第90話 昨夜はお楽しみだったのか!?
夜である。
ヴェローナのために、結界が貼られてないゲストハウスを準備してもらった。
俺は個室。
ジョンとは同室でいいぞと伝えてあったはずだが……。
なぜ俺が個室に……?
なお、神聖王国の場内は強い結界に守られており、謎のNTRの力が発生しない。
太陽神バルガイヤーの加護が効いているのだ。
これ、世界にNTRが蔓延しているの、超越者のせいだからなんだろうな。
あいつが世界をおかしくし、こんなモラルもへったくれもない世界にしているのだ。
まあ、俺が観察可能な状況でのみNTRは発生している気もする。
おかしくなってしまった世界が、俺という因子を受け入れたことでもっとおかしくなったのかも知れない。
「うーむ」
『ベッドに仰向けで寝転びながら何を唸っているのですか勇者よ!! こんなことをしている場合ではありません!』
「あっ、また勝手に実体化してるなセレス! なんだそのピカピカ輝くワンピースは。女神の衣? うわっ、まぶしっ」
『ふふーん、夜なので光らせてみましたよ。それよりも勇者よ。実りの気配です!』
「なにっ! いや、場内ではNTRは発生しないはず……。だが、万一ということもある。俺も行こう」
俺とセレスで、そろりそろりと明かりの落ちた廊下を移動する。
ここは場内にある、来客用設備の中だ。
見張りの兵士などもやって来ないため、実質自由な空間ということになる。
ちょっと移動したら、「ウワーッ」と眼の前で悲鳴をあげられた。
「うわーっなんだなんだ」
なにかと思ったら、目と鼻の先にナルがいるではないか。
「どうしたんだナル。女子部屋にいたはずじゃないのか? それがなんでそんな下着だけの姿で……ハッ、夜這い……」
「くっ、気づかれたぁ」
ナルが本気を出したら、俺ですら気付けないからな。
今回は邪念によってナルの隠密能力が落ちていたために、偶然発見できただけだ。
「ジョナサンは部屋の中にいるはずだったのに、なんで外にいるのさ」
「それはな、実りの化身が俺を外に連れ出したのだ。どうやらこの施設の中で、誰かがいたそうとしているらしい」
「えっ!? 本当!?」
ぴょんと飛び上がるナルである。
ほんとほんと。
『私の実りに関する感覚は正確無比ですからね!!』
「セレス様が言うなら間違いないかあ!」
普通にトコトコ歩いている、光る衣の幼女。
ナルは全くおかしいと思っていないらしい。
「だって温泉でも実体化してたじゃない。ジョナサンが強くなるほど、セレス様もどんどん大きくなるんだね。じゃあ、セレス様が大人の女の人になる頃ってどうなってるんだろう?」
『それはですね、この世界を手中に収めようとする望まれぬ来訪者、超越者を倒す時です! うおー! 実体を取り戻したら私も戦いますよー!!』
「えっ、セレス戦えるの!?」
『神々の間では割とやれる方でした!』
意外や意外!
まあ、ダークエルフだし遠距離攻撃なんだろうなあ。
まさか至近距離で殴り合ったりはしないだろう……。
さてさて。
ジョンに割り当てられたはずの部屋から、光が漏れているな……。
「それにしても、誰と誰がエッチなことしてるんだろう……? 確か、カイがトイレに起きていったきり戻ってこないけど……」
「そうか! ジョンとカイだ」
「えっ!? そ、そんなことが!?」
『シーッ!! 二人ともシャラップ!! 大人しく観察するのですよ……!』
いつになくテンションの高いセレスなのだ。
まあ、本当の実りが待ってるからな。
どれどれ……?
光の隙間から覗いてみると。
あっ!!
ベッドの上でジョンとカイがまごまごしている!!
服を脱ぐところまでは行ったようだが、その先をどうしたもんか迷っているのだ。
いかん、これはいかんぞ……。
『ちょっと見てられませんね!! 私、エッチな雰囲気にしてきます!!』
「うおーっ! セレスが行ったー!!」
ここで俺はセレスの実力を目の当たりにすることになる。
彼女は伊達に豊穣の女神ではなかったのだ!
セレスの姿が薄れたかと思うと、なんかピンク色のオーラみたいになってふわ~っと室内に広がる。
これに当てられたジョンとカイがハッとした。
叡智な行為の進め方を突然理解したのだろう!!
知恵を与えたな!?
なるほど、お互いの気持ちがあるなら、次は段取りに関する知識があれば次のステップに進めると……。
「わっ、始まった! うわ、うわっ、うおーっ!!」
「静かに、ナル! ほう、やるじゃないかやるじゃないか」
「ひぃー、うえー、うわおー」
ナルがもう人語を発していない!
だが、俺は見届けたぞ。
ジョン!
やったな!
そして結ばれたことで、BSS状態から正式にNTRが発生するフラグが立ったわけである。
カイはお前が守るのだ……!!
『ふぃーっ、いい仕事をしました。私ツヤツヤですよ』
「心のエネルギーを得たってやつだな」
『ええ! ジョンはいい子ですねー。きちんと最後まで終わらせましたよ……! 二人の関係もこれで一歩先に……。おや? ナルはなんでしおしおになってるんですか?』
「最後まで見てしまったからだろうな。なかなかの迫力だった」
『なぜ勇者は平気なのですか?』
「俺は常に視界のフィルターをAV的な動画を見ているように己を騙すことができるんだ」
『な、なんて無駄な能力……!!』
セレスに呆れられてしまった。
その後、腰が抜けたナルを女子部屋に送り届け、なんか察したらしいネイアが凄くいい笑顔を見せ。
俺は自室に戻って寝た。
なんか実体を出したままのセレスも大の字になって俺の上で寝ていた。
俺をベッドにするな。
そして翌朝……。
俺は早起きし、ジョンの部屋の前で張り……。
出てきたジョンの背中をバーンと叩いたのだった。
「昨夜はお楽しみだったようだな!!」
「ジョ、ジョナサン!?」
当然、ジョンの後ろには恥ずかしそうなカイがいたぞ!
……あれっ?
これではジョンにこの肉体を返すと、色々問題が出てくるようになったのでは?
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