第81話 不死王公認、魔人ぶっ倒し!
ポンドールの入口が燃え上がっている!
見覚えのある岩石の怪物と、その上に魔人サラマンデス。
やつは高笑いをあげながら、岩の怪物ともども炎を撒き散らしているではないか。
まあ、ポンドールは冒険者の街だけあって……。
ワーッと出てきた冒険者たちが、火を消したり遠距離から攻撃を仕掛けたりなどして、サラマンデスの好きにはさせていない。
おっ、カッフェルが攻撃を仕掛けに行った!
お手並み拝見である。
『なるほど、あれがサラマンデスか。インフェルドンは最近、私との接触を絶ち、己の勢力を拡大していたと思ったら……こんなことになっていたのか』
「あれはグーテンも知らないやつ?」
「グーテン様は多忙なお方です。新たに増えた魔人のことなど把握しきれていなくても仕方ありませんわ!」
「えっ? あの魔人、グーテンさんの知り合いなの!?」
おっと!
カイに聞かれると面倒なことになる!
ナルはそういうの全然気にしないから、今まで通りの会話をしていたが、今後は気をつけないとな。
俺もグーテンもヴェローナもスンッと黙って、カッフェルの頑張りを見届けることになった。
ほうほう、炎を躱しながらサラマンデスまで到達したのは立派だ。
だが、魔人が作り出した炎の剣で、カッフェルの攻撃は全て受け止められているな。
『人間にしてはやるようだな! だがその程度か!』
「つ、つええ!! 魔人兵士とは違うぞこいつ!!」
そりゃそうだ。
不死王国の序列で言うなら、不死王、五将軍と来て、その下くらいのランクなのだ。
位置的にはヴェローナと同格か?
ちらっと見たら、彼女はとても嫌そうな顔をした。
「一緒にしないでもらえます?」
「あ、分かってしまったか。で、グーテン。やっていい?」
『うむ……。盗賊ギルドの監視もあるようだ。私が彼に肩入れするのはまずかろう。後で彼の頭だけは回収する。残しておいてくれ』
「了解。じゃあ許可をもらったってことで、やってくるわ」
グーテンとヒソヒソ声で交渉成立。
彼の疑いを晴らしながら、経験点まで稼いだ上で不死王の軍勢との戦いを認めさせる……!
俺にとって大変助かる結果に落ち着いた!
その時、火だるまになりながらカッフェルが転がり落ちるところだった。
「ウグワーッ!!」
「カッフェルー!!」「あいつでも刃が立たないのか!?」「魔人が強すぎる!!」「もうダメだ!」「こんな時に彼がいてくれれば……!」
「ジョナサンさんが!!」
受付嬢がなんか祈るように言葉を発した。
これを、サラマンデスが笑い飛ばし、
『下らん!! 貴様ら人間どもの祈りなど何の力もない! 第一、この私はそのジョナサンを追ってこの街に……』
「ツアーッ!!」
縮地で駆け寄った俺がサラマンデスにフライングクロスチョップ!!
『ウグワーッ!?』
サラマンデスはゴロゴロ転がりながら、岩の怪物から落下した。
うーむ!
プロレスの力を解放されたから、今までの形だけプロレスっぽくて実際は格闘スキルでの素殴りみたいなのとは、明らかに違う!
フライングクロスチョップに重みがあったな。
『ぐぎぎぎ!! ぎぎぎぎぎ! 出たな! 出たなジョナサン! 私に恥をかかせた人間めええええ!!』
「ついでに足場になった岩の怪物は倒すぞ! ツアーッ!! 震脚連打!」
『ウグワワーッ!!』
岩の怪物の全身が砕け散るぞ!
ちょっとだけHPが残る程度にしておいて……。
「ジョン! あとは頼む! つっついてトドメ刺して経験点稼いでおいて!」
「分かった!」
ジョンが剣気覚醒を使いながら駆け寄ってくる。
岩の怪物は彼に任せれば十分だろう。
1ダメージでも入れば勝てるぞ!!
『き、貴様ーッ!! 私の! 私のしもべをよくもーっ!! こうなればこの街を貴様ごと焼き払って……!!』
「残念だが、お前が力を使う機会はもう来ない。なぜか? 俺とのプロレ……戦いを制さぬ限り、この先には行けないからだ!」
『今勇者、プロレスって言いかけましたね? プロレスの神に染まりつつありますね?』
うるさいよ!
俺はサラマンデスに歩み寄っていく。
やつは両手から炎の剣を生み出し……。
『人間が……人間があああああああ!! この私を舐めやがってええええええ!!』
纏っていた炎のマントが全身を包み込み、膨れ上がる。
次の瞬間には、サラマンデスの下半身が巨大な炎のトカゲに変わっていた。
なるほど、サラマンダー!
巨体になったサラマンデスが俺へ突撃!
サラマンダーボディは炎を吹き散らしながら噛みついてこようとするのだが……!
『殺す殺す殺』
「どこでも掴めるサイズになってむしろ戦いやすくなったツアーッ!!」
攻撃全てを硬気功でいなしながら、燃え上がるサラマンダーに組付き……持ち上げる!
人狼殺しがあるお陰で、短時間なら不死者からの常時ダメージみたいなのを受けなくなるのがありがたいよな。
ってことで!
「ツアーッ!! ブレーンバスター!!」
『ウグワーッ!!』
ポンドールの外に、サラマンデスの巨体が倒れ込む。
『許さんぞ……許さんぞジョナサァァァァンッ!! 私は、私はこの身が滅んでも貴様をぉぉぉぉぉ!!』
倒れているのに、全身から炎を拭きながら周囲を焼き尽くそうとしてくるな。
これは厄介だ。
それに、俺の人狼殺しの残り時間が少ない。
この巨体を短時間で仕留めるにはどうするか?
核であろうサラマンデス本体への、集中攻撃しかあるまい。
ちらりとグーテンを見た。
彼は頷く。
やってくれと言っている。
俺は走り出した。
縮地!
圧倒的な速度で勢いをつけ、サラマンダーのボディを大地として震脚!!
『ウグワーッ!! 貴様、貴様ーっ!!』
炎のサラマンダーボディを破壊され、叫ぶサラマンデス。
炎の剣がでたらめに振り回される。
だが、それら全てを真っ向から……。
俺の技がぶち抜く!
「縮地! 震脚! 浸透勁! 発剄! シャイニングウィザード!!」
この瞬間、世界の何よりも早く鋭い飛び膝蹴りが、サラマンデスを粉々に吹き飛ばしたのである!
『ウグワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?』
魔人がサラマンダーボディごと弾け散る。
上手いこと調整したので、頭だけがころっと落ちた。
当然死んでいる。
これを俺はサッと動いて回収し、ナルを手招きした。
一瞬で彼女が隣に現れる。
「なーに、ジョナサン?」
「この生首をグーテンに手渡しておいて」
「ひえー! 首じゃん! 生きてる?」
「死んでる死んでる。二回死んでもお釣りくるくらいダメージぶち込んだからな」
現に、俺にすごい勢いで経験点が入ってきている。
そうか、こいつで黒槍と同じ位の経験点なんだな。
経験点が入るということは、サラマンデスが死んだという確実な証拠なのだ。
ということで……。
ポンドールを襲った敵は打倒し、魔人の首は不死王に返り、グーテンの疑いはまあまあ晴れた。
三方よし!
ちょっと離れたところでは、岩石の怪物がついに残りHP1をジョンに削りきられ、『ウグワーッ』と崩れるところだった。
こっちもよし!
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