第40話 輝け! 人狼殺しの称号!
再びもがーっと立ち上がってきたオウルベアだが、こいつはヴェローナが射撃で頭をふっ飛ばして黙らせた。
流石、不死王の手勢。
強さが半端ではない。
「すごー!」
「ヴェローナさん凄いですー」
女子二人からぱちぱちぱちーと拍手され、無表情なヴェローナなのだ。
いや、口角がちょっぴりだけ上がってるから、少しだけ照れてるな?
『勇者とともにいることで、サブヒロインとやら言う性質を与えられたようですね。感情が豊かになりますが、弱点として他の男と実りを作りやすくなります!』
「いらねえ特徴だーっ!!」
だが幸い、今回はワイバーンゾンビ狩りだ。
NTRの心配はない!
なんと心安らぐシナリオだろうか!
ナルに先導してもらいながらの、ワイバーンゾンビ捜索が再開する。
「ええと、足跡と、枯死させて回ってる木々の数があって……」
「もがーっ!!」
「きゃーっ、またオウルベアですー!! えいーっ!!」
「もがーっ!?」
チエリが新たなオウルベアをぐるんぐるん回転させながら投げ飛ばす!
パワーの差とか体重差とかものともしないな。
これが合気か……。
だが心優しいチエリは相手をいなすことはできても、トドメを刺せまい。
「任せてもらいますわ」
ターンッと射撃して、新たなオウルベアも仕留めるヴェローナなのだ。
しかしこの森、オウルベアが多いなあ。
「オウルベアは別の大陸から移住してきたって言われてるんだよねー」
ナルが気になる事を言った。
なにっ、別の大陸!?
「この世界の外にも世界があったのか」
「あるらしいんだよ! 外の世界に行った人はいないけどさ。でも、そっちからここに来た人はいて、オウルベアを連れてきちゃったんだって」
なるほどー。
そして奴らはこの森に居着いてしまったと。
だが、そんなオウルベアが俺達を襲うというのは、恐らくワイバーンゾンビによって住処を奪われているからではないか。
奴らは殺気立っており、これ以上生息圏を奪われまいとしているのだ!
「ということにしておこうと思う」
『それでいいと思いますね! 死んだのはみんなオス熊ですから、まだまだ数が増えられる余地がありますからね!』
おお、男に厳しい世界よ!
「チエリ、オウルベアは俺が担当して、あまり殺さないようにしよう……」
「ジョナサンさん優しい!」
あいつ、NTR関係ないからな。
俺はオウルベアが出る度に、崩拳でふっ飛ばして戦意を喪失させて回ることにしたのだった。
強烈なボディブローを浴びせられれば、巨大な怪物もやる気を失うぞ!
「もがが……」「もがー」
ついに奴らは俺を恐れて道を空けるようになった。
生き残ったオウルベアが俺の脅威を伝えてくれるのだ!!
『勇者よ、新たな称号が! 森の人という……』
「なんだそれ?」
『森で戦う際に命中率とダメージ、防御力に少しボーナスが入るようです』
「少しでもバフがかかるのは馬鹿にできんな……」
何かやる度に何か起こる。
原作の叡智ゲームはここまで作り込んではいなかったと思うが、この世界は明らかに細かさを増している。
「確か不死王はMMORPGとか言っていたが、そっち方面は俺は全く知らんからな……。まさか異世界NTRパルメディアがインターネットゲームプラットフォームにアップされてて、世界中の人が遊べるようになってるんじゃあるまいな」
『勇者が話す原作とやらは大変ろくでもないもののようですからね。そんなものが世界に広がったのでは、この世の終わりですよ』
「いや、この世界も大概だからな?」
セレスと喋っているうちに、森の奥へと到着。
そこは明らかに空気が違っており、紫色の霧が漂っている。
「あーっ! いけませんいけません! これは毒です! キュア!!」
進み出たチエリが状態異常防御の魔法を使用した。
この間は魔薬の効果を防いでいたし、本当に便利だな。
魔法医の重要性が高まっている……!
果たして、紫の霧の一番奥にそいつはいた。
翼が破れ、全身から触手みたいなものを生やした腐りかけのワイバーンである!
触手!?
ここで俺はピンと来た!
「こいつ……! 触手を使った異形NTRイベントを持ったモンスターか! 原作には無かったぞ!」
『シギャァーッ!!』
ワイバーンゾンビは、俺の声に反応して咆哮した。
新たな獲物を見つけたつもりか!
なんか触手がうねうね蠢いているぞ!
先端がなんか、モザイクが入りそうな形をしているではないか。
明らかにそういうの目的の触手だろ! 俺は詳しいんだ!
「援護を頼む、ヴェローナ!」
「わかりましたわ。では、どうやって触れずにワイバーンゾンビを倒すのか……見させていただきますわ……!?」
「ツアーッ!! 縮地からのチョップ!!」
『ウグワーッ!!』
うおおおおお!!
異形NTRは許さんぞーっ!!
俺のチョップがワイバーンゾンビの胴体を切り裂く!
縮地なので向こうは全く反応できない!
なお切り裂いた俺の腕にもダメージが……入ってないな?
『勇者よ、人狼殺しの称号能力が発動してますね。説明の文字が青く光っています!』
「なるほどー」
不死で再生能力を持つ相手と戦う際に、こっちのダメージをガツンと上げてダメージを与える邪魔になるデバフを無視するようである!
『ちなみに青い文字の横にメーターがありますね。これがぐんぐん減ってます』
「時間制限付きのバフかよ!! じゃあ速攻だ! ツアッ! ツアッ! ツアッ! ツアッ! ツアーッ!!」
連続チョップがワイバーンゾンビを切り裂く!
『ウグワーッ!! キシャーッ!!』
襲ってくる触手!
だが、これは接近してきたヴェローナが二丁拳銃で撃ち落としていく。
「でたらめな人ですわね……!? 至近距離でワイバーンゾンビを殴り続けるなんて、正気の沙汰とは思えませんわ。しかも……ワイバーンゾンビが再生しない……!」
「人狼殺しの効果時間中だからな! とどめを刺すぞ! ツアーッ!! 崩拳!」
『ウグワーッ!?』
ワイバーンゾンビの巨体が浮いた。
俺は縮地でバックダッシュの後、前方に縮地全速力で移動する!
「オアアアアアーッ!! 発勁! 崩拳! ドロップキック! 粉々だあああああっっ!!」
『ウグワワワーッ!!』
浮かばせられたワイバーンゾンビは、踏ん張ることもできない!
俺のドロップキックを受けて、やつは粉々に砕け散ったのだった!
『ゲージゼロになりましたよ勇者よ』
「危ねえ、時間ギリギリだった。これ、人狼殺しは対不死系モンスター称号としては最低ランクっぽいな」
もっと強いのを仕留めると、ランクアップすることであろう……。
地面に散らばって、うねうね動くモザイク付き触手。
これをヴェローナが無表情に撃ち抜く。
「ほんと……でたらめな人ですわね。でも、興味が湧いてきましたわ」
「むむむ、ライバルの予感……」
「どんどん激戦になっていきます……!」
サブヒロインたち、何をざわついておるのだね……。
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