第86話 車中泊の後、出発!
風呂上がりに涼んだ後、みんなで魔導カーに戻った。
なにっ、今夜は車中泊なのか!?
「わしは宿泊する金を持っていないからな」
「そう言えば俺も、ポンドールで金をもらうのを忘れていた気がする……」
「カイがもらったけど、お金はジョンの装備に使ったよ」
「ごめん」
「なにぃ! まあ、ジョンならいいか……」
「あれーっ!? 男に厳しいジョナサンが、ジョンにだけは甘いぞー!!」
「これは裏がありますわね」
こいつら、こんな時ばかり鋭いな!
なお、車中泊とは言っても流石にこの人数では中で全員寝られない。
女子だけ中で、俺とジョンは外ということになった。
ほほー!
この魔導カー、側面が持ち上がって雨よけの屋根になるの?
これは外で寝ても安心だわ。
まあ、俺としては間男の接近を阻むためにも、視界がいいところで眠るのはどんとこいなのだ。
温泉卵の乗った特製うどんを晩飯とし、俺たちは睡眠を取ったのだった。
完全に和食で、木製のレンゲみたいなのと箸が付いてきたけど突っ込まないぞ俺は……!!
夜、隣でごそごそ音がしたかと思ったら、ジョンがトイレに起きるところだった。
そこでハッとして俺を揺り起こす。
「どうした?」
「さすが、一瞬で覚醒したね。多分、女の子たちを狙ってる。宿のお客だと思う」
「夜這いというわけか。男が二人になって本当に便利になったな。トイレに行っててくれ。俺が片付ける」
「いや、僕もやる」
「いいだろう、来い」
ってことで、夜這いを狙って迫る間男たちと戦うのである。
まあ、向こうも迎撃されるとは思ってもいないわけだ。
「ツアーッ! 間男撃退!」
「ウグワーッ!」「な、なんだなんだウグワーッ!」
捕まえてからボディスラムをすると、一発で相手は戦闘不能だ!
あるいは逆水平チョップで相手をぶっ倒す。
ジョンもジョンで、間男の一人のスネを蹴り飛ばし、
「ウグワーッ!! な、何しやがるこのチビーッ!!」
姿勢が低くなった相手の頭を、アッパーカットで殴って昏倒させた。
やるじゃないか!
「僕だってレベルとやらが上がってるからね。この間までとは大違いなくらい動けるよ」
「いいぞいいぞ。お前に足りなかったのは自信だからな。実力相応の意識を持つことが大事だ!」
こんな感じで最後の間男の頭を俺が掴んで投げると、ジョンが剣の鞘でべチーンとぶっ叩いた。
「ウグワーッ!!」
最後の間男昏倒!
女子が四人だから、こいつらも四人で来やがったな。
例え一般人でも、間男として動き出せばNTRの可能性が生じる。
それがこの世界の恐ろしいところだ。
「じゃあトイレに行ってくるね……」
「おう、いっぱい出せよ!」
ジョンの背中を見送っていたら、誰かが起き出す音がする。
「なんじゃ。お主らが倒してしまったのか。わしが近くに警報の魔法を掛けておいたから、放っておいても良かったであろうが」
ネイアだ。
呑気なことを言っているな。
「万一ということもあるからな。俺は女は守るようにしている」
「ほう、殊勝なことを言う男じゃ。じゃが、わしを誰だと思うておる? 千年を超える時を生きた、真エルフじゃぞ? ただの人間の男なんぞに好きにされるわけがない」
好きにされるんだなあこれが!!
詳しくは原作参照!
この世界はNTR叡智のために全ての法則がねじ曲がった世界なのだ!
どれだけ強大な力を持っていようと、NTRルートに入った瞬間にサクッと寝取られるぞ!
これらを熟知した俺がいるからこそ、NTRルートを破壊できているに過ぎない。
まあ、今回の温泉宿のは新しい要素だったようだ。
ジョンがいなければ危なかった。
おお、トイレから戻ってきた。
ひとまず、これで温泉宿NTRイベントは終了のようだ。
「うーむ、わしの腕を信頼されていない気がする。こんな扱いをされたのは初めてじゃ……」
訝しげなネイアは放っておいて、俺たちは寝るとしようではないか。
こうして熟睡するうちに……。
夜が明けた。
再び神聖王国目掛けて出発する魔導ワゴンである。
女子四人、男子二名を乗せていながらロマンスの香りは一切なし!!
なんもドキドキもしないまま、ひたすら神聖王国への道をひた走る……。
そんな中、ジョンとカイが隣同士になっており、何やら喋っているではないか。
「ジョンはさ、まだ小さいのになんでこんな危険な戦いに身をおこうとしてるのさ?」
「僕は守りたい人がいるから……。だから強くならないといけないんだ。誰よりも強く……」
「守りたい人? ふーん。ふぅーん。それって誰なんだろうなー」
おやあ!?
甘酸っぱい香りがしている二人がいますぞ!!
『あらあら。あらあらあらあら!!』
セレスまで飛び出してきて、ニヤニヤしながらジョンとカイを見守っている。
ジョーン!!
お前、ここでカイとくっついたら、マリーナはどうなるんだーっ!!
いや、だがこいつをもっと育て上げれば、他のヒロインも担当してくれるようになるかも知れない。
育成次第だな……。
『あとは勇者が引き受ければいいではありませんか』
「NTRゲームしてる暇がなくなるだろっ!!」
『なんで現実の女体よりもゲームとやらの方がいいのですかー!』
「そっちの方が好きなんだから放っといてくれ!!」
『勇者は世界を救うのですから、相応の報酬を受け取ってもらわねば困ります!! 何がなんでも肉欲に溺れてもらいますよ~!!』
くそーっ、邪神の誘惑のようだあ……!!
ジョンとカイがいちゃいちゃじれじれし、俺とセレスがバチバチし、ナルが何かと言うと俺にくっついてきたりしつつ……。
「見えてきたぞ。神聖王国じゃ! おうおう、邪悪な者が入り込んだ痕跡が残っておるわい」
楽しげなネイア。
既にその目には、神聖王国にて何かをやらんとしている魔人の姿が見えているのだろう。
ほんとに、危険に飛び込んでドタバタやってる時が一番心安らぐからね。
早く入国しよう、早く。
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