第84話 温泉宿の見えぬ攻防
宿場町にて……。
凄い美女たちが混浴の大浴場に入っていったということで、町にいた男たちもワーッと集まってくる。
ええい、入口にたかるな!
邪魔だ!
「ツアーッ!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
俺がフライングボディアタックをかけると、集まっていた男たちがボーリングのピンみたいにぶっ飛んでいった。
「うわあーっ! ジョナサン、君、むちゃするなあ!」
「俺達以外の男が温泉に入る事態は避けねばならんからな。NTRが起こる」
「な、なるほどね……。そうか、みんなを守るためにはこれくらい疑い深くないといけなかったんだ」
「ジョンもだんだん分かってきたようだな……!」
『あーっ、二人目のネトラレブレイカーを作ろうとしています。勇者よ、人道に反する啓蒙をやめるのです』
「ええい、豊穣の女神め邪魔をするなあ」
『邪魔とはなんですかー! 欲望を抑え込み、実りを与えることを邪魔する勇者のほうが悪なのですよー!』
幼女の姿で出現したセレスが、うきゃーっと俺に襲いかかってくる!
くそーっ!
ついに戦闘力まで身につけたか!
あまりにも的が小さすぎて、プロレス技を放つのが難しい!
いてっ!
スネを蹴られた!
『くう、時間切れです! ですけどキック一発打てるくらいまで回復しましたよー!』
セレスがまた光のカタマリに戻り、定位置である俺の右肩にちょこんと乗った。
「宿主たる俺を攻撃しながら、当たり前のような顔で俺のところに戻って来る……」
『私と勇者は運命共同体ですからね』
悪びれない女神だ!
さて、そんなことをしていたら、大浴場が賑やかになってきた。
女子たち四名が服を脱ぎ、浴場に入ってきたらしい。
俺達もこうしてはいられない。
パーンと衣装を脱ぎ、パンツを脱ぎ捨て、俺は堂々と大浴場に入っていく。
おいジョン、何をまごまごしているんだ!
パンツ脱げパンツ!!
「うわーっ! 脱がすのはやめてくれーっ!!」
悲鳴を聞きながら、ジョンのパンツを脱がしたのだった。
ははーん、依代となっている少年兵はまだ生えてないんだな。
可愛いものではないか。
そしてジョンがまじまじと俺のお大事さんを見た。
「僕が僕だった時より明らかに大きくなってる……!!」
「これが覚悟のでかさの違いよ」
『勇者は適当なことを言っているだけです。真に受けると実りの機会を逃しますよ! ジョンは私の言うことを聞いて、ここぞというところで実りを与えるといいのです!』
「くそーっ、セレスよ悪の道に誘うのはやめるんだ」
『こと実りに関しては勇者が絶対悪なのです』
相いれぬ関係!!
まあ、もともとこんな感じではあるが。
こうして、緊張するジョンを連れて堂々と浴室へ入る俺達なのだった。
なるほど、露天風呂か……。
露天風呂!?
混浴で!?
周辺は竹を組み合わせたような塀があるのだが、たくさんの男たちが覗いているのが分かる。
なんたることか!
奴らの眼の前で逆立ちジャンプして、お大事様を見せつけてやるか……?
『勇者よ、いくら自信があるからと言って見せつけテロはやめるのです!』
「俺の心の天使と悪魔を同時に担当する豊穣の女神がいつもうるさいぞ」
セレスとやり合っていると、立派なものを揺らしながらナルがやって来て、
「ジョナサン! 一緒に入ろ! 場所によって熱かったりぬるかったりするんだって! ボクはぬるめが好きかなあ」
「ふむ、俺はちょっと熱くてもいいな」
しかし……ナル、なかなかデカいな。
尻と太股が立派なのは分かっていたが、胸元にも馬鹿にできないくらい肉がついているのだ。
なるほどなあ……。
なお、彼女と一緒にぬるめの湯に入ったら、先にいたヴェローナがギョッとしている。
「わっ、わたくしの前でぶらぶらさせないでくださいます!?」
「えーっ、グーテンのぶらぶらくらい見てるだろ」
「見てませんわよーっ!!」
なんか妙に慌ててるな。
ナルがこれを見てキャッキャッと喜んでいた。
ジョンはジョンで、胸元にタオルを当てたカイに手を引かれ、熱めの湯に向かっている。
なんだ、いい感じではないか。
俺はあれだぞ。
ジョンに関してだけは実りを与えまくっても許可するからな。
お前が立てたNTRフラグは全て俺がへし折ってやるからな。
あっ!
熱いお湯に入っていたエルフの師匠ネイアがジョンに近寄ってくる!
タオルをしてない!
ジョンが立っていられず、しゃがんでしまった!
『いやあ、年頃の男子の反応ですねえ。寿命が伸びる~』
「あっちでネイアも同じこと言ってるぞ」
俺がジョンを気にしている間、ナルとヴェローナで、お湯に浮く、浮かないみたいな話が繰り広げられている。
ほうほう、ナルはなんとか湯に浮くくらいはあるが、ヴェローナはスレンダーだから浮くほどのものがないと。
なるほどなるほど……。
チエリもストンだし、ヴェローナの仲間であろう。
それに対して、サキュバスのアルシェはわがままボディなので浮く。
マリーナは完全無欠に浮く。
中間というものを知らぬ、このゲームの制作者なのだった。
カイもネイアも大きい勢だからな……。
「さて、俺は覗き連中に平和的な攻撃を加えるとするか……」
『ほうほう、平和的な攻撃とは……?』
「こうだ! ツアーッ!!」
湯を手にすくって、高速で投げつける!
「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「お湯が目に! 目にぃーっ!!」
「がはははは! 温泉のお湯はちょっと刺激があるから目には痛かろう!!」
『常に他の男と戦うことに余念がありませんねえ勇者よ!! あ、私もちょっと温泉に入りましょう』
俺の背中から、幼女状態のセレスが実体化し、温泉にバシャーンと入った。
「うわーっ!! ジョナサンの背中からセレス様が出てきた!」
「め、女神と一緒に温泉入っても、私は浄化されませんの……!?」
温泉、実に賑やかである。
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