第48話 ダイオン、二度目の決闘!
朝食から90分後。
食休みも終わり、既に調子は万全。
ダイオンもたらふく食って、エネルギーを充填したようだった。
互いに手にするのは木刀。
ダイオンのは大剣型だな。
そいつを二刀流!
どうやら旅の中で、バトルスタイルを磨き上げていたようだ。
巨大な得物を軽々と振り回す。
「ジョナサン! 叩き潰してやるぜ!!」
強めのセリフだが、その態度からは以前のような俺への侮りが感じられないな。
対する俺は、軽く短めの木刀を手に取る。
相手の攻撃を受け止められればそれでいい。
俺の間合いは常にゼロ距離だからな!!
『勇者よ! これは実りにはあまり関係ありませんし、楽しんでください~』
「気が抜けるような応援であった」
デクストン団長が審判を。
騎士たちとチエリにナルにヴェローナ、そしていつの間にかやって来たマリーナが並んで観戦だ。
女子たちが声を合わせて、「ジョナサーン!」と応援する。
えっ!?
今、マリーナだけじゃなく、ヴェローナまで声を合わせた!?
完全に他のヒロインたちに引っ張られているな……!!
なお、アルシェは精気つまみ食いのために城内を透明化しつつ練り歩いているようだ。
自由過ぎる。
「では二人とも、準備はいいか?」
「おう!」
「無論!」
「実戦は準備を待ってはくれない。そして万全の状態でもないだろう。せめてこの練習試合では、万全の調子で全力を尽くし、互いの実力を出し切ってくれ!!」
「当然ですよ団長! この女たらし野郎を、完膚なきまでに叩き潰してやる!!」
「常在戦場……! 俺はこの世界に降り立ってから、常に戦場に身を置いている!! 来るがいいダイオン! いやこっちから行くぞ!」
「試合開始!!」
「オラアーッ!!」
「ツアーッ!!」
お互い見合った距離から、全力ダッシュ!
立て続けに振り下ろされる二本の大剣!
昔の俺ならこれを一旦受けていたことだろう。
だが今は違う!
発勁をねじ込んだ短刀とチョップを叩き込む!
正面からぶつかりあった得物と得物が強烈な衝撃波を生み、俺とダイオンを弾き飛ばした。
「なんのっ!! 次だあ!!」
「速度で翻弄してやろう! ただし正面から行く!!」
身構え、こっちに駆け出そうとするダイオンだが、既に目の前に俺がいる!!
「はええ!!」
「ツアーッ!!」
裂帛の気合とともに放つチョップ!
これをダイオンは大剣で受け止めつつ、もう一方の大剣を横薙ぎに振り回した。
そいつを俺は短刀で受け止める!
ここで俺とダイオンで拮抗だ!
「でたらめな強度の短刀だな! それにてめえジョナサン、一秒たりとも躊躇しねえ!」
「躊躇した瞬間にNTRされるからな! 故に拮抗しているこの間に! 俺は錬気している! 一秒たりとも無駄にはしないぞ今練気が50%溜まった崩拳ツアーッ!」
「ウグワーッ!!」
俺の片手中段突きが打ち込まれ、これを受けた大剣を粉々に砕かれながらダイオンの巨体がぶっ飛んだ!
だがしかし、ふっ飛ばされながらも空中で姿勢制御するダイオン。
ここで気づいたんだが、この練習場広くね?
高さと広さが東京ドームくらいある気がするんだけど。
試合が始まると広くなる感じ?
『勇者よ! 気が散っていますよ! ああ、ハンデですね』
「だって気づいたら突っ込んじゃうだろ」
「隙ありだぜーっ! おらああああああ!!」
天井を蹴ったダイオンが、大剣を振りかぶって高速で襲いかかってくる!
俺はこいつを後退して回避……なにっ!?
空中を蹴って姿勢制御した!?
運動スキルを上げやがったな!
『彼もパワーアップしていますね! 強い実りの力を感じます!』
「セレスはどっちの味方だよ!? ツアーッ! 硬気功!」
大剣の強烈な一撃を、硬気功を纏った肉体と短刀で受け止める!
「バースト!!」
なんか叫んだぞ!
大剣の木刀が白く輝いたと思ったら、爆発!
俺の短刀を吹き飛ばす!
そして伸びてきた腕が拳を作り、光り輝きながら俺の顔面を殴打!
俺も同時に頭部を使って発勁!
ダイオンの光る拳が、俺の光る額に押し戻されていくぞ!!
「オラア!!」
「ツアーッ!!」
衝撃波が練習場に広がる!
「あーれー」
「ひえー」
「なによこれー!」
「この方々本当に人間ですの?」
ヒロインたちがめいめい自由な感想を漏らしながら、衝撃波に転がされていった。
「そこまで!」
間にデクストン団長が割り込んだ。
この人だけ、衝撃波で少しも揺らいでいなかったな。
やはり化け物並に強いのだ。
「二人とも武器を失ったな。これ以上は戦闘不能とみなし、勝負は引き分けとする!」
「まだやれる! 俺はまだやれる! ってか木刀が脆すぎんだよ!!」
「ああ、木刀は儚い。麩菓子で戦ってるみたいだ」
お互い、今度は本物でやり合いたいもんだ。
だがその時は殺し合いだな!
デクストン団長が勝負を預かったので、練習試合は終わってしまった。
立ち上がったチエリとナルがワーッと駆け寄ってきて、俺をペタペタ触る。
「凄いですよジョナサンさん! 更に強くなってるー!!」
「うんうん! 超カッコよかったよー!!」
「ジョナサン、いつの間にこんなに凄くなってたわけ!? なんかキュンキュンする……」
マリーナも嬉しそうだ。
ヴェローナはふーむ、と唸っている。
あれは戦闘力を分析している目だ!
なお、ダイオンの健闘も大いに称えられており、騎士たちが集まってわいわいとダイオンを褒めている。
あれだな!
俺のところに女子ばかりくるから、騎士たちは対抗してダイオンをもり立てる方針にしたな!
すまんな!
サブヒロインじゃない女子は侍らせないから!
『いやー、ダイオンが強くなっていてびっくりでしたねえ! 楽しい試合でした』
「セレスが見るところ、あいつはどう思う?」
『彼もまた、気の操作をマスターしたと見て間違いないでしょうね。戦士は魔力を使わない代わりに、気を使って強くなっていきます。勇者の強くなり方は意味がわからないのですが、ダイオンのそれは妥当な進化ではないでしょうか』
「なるほど、この世界のことには詳しい」
『勇者よ、彼に実りを与えることを許せば、ステータスを見て楽しめるのにー』
「ダメ! 絶対にダメ!」
セレスの好きにさせてもいかんな!
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