第60話 変装して乗り込め!
南方都市ガイヴァン。
常に色とりどりの花に囲まれた、花の都である。
この花から抽出される様々な薬を各国に輸出しており、医療の都市としても有名であった……らしい。
「同時に、色街としても有名で。たくさんお金を持って、病気を治したりエッチなことをしたりしに来るんだって。でも、凄いお花畑を見に来る人も多かったって」
「様々な顔を持っていたんだな」
ナルの説明を聞いて頷く俺なのだった。
「花の精気って超弱いからお腹が膨れないのよねえ」
アルシェはなんの風情もないことを言っているな?
「ガイヴァンのお薬は、私達魔法医もよくお世話になっていました。最近、ガイヴァンの魔法薬が手に入らなくなってきたと思っていたら、帝国に占領されていたんですね……」
チエリもガイヴァンに親しかったのか!
俺以外みんなが知ってるんじゃないか。
「花……。ちょっと興味がありますわね」
「ヴェローナも魔法薬が欲しい?」
「いえ、その……。綺麗な花は好きですから」
なにぃーっ!
ヴェローナが可愛いところ見せてるんですけど!!
『勇者よ、これがデレですよデレ。押し倒せばすぐにでも実りをもたらせますよ! 彼女は不死王の軍勢ですし、ヒロインレース的にも問題ありませんよ!』
「セレスが俺と同期したせいでどんどんメタ用語を覚えていく……!」
「やめてくれます!? そこの女神が私の貞操を狙っているようで本当に怖いのですけれど!」
不死王の側近にすら恐れられる豊穣の女神よ。
さて、そのガイヴァンへ乗り込むためには、帝国軍の目を盗む必要がある。
別に正面突破してもいいのだが、それでは向こうに反撃の時間を与えてしまうし、いらぬ犠牲が出る可能性もある。
ということで、盗賊ギルドの情報トップ、バイフンから得たとびきりの情報を使って搦手で攻めるのだ!
即ち……。
ガイヴァンの色街へ送り込まれる、プロマスきっての美女たち……という触れ込みでヒロインたちが乗り込むというものだ!
当然俺も行くぞ!!
「あの~、ジョナサンさんは無理があるんじゃないでしょうか」
「なんてことを言うんだチエリ! 俺はみんなが心配で!!」
「チエリ、ジョナサンは一度言い出したら聞かないじゃん。ここは思うままにさせてあげよう!」
ナルは物分かりが良くて助かる!
なに?
諦めてる?
そんなことはない。
「えっ!? ジョナサン殿まで女装して乗り込むんですか!? 大人しく御者のふりをしていた方が……」
「ええい! 女子たちにばかり叡智な格好をさせておくつもりか!? そして男たちの魔の手は女子たちに伸びる! ギリギリで助けられればいいが、そうなるとも限らない! 俺は嫌だね!! 同じ場所で同じ脅威と出会い、そして戦って打ち倒す!! それこそがNTRと戦うたった一つの道じゃあないのかね!!」
「じょ、ジョナサン殿……!! あなたという人は……!!」
解放軍のリーダーが感動している。
そうだろうそうだろう。
『勇者の謎の情熱に当てられて、訳が分からないことをまくしたてられているだけなのに流れでジーンとしてるだけですよ』
「なんてことを言うんだセレス」
結局それで、解放軍リーダーを説得した俺。
馬車を用意し、その底に仕掛けをしておくのだ。
具体的には、仲間たちの装備を上げ底にした底面に隠しておく。
「はわわわわ、とんでもなくエッチな格好です……!!」
「うひゃー! こ、これはダメだよー」
チエリとナルが、踊り子みたいな露出度の高い衣装を纏って大変恥ずかしがっている。
バニールックだった時を思い出すな。
今回は胸元と腰回りだけ最低限覆って、あとはスケスケの薄布とかだからもっと露出度が高いかも知れない。
ヴェローナはヴェローナで、へそ出し占い師みたいな扇情的な姿だ。
スカートの切れ目から太ももが覗く……おっ、スリムな上半身に比べて、太ももはかなり鍛え込まれているな。
「な、なにを凝視しているんですの……!? いやらしい」
サッと太ももを隠すヴェローナなのだった。
かわいいかわいい。
そしてアルシェだが……。
「へ? 全裸じゃダメなの? 人間ってめんどくさいわねー」
「流石サキュバス、人間の恥じらいというものを持っていない」
「失敬ねーあんた! あのね、エッチなことをするなら手っ取り早いのが一番でしょ! ま、あたしの着るものは媚薬効果がある香水なわけよ」
「地球の古いセックスシンボルなスターみたいなことを言うサキュバスだなあ……」
とりあえず、何か纏ってる方が男は燃えるものであるということを、俺は彼女に説明した。
ぶうぶう言うアルシェに、紐みたいな下着だけを着せる。
そして俺も、とびきりの衣装を装備だ!
これ、まるでブーメランパンツを大きく伸ばして両肩に装備したような……。
「これは男性用の装備なんですよ」
「女装にならないじゃないか!」
「ジョナサン殿がデカすぎて合うサイズのものがこれしか無かったのです」
御者役を買って出てくれた、解放軍リーダーの説明を受けて納得した。
男のための衣装ならば、こういうのもあるだろう。
仕方あるまい。
男が大好きな兵士が多ければいいなあ。
「う、うわーっ! ジョナサンさん! なんて格好をー!」
「ひいー! し、刺激が強すぎるよーっ!!」
「破廉恥ではありませんの? あまり目の前で揺れないでほしいですわ」
「いやー、ここにマスターがいなくてほんっとに良かったわ! でも、そういう心配事なしにみるとめちゃくちゃ笑えるわねー! わひゃひゃひゃひゃ!」
『ふーむ!!』
セレスがヒロインたちの反応を観察している。
また何か企んでいるのか……?
『手っ取り早いのはアルシェですね!』
「セレスの企みなんかそれくらいしか無かったな……」
こうして完全な変装を終えた俺たちは、南方都市ガイヴァンへと向かうのだった。
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