第95話 格闘スキルを極めたぞ!
ゾンビーネが必ずしも敵対しているとは限らない……。
物事を悪い方向に考えるのはやめよう。
なぜならゾンビーネは女だし、不死王ラブ勢なのでNTRが発生しないからだ。
放置だ放置。
俺は割り切ったのだった。
「ジョナサンが凄くスッキリした顔してる!」
「ああ。悩み事を自己解決したからな」
「自己解決……? まさか……。もうー。むらむらしてるならいつでもボクに言ってくれていいのにー」
ナルめ、かなり距離を詰めてきてるな!
俺の身が危なくなってきている気がするぞ。
『私が手を貸していますからね!』
「ウワーッ! 内なる敵セレス!!」
『勇者に実りをもたらすためなら世界が多少悪くなっても構わないのですよ……』
「本気過ぎる……」
とりあえず、ナルから逃げ切ることは不可能なため、隣りに座って仲良くお喋りするくらいで勘弁してもらうことにする。
天狗の抜け道をマスターした彼女は、世界最速の存在になったからな。
これに高度な盗賊スキルを併せ持つために、彼女の目を逃れて逃げることは不可能に近い。
いやあ、仲間として育成したのは俺なのだが、我ながら化け物を育ててしまったものだ。
戦闘力がないのが弱点だが、それ以外が強い。
「次こそはジョナサンとベッドインするからね!!」
「恐ろしい事を言う女だ」
俺は震え上がった。
セレスに次ぐ脅威だ。
なお、ナルと同率二位の脅威がネイアであり、彼女は会う度に子作りしようと言ってくる。
恐ろしい恐ろしい。
ジョナサンに逃げ場なし!!
ジョンはカイとよろしくできて、今もたびたび仲良しをやっているようだが。
そろそろ自信が付いてきた頃だろうなあ。
俺がナルを自室に戻した後、夜の空気を吸うために外出しようとしたらだ。
ジョンが体育座りをしていた。
「おいおいジョン、どうしたどうした」
「君か……。僕は凄く悩んでいるんだ……。流されるままに、カイと体を重ねてしまった。でも、僕はマリーナを守りたかったはずなんだ。それがどうしてこんなことに……」
「でも男として自信はついただろ」
「うん。かなり……」
言うねえ!
「俺としてもどうしたもんかと悩んでいる……。このままでは、俺が元の世界に戻ると死体になったジョナサンの体がポトッと落ちることに」
「それは困るよ!! ジョナサンは責任を取るべきだろ!」
「も、元の世界でゲームとかしたいのだが!!」
「君は結果的にたくさんの女の子を助けて惚れさせてきたんだから、きちんと責任を取るべきだと思う!!」
「うおお、ジョンに追い詰められるとは……!! くそーっ、俺に逃げ場なし!」
『くくくくく、最終的には私の望む世界がやって来るのですよ。ふははははは、あーっはっはっはっはっは!!』
セレス、なんという黒幕のような笑い方を!
『それはそれとして、インフェルドンに勝利したことで勇者はまた強くなったのではありませんか?』
「ああ。恐らくこれで五将軍よりも強くなった。近々、剛拳の神と柔拳の神が最終認定をしにくるんじゃないかなと思ってる」
とか言ってたら、ランニングシャツにステテコのおっさんと、ラフな服装のおばさまが出現した。
『呼ばれたようだから来たぜ』
『あらまあ、随分強くなったもんだ。既にあんたの実力は私たち下位神と肩を並べるよ。そんなあんたの力を解放したら、まさしく神殺しが可能な強さになるだろうね』
「ほほー! そこまで! じゃあやってくれ」
『はっ! 本当に話が早いやつだ。いいか? お前に中に全ての基礎は詰まってる。お前の攻撃全てが必殺となる。上手く使いこなしていけ』
剛拳の神が俺に向かって、ずんと踏み込む。
と思ったら反転して、その背中が俺にぶち当たった。
「ウグワーッ!?」
ぶっ飛ぶ俺!
こ、これは鉄山靠!!
食らうと同時に、体内に剛拳パワーが満ち溢れてくるぞ!
そして背後に立っていた柔拳の神が、吹っ飛んできた俺をふわりといなした。
『私たちではあの化け物に届かないからね。だから、私たちの分の拳を届けておくれよ』
すかされた俺の体が、空中でグルングルン回転させられる!
そして、頭から地面に叩きつけられた!
「ウグワーッ!? だ、だが柔拳のパワーが満ちてきたのが分かる! 俺はプロレスと剛拳と柔拳を身に着けたぞ……!」
立ち上がると、神々の姿は消えていた。
『ではセレス様、あとは頼みますぜ』
『私達もそろそろ現界できないほど、世界はあの化け物に侵食されていますから……。このままだと私も危ない』
なにっ!
柔拳の神がNTRされるところだった!?
それは危なかった。
彼らはこの世界では、神としての形を保てなくなるらしい。
最後の力で、俺に技を伝授してくれたのだな。
これで、俺の肉体に宿る格闘スキルはマックスとなった。
今ならば、五将軍複数を相手にしても勝てる自信があるぞ。
えー、つまりそれは不死王に比肩しうる実力になったということであり、デクストン団長の第四段階よりも強くなったと言えるわけだ。
すごい速度で成長した気がする。
そしてこのRTAめいた成長と戦いのために、様々なものを犠牲にしてきた。
主に、女性関係が複雑怪奇になり過ぎ、元の世界に戻ると残されたヒロインたちが阿鼻叫喚、ジョンはジョンとして確立してしまったので、マリーナ方面に向かわせるならば策が必要になるところ。
さて、どうしたものか。
うーむ!!
唸る俺の眼の眼の前に、ポトッと落ちてきたものがあった。
あっ、インフェルドンの手じゃん。
それがすいっと持ち上がり、ある方向を指差す。
「不死の王国に到着したか! えっ!? 想像以上に速くない!?」
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




