第55話 途中でザイキーン皇子の軍勢を見つけたぞ!
途中で食料調達をしたり、保存食を作ったりしながらもりもり行軍する。
解放軍のモチベーションはマックスだぞ。
奪われた自国を取り戻すのだ!
こうして、かなりの速度で城塞国家プロマスに迫った。
小高い丘に差し掛かった辺りだ。
眼下に帝国の軍勢が見えるではないか。
そこまで数はいないが、皆、解放軍と比べると装備がいい。
「ナル、あれはなんだろう」
「あっ! 大変だよジョナサン! あれ、お城に来た皇子の軍勢だよ! ボクたちで本隊を寝返らせたから、慌てて撤退してるところみたい」
「なるほど……。奴ら、見たところ解放軍よりも少ない。そして地の利は我らにあり。これは頭上から攻め込める状況だが……。俺は、解放軍のみんなが無駄に犠牲になることを望まん……。奪われた女は全員で取り戻すもんだからな!!」
俺の言葉に、うおおおお!!っとどよめく解放軍。
一部の男たちはなんか、感極まって泣いている。
「じゃあどうするのさジョナサン!」
「まず、俺とアルシェで飛び込んで場を荒らし、ヴェローナは好き勝手に撃ちまくってくれ。ほぼ全方位敵だから」
「またあたしー!? ま、お腹いっぱいになれるからいいんだけど」
「分かりましたわ。敵が分かりやすいのって楽で好きですわねえ」
飛び出す準備をする俺達に、解放軍リーダーが「すまない! いつもあんたに任せてしまって……!」とか言うのである。
「なに、気にするな。戻るべき男が死んだら、NTRは永遠に取り返せないだろうが!! うおおおーっ! 行くぞーっ!!」
俺は大きく跳躍し、さらに二段ジャンプした。
そこをさらにさらに、空中を走ったナルが後ろから「よいしょーっ!」と押す!
「うおおおおおおん!! まるで俺は人間砲弾だ! 着地はーっ! 硬気功ドロップキーック!!」
「空から何か降ってくる!!」「鳥か!?」「人か!?」「良く分からないやつだ!!」
判断が遅い!
俺は既に、敵軍の只中に飛び込んでいる。
五、六人巻き込んでぶっ飛ばし、着地した。
軍の外縁からは、姿を消したアルシェが侵入を始めている。
さらに、俺に遅れて着地したヴェローナは、二丁拳銃で乱れ打ちを開始する。
「ひぎぃーっ! なんだお前らー!? 謎の怪人かーっ!? 僕らに何の恨みがあるというのだーっ!!」
ザイキーン皇子が悲鳴をあげている。
彼もそれなりの戦略家らしいが、個人個人が戦術級の強さを持つ俺達が三人でカッとなって襲いかかってくることは読めなかったようだな!
あわよくば、皇子の首も取るか!!
兵士をエアプレーンスピンで持ち上げて振り回し、皇子に向かってぶん投げる!
「ひぎぃーっ!! ぼ、僕を守れお前らー!!」
皇子は権力で肉の壁を作らせ、どうにか身を守ったらしい。
肉の壁は「うわーだめだー!!」とぶっ飛ばされてしまったが。
ヴェローナはどう撃っても敵に当たる状況で、楽しげに踊り回っている。
で、アルシェは……。
皇子の側近らしい男の顔色が真っ白になってぶっ倒れた。
中枢まで入り込んでるじゃん!
だが、皇子に触れようとした所で、ばちばちっと電流みたいなのが走った。
これは帝国軍本隊の魔法使いが纏ってた結界だな!?
「あいたーっ! いたたたた! 無理! これはさわれない! 無理!」
アルシェが実体を現して、宙に舞い上がった。
「あ、悪魔だー! 悪魔がいる!」「どういうことなんだ!?」「ええい、矢を射掛けろーっ!! 殿下をお守りしろー!!」「こっちの銃を使って暴れている女も……」「ウグワーッ! 強い!」「なんか素手で暴れてる男が強い!!」「チョップで鎧を引き裂くぞ!」「化け物めえええ!!」
わあわあと騒ぐ帝国軍。
ザイキーン皇子は真っ青になっている。
これから、拠点としているのであろうプロマスに戻る気だったに違いない。
残念だったな!
皇子の軍勢はここが墓場だ!
俺は上空に向かって、兵士を一人ぶん投げた。
「ウグワーッ!?」
「ヴェローナ! 合図だ!」
「了解ですわ!」
素早く長銃に持ち替えたヴェローナが、ふっ飛ばされた兵士を狙撃する。
彼女は弾丸を撃ち分けられるようで、これは当たった相手を破裂させるやつ。
パーンッ!!「ウグワーッ!!!!」と汚え花火があがった。
ここで、丘の上から解放軍が姿を表した。
「うおおおおおおお!!」「許さねえぞ帝国軍!!」「滅ぼしてやるあああああ!!」「女子供を返せええええええ!!」
混乱の極みだった帝国軍は、更に大軍勢が丘の上から駆け下りてくるのだから完全にパニックだ。
完全に、戦いの趨勢は決まった。
端から、帝国軍が討ち取られていく。
俺が暴れ、ヴェローナが暴れ、アルシェは空の上で観戦モード。
「うはー、圧倒的じゃないのうちらの軍は」
「やめろアルシェ! それはフラグだ!! あー! アルシェが余裕ぶちかますから皇子だけが逃げてくじゃん!! なんだあれ? 輿みたいなのからロケットブースターが生えて飛んでいく!」
皇子と、彼を守る兵士の一部だけがこの場を脱したようである。
残る帝国軍は殲滅戦だ。
普通、降伏させて捕虜にしたりするものだが、なんと王子が引き連れていた軍勢は全員が帝国人だったらしい。
少人数だったのが災いしたな。
「こ、降参だ! 降参! 捕虜としての扱いを……」「プロマスは帝国人の捕虜を取らない! 死ね!!」「ウグワーッ!!」
恨みが深いなー。
こうして、解放軍は損耗なしに皇子の軍勢を平らげた。
ついでに、彼らが持っていた食料や装備を手に入れたのだった。
眼の前には城塞都市国家プロマス。
物々しい壁に囲まれたこの都市国家は、今や帝国の基地となっている。
「よし、このままの勢いでプロマスを落とす!! その前に! 作戦会議をしまーす!!」
俺が宣言すると、女子たちと解放軍リーダー、そして部隊長たちが集まってくるのだった。
タクティクスフェイズの佳境だぞ。
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