第77話 ポンドールへの帰還!
レベルが上ったジョンに運動スキルを覚えさせ……。
移動能力を大きく上げたぞ!
そして飛行するカイを伴って、三人でポンドールへ向かうのだ!
「凄い……! 体が軽い……!!」
「そりゃあもう運動スキルにそこそこ割り振ったからな。馬と同じ速度で走れるぞ」
「君たち、なんか妙なこと言ってない? それに異常に走るの早いんだけど!?」
俺達を非常識扱いするカイも、炎を足の裏から吹き出して飛んでいるではないか。
ロケット噴射で飛行する大昔のスーパーロボットみたいな女だな。
ゲーム画面ではドットで描かれてたし、一列になって移動するから全く気づかなかったぞ。
解像度が上がると、ゲームも全く変わって見えるんだなあ。
「ジョナサンがバック走しながらカイのこと見上げてくるの、なんか不気味なんだけど!」
「いやあ、すげえ飛んでるなあと思ってさ。姿勢いいなー」
「お師匠様から習った由緒正しい飛行ポーズなんだよね」
両手を前に突き出して飛ぶ。
スーパーマン的なあれだ。
なお、ジョンは初めての高速ダッシュを制御するのに必死。
ポンドールの方角は覚えているから、そっちに向かってひたすら足を進めている。
「こ……これが君の見ている世界なのか……! 人智を超えた世界……! 僕が今まで体験したことがない領域だ……!!」
「おう。30レベルを超えるということはこういうことなんだ」
具体的には、冒険者編をクリアしたときの俺が35レベルになる。
その付近までジョンは一気にレベリングされたわけだ。
いやあ、デーモンウォリアーがちょん、とジョンをつつけば死んでたけどな。
危ないところだった。
「そんな事をしていたら見えてきたぞ、ポンドールが……!」
「速い!!」
「カイが飛んでたら大体こんなペースだけど、二人とも異常に速いんだもの!」
「ハハハ、これがスキルを伸ばした威力だぞ」
この世界の住人は、基本的にスキルを伸ばすという事を知らないからな。
レベルアップによって自動獲得されるスキルだけで生きているのだ。
その点、俺はステータス画面を開いてスキルポイントを自由に割り振れるので、望みのままの強化が可能というわけだ。
まあ、格闘と運動にほぼ全てのスキルが割り振られているが……。
ポンドールの入口で、馴染みの兵士が俺に気付いた。
「やあジョナサン! 噂は聞いているぞ。卓越した知略で帝国軍を手玉に取り、ついに奴らの侵略戦争を止めたらしいじゃないか。戦う智将ジョナサンとしてポンドールでも有名だぞ!」
『あっ勇者よ! 新たな称号が生えましたよ! 戦う智将だそうです。ふんふん、最前線で策略を巡らせながら相手を殴っていると、自分と仲間に攻撃力バフが、周囲の雑魚敵に行動速度デバフが掛かるようです』
「なんだそのピーキーな称号!? まあいい。無いよりはあったほうがいいもんな……。よう、久しぶりだな! そうか。俺のことは有名になったらしいな。俺は今回、不死王の軍勢と戦いを開始していてだな。戦うためのヒントを得に戻ってきたんだ」
「なるほどなあ……。ジョナサン、あんたは冒険者の頃から只者じゃないと思っていたが、まさに英雄になるために生まれてきたような男なんだな!」
他の兵士たちもやって来て、やんややんやと盛り上がった。
これを見て驚いているカイ。
「ジョナサンって、そんな大物だったの……!? どうりで魔人たちと戦えるはずだよ」
「うん、僕の目標でもある……!」
ジョンが嬉しいことを言ってくれる。
俺と比肩するくらいに強くなってくれ!
そしてヒロインを全員面倒見てくれ。
その後、兵士はカイに向けてウィンクした。
「いい男を見つけたな! カイ、こいつはポンドール最強の冒険者だぞ! 等級を上げきらないうちにやめちまったけどよ。今ギルドでブイブイ言わせている成り上がりとはモノが違うぜ!」「ああ。噂に聞いたグーテンさんとの戦い、俺達も見たかったなあ」
「それほどの腕なの!?」
驚くカイ。
それよりも、ブイブイ言わせている成り上がりというのが気になるな。
いや、誰なのかは分かってるんだが。
不死王編に登場する、序盤の間男こと……勇者(自称)カッフェルという男だ。
ムキムキでリーゼントで、飛び抜けて腕のたつ戦士ではあるのだが、性格が最悪。
他人の女を寝取るのが趣味で全ての女は自分のものだと公言する男である!
賢者モードで無い頃は、彼によって作られる叡智シーンにお世話になったものだ。
まさかこの手で彼を叩き潰す時が来るとはなあ……。
しみじみしながら、俺はジョンとカイを従えてギルドにやって来た。
「まあ!! まあまあ! ジョナサンさん!!」
受付嬢が俺を見て、目を輝かせる。
「戻ってきたんですね、ジョナサンさん! ご活躍の噂はポンドールまで届いていますよ!」
「ああ。国を守りたい一心で頑張ったらそうなったわけだが、仲間たちの活躍のおかげとも言えるんだ。あまりな、こう、騒がないでもらえるとありがたい」
「まあ、謙虚……!」
あまり騒がれると活動しづらくなるからだよ!!
この世界から離れる予定なので、名声を高めてもあんまり意味がないのだ!
「それよりも、ナルいる?」
「ナルさんなら……例の彼を避けて盗賊ギルドにいると思いますけど」
「おお、NTRが発生してなかった。ま、俺という存在がいなければ、イベントが動き出すことは無いわけだが……」
そんな噂をしていたら……。
「おう、どけどけ!! 俺のお通りだぞ!!」
ドカドカと足音を立てて、ギルドに入ってくる男がいる。
振り返ると、そこには派手な色の甲冑を纏ったリーゼントの男。
自称勇者カッフェル。
己を、不死王軍への切り札だと嘯く男だ。
「おい、邪魔だぞ。どけ」
「俺が先着なんでな。大人しく並んでいたまえよ、カッフェルくん」
「なにぃっ!?」
目を見開いて歯を剥き出しにするカッフェルなのだ。
まさかすぐに間男と遭遇してしまうとはな!
ナルとバイフンに会いに行く前に、ちょっと撫でてやるとするか。
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




