第56話 攻略せよ、プロマス!!
「さて、これまでは雑魚みたいな兵士と将軍しかいなかったが……」
「本隊を率いてた魔道士は普通に強くなかった? あんたがでたらめな技で叩き潰したけど」
アルシェの鋭いツッコミに、
「……ちょっと強いのがいるだけだったが、プロマスには明確にボスキャラがいるんだ」
「ボス……キャラ……?」
「ええと、とっても強い相手ってことですか?」
「そうそう」
ナルとチエリに説明してあげるのだ。
今のところ、タクティクスフェイズは原作ストーリー通りに展開している。
俺がパワーアップしているのと、本来いないはずのヴェローナがいることで超スピードで攻略していっているが。
「ふーむ、ジョナサン、やはりあなたはこの世界に関する何か重要な情報を持っていますわね。きっとそれは、私には理解できないものなのでしょう。ですけど、今はあなたに任せるしかないようですわね」
「大丈夫? ヴェローナなんか真面目過ぎない? こいつだよ? 逆バニーでポロンしながらあたしと戦うような変態だよ?」
アルシェだまらっしゃい!
ということで!
解放軍には、固く閉ざされたプロマスの城門をこじ開けてからが勝負だと伝えておく。
「我らの国だから分かりますが、プロマスの城壁を破ることは生半可ではありません。魔法を使えない我々では、あれを突破することは不可能かと」
解放軍のリーダーが不安そうだ。
怒りが収まってきて、冷静になったか。
「なるほど。帝国軍はあの魔法使いを使って攻略したわけだな。だったらこっちは、魔法みたいな身体能力で攻略だ。ナル! 頼む!」
「えっ、ボク!? そのー、ボクって戦闘力が全然無いんだけど……」
「アルシェをつけてやるから。ナルに侵入してもらって、内側から扉を開けてもらうんだ。そして城壁に並んでいる武器群を無力化もして欲しい」
「た、大変だー!!」
プロマスの扉は閉ざされている。
さっき、俺達がザイキーン皇子の軍勢を全滅させたのを見ていたんだろう。
籠城戦するぞーっ! という気配を漂わせているではないか。
兵糧攻めをしてやってもいいが、その間、解放軍の男たちのパートナー女子たちは大変なことになっている!!
それを許すわけにはいかん!!
速攻で占領軍を粉みじんに叩き潰すぞ!!
「ジョナサン、あなたの、その、なんとか4の字という技でどうにかなりませんの?」
「そうか。扉を痛めつけつつ、ナルを支援するか!」
よーしよし!
俺は一人、のしのしと城門めがけて歩いていった。
すると、俺めがけて無数の矢や砲弾が降り注いでくる。
帝国の銃手まで来ているのか。
プロマスは相当に重要視されているようだな。
「硬気功!!」
なお、攻撃は跳ね返しながらずんずん突き進むぞ!
幸い、迎撃に回っている兵士たちは大したことがない連中らしい。
全くダメージが通ってこない。
俺は巨大な門を前にして、どっかり腰を下ろし……。
足4の字固め!!
「ツアーッ!! おらっ! おらーっ!!」
虚空を噛んでいるはずの足は、門の魂みたいなところにガッチリと絡みつき!
痛めつける!
さらに地面をバンバン叩いて、門をギシギシ言わせるのだ!
城壁内部が騒がしくなってきた。
絶対に破られないと言われている門が、ギシギシ言い出したんだから当然だ。
なお、俺がやっているこれは陽動である!
既に、盗賊の七つ道具でカモフラージュしたナルが、高速で城壁に接触している。
そこから、壁のちょっとした凹凸を手がかりにサクサク上っていく。
いいぞいいぞ!
城壁から迎撃に回っている連中は、全員が俺に釘付けだ。
さらに俺の後ろには解放軍がワーッと展開しているからな。
いつ彼らが攻めてくるかも分からない中、謎の男が足4の字固めで城門をギシらせている!!
大混乱であろう。
『勇者よ、楽しそうですねえ』
「楽しいぞ。奴らはもうNTRどころではあるまい! 圧倒的優位にあると思っていた連中が、一気にその優位性を失って慌てふためく様ほど面白いものはないからな!!」
『ははーん、勇者よ、何気に戦略とかの才能がある……?』
「タクティクスゲームはちょいちょい遊んでたからなあ……」
そんな中、城の中が別の意味で騒がしくなり始めている。
どうやら、迎撃のための弓矢やら砲台が機能しなくなってきているようなのだ。
ナルの工作が成功しているな。
極めて高いレベルになった盗賊レベルは、ちょっと触るだけでその機械から重要パーツを取り外せるようになる。
これが剣や槍なら無理でも、城壁では弩弓と銃を使っていたわけだから……。
小一時間ほどで、迎撃用武器の三割くらいが無力化されたようだ。
これはナルがこちらに向かってくる途中で、ついでとばかりにやっている仕事だな。
優秀!
なお、兵士たちはアルシェが無力化しているはずだ。
そしてついに、城門の奥でガコン、と音がした。
これは……裏に施されていた閂が外れた音と見た!
「今だーっ!! 解放軍、突撃ー!!」
俺は鬨の声をあげつつ、練気!
城門に密着しながら……。
「うおおおおおおおおおおお!!」
叫びながら突っ込んでくる解放軍に合わせて、
「練気!! 発勁!! 崩拳!!」
散々足4の字で痛めつけ、閂による守りもなくなった城門は……。
俺の一撃で、ひしゃげながら吹き飛んだのだった。
「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」「ウグワーッ!?」
内側で、閂をどうにか掛けようとしていた兵士たちがぶっ飛んでいく。
天井に張り付いて、兵士たちが逃げ回っていたナルは、俺に気付くなりぴょーんと飛び降りてきた。
「ジョナサーン!! 死ぬかと思ったよー!!」
「おー! よくやったよくやった!!」
彼女をキャッチし、わしわしと頭を撫でてやる。
ナルはニッコニコだ。
アルシェも実体を現しながら、
「あんたがとんでもない陽動をしてたお陰で、思ったよりイージーだったわね。でも気をつけなよ? 城の中にいた強い連中が次々飛び出してきてるから」
「おう。ここからが本番みたいなもんだ」
次々と城塞都市に駆け込んでくる解放軍とともに、プロマスの中枢を目指すことになるのだ。
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