玩具を壊すが如くなぎ払い、数万の魂を一瞬のうちに灰燼に帰した。
アタシはオルスラントが救われた事を感謝した、自分の力だけでは決して勝てない敵を倒してくれたからだ。
だが、魔族と契約した事を人々は軽蔑し、アタシは信頼していた臣民からすらも石を持って打たれた。
本当にこれで良かったのか? 蹂躙されるのと悪魔に魂を売っても生き残るのとどちらがマシだったのだろうか……アタシはその後収監された塔の最上階で日々考え続けた。
そして、アタシは悪魔に魂を売った魔女として処刑される事になった。
悔しかった、守ろうとした者達に裏切られた事、悪魔に力を借りなければいけなかったこの状況。
処刑される前にアタシは思った、死にたくない!
そして首を切り落とされる寸前、彼は現れた。
「困るんですよね、私の嫁に手を出されては」
現れたのは魔王軍四天王最強の男テンタクルスだった。
彼は笑いながら一瞬でオルスラントの全てを灰燼に帰した。
そこに生き残っていたのはアタシただ一人だけだった。
だが、アタシは許せなかった、かつて生きた国、ともに笑った民を全てテンタクルスは滅ぼした。
確かに命は助けられたが全てを失ったアタシは彼に誇りをかけて戦いを挑んだ。
しかし、圧倒的な力の前に敗れたアタシは唇を奪われ、彼に全身裸にされて執拗に触手攻めされた。
「さあ、行こうか。魔界へ」
そしてアタシは人であることをやめ、魔族としてテンタクルスの嫁の一人になるはずだった。
そしてアタシは初めてを彼に捧げた。
……だが、アタシは生まれつきの不感症で不妊症だったのだ。
「私のテクニックに感じもしなければ子供も産めないとはな、この不感症の石女が!」
テンタクルスはそんなアタシに呆れ、流刑の地バーレンヘイムに追放したのだ。
悔しかった、しかしもう魔族として生きるしかアタシには選択肢が無かったのだ。
そしてアタシは実力で執政官代行まで上り詰めた。その後、アイツに再会したのだ。




