第57話 プロマス解放戦終盤!!
「解放軍だと!? 片腹痛いわーっ!!」
「うわーっ、帝国のギャン将軍が出たぞーっ!!」「槍が盾で止められて近づけない!」「盾に仕込まれた連装銃の攻撃が!」「ウグワーッ!!」
「がははははははははは!!」
おっと、突っ込んでいった解放軍が痛手を受けている!!
プロマスの兵士たち、一般人しかいないからなあ。
高レベルで特別な存在がいない以上、帝国の特級戦力とでも言うべき輩が出てくると、刃が立たなくなる。
「下がれ下がれー! 盾もちは俺がやるのでー!」
俺は解放軍の合間を、軽気功でヒュンヒュン駆け抜ける。
この砦におけるボスキャラ、ギャン将軍が、手にした輝くサーベルで兵士にトドメを刺すところに「ツアーッ!!」と割り込んだ。
硬気功のパワーでサーベルがカキーンと弾かれるぞ!
「なにぃっ!!」
ギャン将軍が後退した。
のぞき窓が十字型の変わった兜を被ってるやつだな。
装備している盾はバカでかいラウンドシールドで、その周囲に連装銃が仕込まれているらしい。
銃を撃てるのは、魔力を持った人間だけだ。
つまりこいつは、重装備で戦える膂力と大量の銃を一度に扱える魔力を持った存在なのだ!
強い!
その才能を一点に特化させていたらな……!
どっちつかずは命取りだぞ!
「ほりゃほりゃほりゃー!」
重装備のくせに軽やかな横ステップをしながら、攻撃してくるギャン将軍!
俺はこれをチョップで切り払いながら、ラウンドシールドの連装銃を警戒する。
サーベルは大したことがない。
だがあの連装銃は俺の硬気功を抜いてくる可能性がある!
練気の間に合っていない硬気功は、強烈な攻撃には完全な防御ができないのだ。
『慎重ですね勇者よ』
「ふふふ、その逆だ。敵はシールドの連装銃に絶対の自信を持っている。つまり、俺が警戒する素振りを見せれば……」
シャカシャカシャカっと俺から間合いを取ったギャン将軍が、ラウンドシールドをかざした。
「俺のハイドガンを恐れていたようだな!! がははは! 喰らえ! 死ぬがいいーっ!!」
ガシャンガシャンガシャンと連装銃が展開する!
得意げなギャン将軍……めがけて縮地だオラァ!!
攻撃する瞬間!
相手は最も無防備になるのだ!!
一瞬で間合いをゼロにし、勢い余って密着して体当りし、ギャン将軍をふっ飛ばし「ウグワーッ!? なんだーっ!?」さらに縮地で吹っ飛ぶギャン将軍に追いつき、ダッシュしながらのエアプレーンスピンの体勢で抱えあげ!
「飛んでけやオラーッ!!」
「ウグワーッ!?」
縮地の勢いがついたまま、プロマスの城壁めがけてギャン将軍を投擲!
やつはそのままぶっ飛び、頭から城壁に激突してパーンと破裂した。
ポポポポーン!!
連装銃が今になってぶっ放され、花火のようで鮮やかではないか。
「どーれ、この仕込みラウンドシールドは俺が使ってやろう。俺は魔力が無いから、魔力は頼むぞ、セレス」
『えっ!? ここで私が出てくるんですか!? 力を失った女神が!?』
「俺のお陰で実体取り戻したでしょ!!」
『ンモー。仕方ないですねえ……』
渋々、魔力供給を担当してくれるセレスなのだった。
「やあやあ我こそは帝国に五兄弟ありと言われた五人の豪傑……」
「オラーッ!! 連装銃ブッパだーっ!」
「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」「ウグワーッ!!」
「ここから先には行かせんぞ!! 我こそは体内に無数の蟲を飼う蟲使い……」
「オラーッ!! 連装銃ブッパだーっ!!」
「ウグワーッ!!」
『勇者よ!! 私だけ頑張っているのではありませんか!!』
連装銃に任せて、帝国のネームド将軍たちを次々に倒していたら、ついにセレスが怒った!
いやあ、あまりにも銃が便利すぎて……。
銃本当に強いわ。
だが、ここでセレスがストライキに入ったので中止!
ラウンドシールドはポイ!
「それ、面白いですわね。私がいただきますわ」
「おっと、捨てる神あれば拾う神あり。……ヴェローナがこの無骨な武器を使うのか……」
「広範囲の殲滅にちょうどいいではありませんの。帰ったら分解して構造を調べてみますわ」
ということで、ヴェローナが連装銃付きのラウンドシールドを背負い、超重武装になったのだった。
ああー、優雅な人外銃使いお姉さんがヤマアラシみたいな重武装モンスターに……。
「今失礼なこと考えましたわよね!? 顔を見たら分かりますわよ!!」
「心を読んで来やがった!」
こんな軽いやりとりをする余裕があるくらいには、プロマスでの戦況は解放軍優位になっていた。
ネームドを片っ端から粉砕したからな。
一般兵だけなら、解放軍の方が多い。
数の力で一方的に踏み潰せるのだ!
人数差が二倍くらいあったら、もうそれは勝負にならないからな。
こうしてプロマスの隅に隠れていた帝国兵はあぶり出され、片っ端から処されていった。
おお、プロマス中心にあるお城みたいなところから、あられもない姿の女性たちがワーッと飛び出してくる。
解放軍も武器を捨ててワーッと駆け出していった。
あちこちで抱き合う男女の姿!
「やった! NTRを爆砕してやった!! ざまあみやがれ帝国!!」
『寝取られを許さないという思い一つだけで都市国家を解放しましたねえ』
「うむ、俺の自己満足だがな……」
『ですけど……彼らはそうは思わないようですよ? さあ勇者よ、責任を果たしましょう。彼らに希望を与え、絶望をひっくり返した責任を』
「なんだって!?」
気がつくと、解放軍と女たちが俺を囲んでいた。
「今、プロマスは解放された!! 全ては我らを率い、帝国の軍勢を退けた英雄、ジョナサン殿のおかげだ! 讃えよ! 解放の英雄を! その名はジョナサン!!」
解放軍リーダーがとんでもない事を叫びやがった!
このでかい声が、城壁の中で反響する。
プロマス中に届いたんじゃないか?
傷ついた兵士を癒やしていたチエリが、向こうで嬉しそうに笑っている。
ナルは後方腕組みで頷いている。
アルシェが肩をすくめ、ヴェローナはラウンドシールドの方に興味津々だ。
くっそー、俺が矢面に立たねばならんじゃないか。
俺は咳払いすると、プロマスの人々に向き直った。
「えー……」
『リップサービスでもいいので、何か景気の良いことを言いましょう!』
そうだな。
よし、それじゃあ。
「プロマス解放はまだ戦いの一歩目である!! 帝国をぶっ潰し、押し返し、全ての征服された国を解放する!!」
俺がカッとなって景気のいい話をしたら、一瞬だけプロマスの人々はポカーンとなって静まった。
一瞬の静寂の後、爆発的な歓声があがる。
『あー、これはもう英雄です。勇者よ、ちゃんと英雄をやらねばなりませんよ、これは』
セレスが妙に嬉しそうなのだった。
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