第93話 インフェルドン戦決着!!
「まあいい! 行くぞインフェルドン! ツアーッ!」
苛烈な逆水平チョップ!!
『ぬおおおおっ!!』
ぬうーっ、一撃を耐えてからの反撃の逆水平!
こいつ、打てば響くぞ!
インフェルドンは身の丈3mに届こうかという偉丈夫だが、ジョナサンもなんか鍛えに鍛えているうちに190センチ台半ばに達している!
背が伸びるもんだなあ。
かなり見栄えのする殴り合いだぞ。
なお、近づいてきたデーモンウォリアーが逆水平応酬の余波を受けて『ウグワーッ!?』とか消し飛ばされたりしている。
これを見て、他のデーモンウォリアーは静観することに決めたようだ。
右翼から攻め寄せているジョンたちは、デーモンウォリアーの増援もなく順調に戦いを進めているようだ。
本来なら、この数のデーモンウォリアー相手では無謀な勝負だからな。
俺とインフェルドンの殴り合いを、大半のデーモンウォリアーが見学しているので戦力差がどうにかなっているのだ。
『がははははは!! 楽しい! 楽しいぞ!! 強者との戦いが! 胸踊る戦いが! これまでの鬱屈とした気持ちを晴らしてくれるようだ!!』
インフェルドンの猛烈なパンチが俺を襲う!
これを受け止めながら、俺は反撃のビッグブーツ!
蹴りでやつの土手っ腹に一撃をくれてやる。
お互いに衝撃で距離が離れつつ、間髪置かずに接近する!
「ツアーッ!!」
逆水平!
『うおおおーっ!!』
パンチ!!
「ツアーッ!!」
エアプレーンスピン!!
『ぬおおーっ!!』
ふっ飛ばされながらの抜刀!
猛烈な斬撃が飛んでくる!!
「こなくそーっ!!」
腕をクロスさせて斬撃を受け止めつつ、着地したインフェルドン目掛けてダッシュ!
大地がたわむほどの震脚をしながらの、高空ドロップキック!!
『がはあっ!!』
太刀を握った腕を弾かれつつ、顔面直撃のインフェルドンが揺らぐ!!
ここで俺はやつの頭を小脇に抱え、DDT!!
大地に魔人の頭部を叩きつける!
『うぐおおおおおーっ!! なんの! なんのーっ!!』
起き上がるインフェルドン。
こいつのタフネスは無尽蔵か!?
だがよく考えたら、今まで戦ってきた相手はどいつもこいつも攻撃一辺倒だった。
俺の攻撃を受けた途端にズタボロになるような連中ばかりだったからな!
インフェルドンのような、相手の技を全て受けきるような敵はいなかったのである。
そう言う意味では……。
俺とこいつはベストマッチ!!
振り回される太刀を腕でいなすと、後を追って本命のラリアットが飛んでくる!
「うおわーっ!! やりやがるーっ!!」
モロに食らってごろごろ吹っ飛びつつ、俺は起き上がる!
ちょうどいい感じに距離が離れたな。
デーモンウォリアーが俺とインフェルドンに駆け寄ってきて、飲み物をくれる。
ありがとう!!
1ラウンド目終了と行ったところだな。
『あれっ!? 今なんでデーモンウォリアーが飲み物くれたんですか!?』
「ほんとだ! もしかしてこいつら……上の命令を聞いているだけで超越者に操られているわけではない……?」
俺の言葉に、デーモンウォリアーがこくこく頷いた。
ほんとか!!
こりゃあ悪いことをした。
悪は超越者と間男だけ!!
「ジョーン!! 戦闘中止! 中止~!!」
俺は休憩時間中に、ダッシュして戦場の右翼に向かった。
激しく戦っている仲間たちとデーモンウォリアーの間に入り、
「デーモンウォリアーは敵ではなかった!! 問題はインフェルドンを操っている奴だ!! こいつを倒す! あと、インフェルドンがなんか、俺と戦っているうちに正気になってきてる」
俺の言葉にハッとするデーモンウォリアーたち!
お前らがハッとするの?
「どういうことなんだジョナサン!?」
「うむ、つまりだなジョン。俺が魔人殺しを使ってインフェルドンと殴り合っていたら、やつの闘争本能が刺激され、これが洗脳を上回ったようなんだ。ある程度以上の実力があり、不本意に洗脳されているものは解放することが可能なようだぞ」
「僕はまだ洗脳とかよくわからないけれど……。君が言うならそうなんだろう……」
女子たちは不思議そうな顔をしているが、ネイアだけは何もかも理解したようだ。
「なるほどな。お主の強さが、あやつの計算を上回ったというわけか。そして魔人の将と戦い、お主はさらに強くなると」
「そういうことだ……」
『休憩は終わりだ! やるぞ!! 人間の戦士よ!!』
「あっ、インフェルドンが呼んでるから二戦目しに帰るわ」
俺のセコンドみたいになってるデーモンウォリアーが呼びに来たしな。
「悪い悪い、待たせた!」
『なに! 全力でやれるならばそれでよし! さあ行くぞ!! うおおーっ!!』
「いきなりのショルダータックル!! なんのフライングメイヤーだ!!」
ショルダータックルをいなしながら投げる!
だが即座に立ち上がったインフェルドンが、再びタックル!
これをまたフライングメイヤーで投げる!
だが即座に立ち上がったインフェルドンがさらにタックル!
これは食らった!
「うおーっ!! やるーっ!?」
ごろごろ吹っ飛ぶ俺。
くそー、この男、巨漢のレスラーにやってほしいアクションを的確にやってくれるじゃないか!
俺も立ち上がり、インフェルドン目掛けて突き進む、
やつもこちらにずんずんと接近。
手と手でガッツリと組み合い、力比べだ!
いや、ここはまだインフェルドンに分があるな!
俺はぐーっと押し込められてブリッジで耐える!!
『楽しそうですねー勇者!!』
「かなり楽しい!!」
ブリッジでインフェルドンの押し込みをひたすら耐える!
鍛えておいて良かった、首の筋肉。
『なんという粘りだ!! 地底の竜であろうとこれほどは粘れぬ!!』
インフェルドンに一瞬の感嘆が宿った瞬間を俺は見逃さない!
「ツアーッ!」
ネックスプリングで、インフェルドンを一気に押し返す!
『ぬうーっ!!』
弾かれ、後退するインフェルドン!
俺はやつ目掛けて跳躍のシャイニングウィザード……!
『その技は既に見た!! かーっ!!』
インフェルドンの抜刀が迎え撃つ!
だが、シャイニングウィザードはその攻撃を誘うための一撃!
俺は抜刀を膝で受け流しつつ、着地!
ちょっと皮膚を削られたがダメージは軽微。
そして俺は、最速の技を放つ。
俺が想像しうる限り最も速いのは……!
「ローリングソバット!!」
『背中を向けて回転するぶん遅くなりませんか?』
「こういうのは雰囲気なんだよ!! ツアーッ!!」
なんかセレスと喋ってる間は時間が止まってる?
だが、既に時間は動き出した。
音の速度を超えた蹴りが、返しで放たれた太刀を叩き折る!
そしてインフェルドンの胸板目掛けて、激しく炸裂!!
『ウグワーッ!!』
燃え上がる鎧の胸郭に、大きな亀裂が走った。
インフェルドンがゆっくりと膝を突く。
『グウーッ……!! これほどのダメージを受けたのは、お館様と戦った時以来……』
和甲冑の面頬から、赤い眼光が俺を見た。
『我の首を取るが良い、人間の戦士よ。我が知る限り、お主こそが最強の戦士だ』
「いや、首は取らない。グーテンとの約束だからな。立て、インフェルドン!」
俺は手を差し出した。
既に、魔人は洗脳から脱していた。
俺の手を握り、立ち上がる。
「俺はいつでも挑戦を待っている……!」
『ほう! 我が挑戦者か……!!』
カッと目を見開くインフェルドン。
そして、愉快そうに笑った。
『いや、愉快愉快! これで終いだ! 皆のもの! 退け! 我らは不死の王国へと帰るぞ! 皆に責任はなし。お館様のお咎めがあらば、我が腹を切ろう!』
大丈夫じゃないかなあ。
グーテン、基本的に仲間には甘いし。
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