第73話 ジョナサンの帰還!
新たな仲間、この世界における本来の主人公であるジョンを連れ、レイク王国へ帰還する俺達なのである。
英雄の帰還だというので、物凄い盛り上がりで迎えてもらった。
「やあやあ、ありがとうありがとう」
「ジョナサン様よ!」「王国を時間凍結から救ったのみならず、帝国との戦争も終わらせてしまうなんて……」「凄い英雄だわ……! それに若い……!」「デクストン様もお認めになられた実力者だそうよ!」
女子たちの熱視線を感じる~!!
俺の貞操が危ない!!
『いっそここまで来ると、モブな女子では勿体ない気がしてきましたね』
「おお、実るなら何でも良さそうだったセレスが!」
『勇者はかなり勿体ぶってやって来てますからね。私の中でブランド化してます。私が認めた女子以外とは実らせませんよ~!!』
なんたる心境の変化!
『ジョンは幾らでも実らせたいところですが、今は外見が可愛い以外に特徴がないですからね。勇者よ、彼を鍛えて実りを得やすくしてあげるのです』
「実り関係はジョンに任せることにしたのか。結婚しない息子に結婚の話をするのを諦めた親のような心境の変化だな」
『ま、いざとなれば勇者は私がもらってあげますからね』
「いらねえー!」
「なに仲良く掛け合いやってんのよ」
アルシェに突っ込まれてしまった。
なにげにこいつ、ツッコミ属性だな。
サキュバスなのに一番常識人ってどういうことだよ。
「そう言えばアルシェは、ボナペテーのところに帰らなくていいの?」
「あっ、忘れてたわ。あまりにも毎日がハチャメチャ過ぎて。ちょっと実家帰るわね」
そう宣言すると、アルシェが飛び立って行った。
またなー。
「じゃあねーアルシェ!」
「私、サキュバスってもっと恐ろしいものかと思ってました。でも全然普通の人なんですねー」
「あれが例外中の例外だと思いますわよ? いえ、実力は私が知るサキュバスの中でも随一ですけど、なんであんなに人間くさいのか……」
「ぼ、僕の知らない人間関係が構築されてる……。寝取られじゃない関係は初めてだなあ……」
五人でアルシェを見送った後、マリーナに挨拶に行くことにした。
俺がやって来ると、後宮を守っていた女性兵士がぱっと表情を明るくする。
「ジョナサン様! ようこそいらっしゃいました! あの、マリーナ様に伝えてまいりますから! それでそのう、あの、握手していただいても」
「いいぞ!」
「あーっ! 素晴らしい握力!! この手の骨がミシミシ言う感覚、私ずっと忘れません! マリーナ様! マリーナさまー! ジョナサン様がご帰還なされましたー!」
ぱたぱた走って行ってしまった。
「ジョ、ジョナサンさんがすっごく特別扱いになってます!!」
「やっぱり英雄だからねえー。すっごいことしてたもん!」
すぐに、女性兵士の数が五倍位になって戻ってきた。
増えてる増えてる!
後宮の守り全員来たんじゃないの!?
みんながみんな握手を求めてくるので、結局たくさんの女子の手をみしみし言わせてからマリーナのもとに向かった。
みんなちょっと力を入れて握手すると喜ぶのな。
「ジョナサン!」
声がかかった。
部屋からマリーナが出てくるではないか。
「マリーナ……!」
ジョンが小さな声で呟いた。
お前のヒロインだろ。
そんな自信なさげでどうする……と思ったが、まあ無理はない。
どれ、ここは俺が対応を……。
「やあマリーナ。無事なようで何よりだ。団長は約束を守ってくれたんだな」
「ありがとうジョナサン! あなたが戦争を終わらせてくれるなんて……! 本当に、本当にありがとう!」
ウワーッ!!
いきなりのハグ!!
超反応を誇るこのジョナサンの肉体でも全く反応できなかった!!
いかーん!!
俺の賢者モードが破られるーっ!!
『やっぱり彼女、ジョナサンの肉体と最高の相性みたいですねえ。私が策を弄するまでもなく、勇者が実りモードになりつつあります』
「それなんだよな。なお原作ではマリーナと結ばれるルートは無い……!! あらゆるルートで絶対にNTRされるメインヒロインだからな……。そうか、そんな相性という隠し要素があったのか……」
「ジョナサン? 何をぶつぶつ言っているの? まあいいわ! 私は今、とても機嫌がいいんだから。あなたに入室を許可するわ」
「なにっ、女が男を部屋に招くということは、かなり特別な意味を持つのではないか」
「あなたならば、もう誰も文句を言わないもの」
い、いかーん!!
これはいかんぞ!!
断る理由が無い!!
無くなってしまった!
活躍……しすぎたーっ!!
二度に渡ってレイク王国を救い、押しも押されぬ最高の英雄になってしまった……!!
ついカッとなってやってしまったー!!
『英雄になって後悔してる人間は初めて見ますねえ!! 勇者は本当に予想外のアクションばかりしてくれます! でもここは流されてもいいのですよ……。横でなんかプルプル震えてるジョンは残念でしたが』
「ハッ!! そ、そうだった! マリーナ。実は俺は弟子を取った。ジョンだ。おいジョン、前に出て殿下へ挨拶をしろ」
俺は彼の背中を押して前に出した。
彼はちょっとよろけたが、どうにか踏みとどまる。
「マリーナ……姫様。お、お初にお目にかかります」
臣下の礼をするジョンこと、ジョナサン(本物)。
「へえ、ジョナサンの弟子なの? いいじゃない。あなた、頑張りなさいよ。ちょっとやそっとじゃ、ジョナサンにはついていけないんだからね?」
「は、はい……!」
ちょっと嬉しそうなジョンだ。
「ということで、ジョンをこれから鍛えてやらねばならない。新しい英雄を育てるつもりなんだ。お招きはありがたいが、俺はまだまだやることが山積みでな。また夕食の時に会おう!」
「なるほどね。私人である前に、人々から期待される英雄であると……。凄いなあジョナサン。どんどん大きい存在になっていくわ……」
むっ!!
マリーナからの好感度がまた上がった気がする!
やめろーっ!!
『上手い回避の言葉を口にしたようですが、むしろ彼女の中の情熱は燃え上がっていますねえ! いいですよいいですよー!』
よくない!
よくないぞー!!
不死王編が始まるんだから、なんとか連中が動き出す兆候を発見し、出撃せねばならない。
マリーナと長くいると、絶対に俺の自制心が先にやられるからな!
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