第68話 開戦! デクストン暴れる!
さて、女子たちとともに移動する間に、ダイオン率いるガイヴァン防衛部隊が増えていた。
解放軍リーダーが連れてきた、プロマスの軍隊も合流したようだ。
これは心強いぞ!
モンカー皇子の軍勢は既に進軍を開始しており、戦闘開始は時間の問題。
「割と数が増えて、いい感じになったんじゃない? これなら戦争になるでしょ」
アルシェがチエリを抱っこした姿勢のまま、俺の真横を低空飛行している。
「ああ。一見するとそう見える……。だが、この状況は戦争にはならない」
「戦争にならないぃ? どういうことよ」
「真横からデクストン団長が殴りつけるからな。あの人は遊撃部隊で唯一の無双系キャラだ」
「無双系……?」
「キャラ……?」
アルシェとヴェローナが不思議そうにするのだ。
走りながら横を見ているとよく分かると思います!
「俺たちは後ろからぶん殴るから、まだ余裕がある。ちょっとだけ団長の暴れっぷりを見ながら行こうぜ」
そういうことになった。
いやあ、俺が殴らなくていいのは楽でいいなあ!
軍師、最高!!
いや、NTR野郎はこの手で粉々にしてやるのが最高なんだけどな。
どれどれ……?
「ケケーッ!! 我こそは双剣の使徒!! 下位なりとは言え、並の兵士では相手にもならないぞ!!」
「ウワーッ!」「こいつ強いぞ!」「て、手数が違いすぎる!」「やられるー!!」
一般兵たちピンチ!!
だがそこに、颯爽と現れる影!!
「ハーッ!! 横合いから失礼するぞ!!」
「なっ、なんだ貴様ーっ!?」
騎士団が真横からエントリーだ!
調子に乗っていた、使徒の取り巻き兵士たちをアホみたいな速度で切り捨て、人間離れした走力で戦場を横断してくる!
帝国軍が奇襲を受けて動揺する!
戦闘にいたショートソード二刀流の男は、黒いマントをなびかせながら振り返った。
なるほど、双剣の使徒か。
超越者の力を受けたやつの中では下位ということだな。
デクストン団長は一瞬で相手の技量を見抜き、一般騎士が使徒と戦わないように立ち回る。
あっという間に、使徒VS団長の状態になった。
「ふん! たかが人間の騎士が、使徒となった我を……」
「ハーッ! 第二段階解放! シルバー・デクストン!!」
「なにぃーっ!? 鎧と髪と瞳の色が銀色になった!」
おまけに動きに残像がつくぞ!
バトルが始まる!
※
「……」
これを横目で見ていたヴェローナが呆然としている。
「なんですの、あれ?」
「デクストン団長の能力解放だろ? ノーマル、シルバー、ゴールド、プラチナ、アルティメットの五段階があるんだ」
「本当に人間ですの!?」
「なんかよく分からんが騎士を極めてしまった男だ。ほらほら、下位の使徒が押し込まれてるぞ。シルバーは速さに優れるからな。双剣の使徒の二刀流では全然手数が足りていない」
「ま、まあまだ、常識的な強さではありますわね……」
そう見えるか?
見えるだろうなあ。
※
「やあやあ我こそは大槌の使徒!! 双剣よ助太刀いたす!!」「俺様はこいつらを統括する、黒剣の使徒!! 俺達三人が出てきているとは思わなかっただろうな! 身の程知らずめ、叩き潰してやる!!」
※
「三対一になりましたわよ? あれは勝ち目がないのではありませんの?」
「うむ、常識的には厳しい。だがあの団長、まだ解放を三つ残している」
※
使徒三名の猛攻で、団長が追い込まれたと思ったその時!
「ハーッ!! 第三段階解放! ゴールデン・デクストン!!」
髪と瞳と鎧が金色になった!
これでデクストン団長は、心技体を兼ね備えた強さになる。
「ケケーッ!! そんな虚仮威しを! ケーッ!!」
双剣が襲いかかる!
がそれを剣の腹でいなしたかと思うと、刃を翻して一閃。
双剣の使徒が唐竹割りにされて死んだ。
「ウグワーッ!!」
「双剣!!」「馬鹿な、双剣が軽々と!? 下位とは言え使徒だぞ!!」
「ゴールデンッ! デクストーンッ!!」
※
「あれ、人間ですの? 今の段階で、五将軍に迫る力を発揮してますわよ!?」
「プラチナム・デクストンになると五将軍を軽く凌駕するから楽しみにしててな」
「本当に人間ですの!?」
「騎士クラスを極めただけの人間だぞ」
※
「ハーッ!!」
大槌の使徒がブイの字に斬られて「ウグワーッ!!」と弾けて死んだ。
黒剣の使徒と剣を交えながら、片手間で倒すのだからとんでもない。
俺が見たところ、おそらく黒剣の使徒は黒槍の使徒よりはちょっと弱いくらいの実力。
まだまだ人外の域になってないやつだな。
中の下だ。
「くそっ! くそーっ!! ようやく黒槍が死んで俺様の時代が来ると思ったのに! どうして! どうしてお前のようなやつが!!」
「ハーッ!! ファルコンスラッシュ!!」
極められた基本の技、ファルコンスラッシュ!
それが空を切り裂きながら黒剣の使徒を襲う!!
「うおおっ! なんのーっ!!」
黒剣の使徒は周辺から黒い刃を生やし、剣の壁を作ってこれを受け止めた。
「ハハ……ハハハハハ! 見たか! 我が寿命を削って放つ剣の壁だ! あのお方より授かった力があれば、この程度の攻撃……」
黒剣の使徒がなんか調子に乗って語り始めた次の瞬間。
「ハーッ!! 一文字切り!!」
「なっ!?」
全ての剣の壁が叩き折られ、宙を舞っている。
そしてゴールデン・デクストンは黒剣の使徒の背後まで駆け抜けていた。
つまりどういうことかと言うと……。
「ウグワーッ!!」
黒剣の使徒の体が横一文字に叩き切られ、上半身がボトッと落ちた。
死んだ。
これを見て、帝国の兵士たちが震え上がる。
勢いが止まりつつあるな!
※
「本当に人間ですの?」
「多分。よし、俺たちは俺たちの仕事をするぞ! 後ろからぶん殴ろう!」
ここでアルシェが至極真っ当なツッコミを。
「全部あいつに任せたらいいんじゃない?」
「あれはあれで軍隊に交じると仲間も巻き込んじゃうから使い勝手難しいんだそうだ! だから団長は乱戦が始まると戦えなくなる!」
「面倒ねーそれ!! ってか、あんたのプロレス技って使い勝手いいのね」
乱戦でも問題ないからな!
ってことで、一気に帝国軍のしんがりまで到達した俺達だ。
さあ、挟撃するぞー!
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