第80話 サラマンデス関係で、一発で関係性を明らかに!
考えるまでもないのだ!
グーテンを探し当てて近くをチョロチョロしていると、勝手にサラマンデスがリベンジにやって来るであろう。
そこで二人の絡みをバッチリキャッチすればいい。
十中八九、グーテンダークはサラマンデスの真意を問いただすことだろう。
このシナリオ、サラマンデスの主たる五将軍のインフェルドンが超越者によって操られているという設定があってだな……。
五将軍は倒されても、不死王国最深層に亡骸を安置して儀式を行うことで復活する。
そうすると超越者の支配から逃れられるわけだ。
つまり、倒すしか無い!
「ってことで行くぞ行くぞ」
「君は何でも知ってるな……!! やっぱりセレス様から教えてもらっているのか?」
ジョンが何か聞いてきた気がしたが生返事をした。
「おう、そうだな?」
『勇者が適当な返答をしましたねえ……。まあ、素直に話しても理解してもらえないでしょうし』
「なんだか物凄い速度で話が動いているんだけど!? カイ、今まで冒険者やってこんなこと初めてだよ!?」
「むっふっふ、カイはジョナサンと付き合ってまだ日が浅いからね。この人、なんでもかんでも異常な速度で片付けちゃうから、見てて!」
ナルがドヤ顔するのだった。
うむ、スピーディに状況を終えるのは俺のモットーだからな。
さて、グーテンを探して歩き回る……。
「おっと、情報収集が凄く得意なのが戻ってきたんだった! ナル! 頼みがある!」
「なあにー?」
「グーテン探してくれないか? 多分この街にいるだろ」
「あ、グーテンさんね。オッケー! ちょっと待ってて!」
そう宣言するや否や、ナルの姿が消えた。
「きっ、消えた!?」
カイ、度肝を抜かれただろう。
あれは天狗の抜け道という技でな……。
これと盗賊スキルを組み合わせて、ナルは人智を超えた情報収集、情報伝達能力を発揮するのだ。
三分くらい待っていたら、またナルが実体化した。
「いたよー! ヴェローナも一緒だった!」
「ほうほう! そういえばそうか。ヴェローナはグーテンのお付きだったな」
ずっと一緒に行動していたから、すっかり忘れてしまっていた。
では会いに行こうということになる。
グーテンはちょっといい宿を根城にしており、今も二人はそこにいたようだ。
なお、ナル曰く、
「二人とも夜になるといなくなることが多いんだよね」
だとか。
それは簡単な理由だ。
グーテンは不死王だから、夜間は不死者の王国に戻って統治を行ったりしているのである。
「グーテン!」
俺が声を掛けると、フルアーマーの戦士が振り返った。
ちょうど宿に戻るところだったようだ。
『おお、ジョナサン。久しいな。君の活躍はヴェローナから聞いていたぞ。人間同士の戦争を奇想天外な戦術で止めるとは……。君はプレイヤーであると同時に軍師でもあったのか。天が二物を与えるんだな。ずるいぞ……』
ちょっと本音出てるじゃんか。
彼もMMORPGなるゲームに勤しむプレイヤーだったらしい。
それが異世界にやって来て、不死王の肉体に宿ってしまった。
つまり、俺とグーテンはご同輩だ。
「時にグーテン、五将軍の話なんだが……みんな元気?」
『むむっ? 君はどこまで知っている?』
「実はこの先にある村で、サラマンデスという魔人と戦った。インフェルドンが進撃を開始して、その露払いをしているみたいなことを言っていたが」
『むっ……むむむむむ……』
「またジョナサン、グーテンさまにいらない事を吹き込んでいますわね!」
おこな状態のヴェローナに小突かれてしまった。
「いやいや、ぶっちゃけると盗賊ギルドはグーテンがグーテンダーク関係者じゃないかと怪しんでる。だからそれを調べろという依頼が俺に来たんだ。グーテン、冒険者を続けられるかどうかの瀬戸際に来てるぞ」
『なるほど、そういうことか……。この街にも鋭い者がいると見える……なんでバレたんだ』
名前がまんまだからじゃね……?
いや、言わないでおこう。
『私は人間の世界というものを知るために、まだ冒険者を続けていきたい。盗賊ギルドからの疑いを晴らすためにはどうしたらいい、ジョナサン?』
「ああ。実はこれから、俺を目当てにサラマンデスが襲撃してくる。ボッコボコにして叩き潰すので、これを見逃してくれ。あと、明らかに正気ではなくなった五将軍とかとバチボコにやり合うんで、こいつらを復活させて正気に戻すのを任せたい」
『むっ、むむむむ……私のクランだぞ……! そ、それが傷つけられるのを見逃せというのか……! ぐぬぬぬぬ』
ここでハッとするヴェローナ。
「ジョナサン、もしや、帝国に入り込んでいた使徒とか言う連中……あれが、五将軍の方々の中にいると言っていますの?」
「そう言うことだ。本来であれば人類に対して中立であった不死王国の五将軍。この一人であるインフェルドンが攻撃を開始したというのは明らかに不自然だ。しかも、帝国の停戦を待つ形でだ。帝国は好戦的だった第三皇子が死んだし、皇帝もなんか気を病んで死んだ可能性がある。残るは穏健派の第一皇子と、権威が失墜した第二皇子のみ。裏で糸を引いているやつが帝国に見切りをつけ、新たな侵略を開始したのは間違いない」
『全部喋りましたね勇者よ。でも不死王ならば、超越者の話も信じてくれることでしょう』
俺もそう思う。
この話を聞いて、グーテンはすぐに理解したようだ。
『このパルメディアサーバーは、世界から隔離されて異世界化している。これを主導したゲーム管理者がいる。そいつが裏で糸を引いているということか……!』
あー、グーテン側の理解だとそうなるのね。
では俺も、そっちの解釈に乗っておく。
やっぱり、俺とグーテンで遊んでるゲームがぜんぜん違うんだな!
その2つのゲームが繋がってしまい、この世界に通じた。
やはり何かが起こっていると見て間違いないだろう。
そんな話をしていたら、ポンドールの入口あたりで火の手が上がった。
おいでなすったぞ!
「グーテン! 許可をくれ。そうすれば俺はあんたの味方をやる」
『……仕方あるまい! だが、私も状況を確認させてもらうからな!』
こうして、俺と不死王が肩を並べ、追ってきたサラマンデスのもとに向かうのである。
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