第82話 五将軍反乱!?
『ふむ……これは由々しき状況だ』
戦いが終わり、勝利に沸くポンドール。
だが、グーテンはどうもそれどころではないようだった。
不死の王国が自分の意志を離れて、何者かの手でいいように動かされているのだ。
仕方ないところだろう。
『私は一旦、王国へ戻り状況を確認する。あとは任せるぞジョナサン。ただし、倒した幹部は首を残しておくようにな』
本来は仲間を倒されたくは無いが、洗脳されて敵対してしまった五将軍などをどうにかするため、苦肉の策と言うわけだ。
「ああ。任せてくれ。管理役としてヴェローナを貸してくれると助かる」
『こちらもそのつもりだ。私も本件の真相を確かめ、黒幕がいるならこの手で叩こう』
グッと拳を握りしめ、怒りに震えるグーテンなのだった。
こうして、五将軍撃破の許可を得た俺。
グーテンタークとの正面対決は避けられた。
『勇者よ、なぜ不死王と戦わないようにしたのですか? 属性を考えれば彼もまた悪でしょう?』
「それはな、あいつも同じ異世界転生者で、俺と同じモラルを持つ存在だからだ……」
『モラルぅ……?』
おい、何を訝しげにしてるんだセレス。
ともかく、これで最大の懸念が晴れた。
次は……。
俺はジョン、カイ、ナル、ヴェローナを連れて盗賊ギルドに向かった。
そこでバイフンに報告だ。
「ということで、グーテンと連中の直接的なつながりは確認できなかったぞ。介入してこなかったしな」
「ああ、こちらも確認したぞ。いくつか疑わしいところはあるが……。それでも、かの魔人との戦いにグーテンが手を出さなかったことは間違いない。ギルドとしては、冒険者グーテンは敵対的存在ではないと判断するぞ。感謝する」
バイフンと握手なのだ。
任務達成!
それで報酬の情報を……。
「強大な魔人、インフェルドンとやらだが、リバーサイド神聖王国に攻撃を仕掛けていると見られる」
「あれえ!? サラマンデスはこっちに向かってきていたのに」
「そいつが斥候で、報告を待って行動を定めるつもりだったんだろうよ。だが、斥候が戻ってこない今、奴らは手近な国に攻撃を始めたということだ。まあ、ポンドールには関係のない事態になっちゃあいるが……。その顔だと神聖王国へ向かうんだろう?」
「その通りだ」
経験点が待ってるからな。
バイフンは俺の内心を知らず、肩をすくめて笑った。
「お前さんは本当に心の底から英雄なんだな。行ってきてくれ。リバーサイド神聖王国についての情報はこちらからのサービスだ。ナルに持って行かせる」
「何から何まで感謝だぞ!」
ってことで、また握手して別れた。
『完全に勇者のことを誤解していますね……。経験点とNTRを破壊すること以外何も考えてない人なのに』
「いいんだよ。ハッピーな世界で生きられるならそれが一番だろ」
俺の内心を知るものは、今ではセレスだけになってしまった!
詳しいはずのジョンまで、
「なるほど、僕は君を見誤っていた。尊敬するよ」
とか言ってるもんな!
人は自分が見たいようにしか、相手を判断できないのだ!
「さすが……さすが過ぎるよジョナサン……。あー、カイ好きになっちゃいそう……だけどあの残虐ファイトはちょっといただけないから様子を見るね」
「むむっ、新たなライバル~!! でも分かる、分かるよその気持ち。ジョナサンって罪な男だよねえ」
カイとナルがなんか言ってるな……。
まあ、俺はお前らがNTRされないようにするだけだから、付いてきてもらえると面倒事が減ってありがたいぞ!
「またあなたと一緒の行動ですの? さらに腕を上げているようですし……。まさかサラマンデスを一方的に倒すとは思いませんでしたわ。もう私よりも強い……? いえ、認めませんわ。いくらジョナサンと言えど、インフェルドン様を相手にしては分が悪いでしょうし」
『いいですよいいですよ~。ヴェローナの中で葛藤が生まれています。こういうの私大好物なんです! 恋の一番のスパイスですからね。え? 豊穣の女神がどうして恋を応援するのかですか? ふふふ、性愛に直結するからです! 即ち実り!』
セレスは放っておこう。
神聖王国までは流石に距離がある。
馬車を使おうかという話題になった。
「ここはカイに任せて。お師匠様と連絡して、魔導カーを借りてみるね」
「魔導カー!?」
耳慣れぬものが出てきたぞ!!
そもそも原作ゲームだと、シナリオの都合上か街から街への移動は徒歩で事足りた。
だが、現実だとここは大陸であり広大なのだ。
距離にして、レイク王国から都市国家ポンドールまでは、東京~大阪間くらいの距離がある。
レイク王国からラグーン帝国までは、東京~仙台間くらいか。
結構な距離だ。
起伏が少ないから割と歩けるだけである。
で、ポンドールからリバーサイド神聖王国に向かうには……。
やはり、大阪~福岡くらいの距離を移動する必要があるのである!
微妙に分かりづらいか……?
『勇者が脳内に浮かべる地形で距離を説明するので、何気に私だけはよく分かりましたよ』
「そりゃ良かった」
『勇者は島国出身だったのですねえ。大きな島ですねえ……』
「日本は長い島だからな。パルメディアはなんか、まん丸い大陸じゃん。でかさだけならどれくらいだ? セレスの中にあるイメージだと、オーストラリアよりちょい小さいくらいか」
俺とセレスでお互いの中の土地勘をすり合わせていたらだ。
「全く、師匠を呼びつける弟子がどこにいる」
突如セクシーな女性の声がして、なんか長身でむちむちでやたら露出度の高い衣装を身に着けたエルフの女が現れたのだった。
あーっ!!
カ、カイの師匠!!
出てきてしまったーっ!!
「ジョナサン、何を愕然としているんだ?」
ジョンが不思議そうである。
だってお前、出てきたってことはNTRフラグが立つってことだろうがよ!!
くっそー!!
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