第33話 三級昇格最終イベントだ! 間男との決着!
ポンドールに帰ってきたのだった。
海水浴場で行われた、魔薬と邪神の復活を巡る大事件。
これを俺達四人が解決したということで、大いに話題になっていた。
「やりましたねえ、ジョナサンさん!」
受付嬢が駆け出してきて、俺の胸板にコツンと拳を当てた。
そして「あら、出会った頃よりもたくましくなってる!」と俺の肉体の仕上がりぶりを実感するのだ。
「ちょっとちょっとー! いつまでジョナサンに触ってるのさー!」
「そうですよー! 女性と言えどそれは許されませんよー!」
ナルとチエリが出てきて、受付嬢をブロックした!
なんということだろうか。
彼女たちがいる限り、俺に他の女が寄ってくることはないのだ。
つまり、俺が彼女たちと行動をともにしやすくなっていると言えるのではないだろうか?
なにせ、放っておけば俺の近くをうろちょろするので、イベントシナリオの強制力が働かない限りは俺から離れないからだ。
うんうん。いいことだいいことだ。
俺もそろそろ実力をつけてきたことだし、三級昇格を目処に不死王との接触を図ってもよかろう。
『不死王の居場所を知っているんでしたか? 勇者は私よりもよほどこの世界に詳しいようですねえ』
「いや、あくまでメインとサブシナリオに関係したところだけだ。この世界にもっと、俺が知らない深みが存在しているのだろうと思っている……」
今のところ何もかも想定内なんだけどな……!
さて、三級に上がるためには、一つこなさねばならない試練がある。
それは……。
「では、三級昇格のための最後の依頼をお伝えします。御三方と一緒に行動していた冒険者、マズールが魔薬を横流しした情報が入ってきています。彼を捕らえてください」
「ええーっ! マズールが!?」
「エッチな人でしたけど、悪い人じゃないと思ってたのに……」
衝撃を受けるナルとチエリ!
だが、マズールが君等に何もしていないのは、俺が全て阻止したからだぞ!
原作では君たち、ここでは体が半分落とされていたからな!
なお……マズールが魔薬を持ち去り、ポンドールの裏社会と繋がって横流ししているという情報は俺が冒険者ギルドにタレ込んだ!
自作自演というわけである。
「仕方ない。仲間を討つのは悲しいが、俺達でマズールを倒そう!」
「えっ!? ジョナサンさん、倒すんじゃなくて捕らえるんですけど」
「ううーっ、マズール、君のことは忘れない!」
「マズールさんさよなら……」
「あのー! あのー!」
緑髪の受付嬢が、ぴょんぴょん飛び回っている。
ははは、すまないすまない。
「それで、俺たちはこのままだと三人で、依頼を受けられなくなるんだが……」
「ええ、そこは大丈夫ですよ。一級冒険者のグーテンさんってご存知ですよね?」
「えっ、グーテンさん!?」
ナルが目を輝かせた。
謎の一級冒険者グーテン!
白銀の鎧に身を包んだ槍使いの戦士で、その素顔は誰も知らない。
ポンドール最強の冒険者にして、人格者として知られている。
「グーテンさんから、皆さんのお手伝いに回してほしいと、冒険者を一人ご紹介いただいているんです!」
「へー! すごーい!」
「凄い人のご紹介なんですね。ありがたいです~」
ナルとチエリでキャッキャとはしゃぐ。
そして俺は油断なく身構えていた。
一級冒険者グーテン。
実は、こいつこそが不死王グーテンダークである。
彼は不死の無聊を慰めるため、時折こうして人間界に降り立つ。
そして人間たちを観察するのである。
今回は冒険者というものをやってみたら、たちまち大活躍して一級になってしまったと。
そりゃあ、不死王だからなあ!
さて、その不死王が紹介してくれたという冒険者は……。
「はじめまして。ヴェローナと申します。シューターをやっていますの」
真っ白な長い髪に褐色の肌の女だ。
長身スレンダー。
女子の属性を絶対被らせないという決意を感じる!
編んだ髪を肩から垂らしていて、得物は背負った長銃らしい。
魔力使って射撃するタイプか!
『新しい女性が仲間になりましたね! 実りの予感です!』
「ないない! それに彼女、不死王の部下の一人だぞ。リビングドールなんだ」
セレスとぼそぼそ話していたら、ヴェローナはカッと目を見開いて俺を見るのだ。
聞こえたか!
まあ高位のモンスターが人間のふりしてるやつだもんな。
これくらい聞こえるであろう。
「あなたがパーティーリーダーのジョナサンですのね? よろしくお願いしますわ」
「ああよろしく。幸い、君にはNTRイベントが無いから安心して頼れる。CGは可愛いのに制作者にはドール趣味が無かったらしい」
「なんのことですの……?」
「ごめんねヴェローナ! ジョナサンって時々難しい事を言うからねー。ボクはナル! シーフだよ!」
「私は魔法医のチエリです。よろしくお願いしますー!」
「ええ、お二人共よろしく」
笑顔は見せているものの、ヴェローナが二人に向ける視線は自分より劣ったものを見るそれである。
それに……。
「確かヴェローナが仲間になるイベントは無かったはずなんだが……。原作とは大きく変わってきたなあ」
『いいことではありませんか! 人生とは先に何があるかわからないからこそ楽しいのです。それに、勇者はヴェローナがNTRされないと言っていましたが、あなたが知る世界の物語と異なってきているということはNTRをされるかも知れませんよ』
「な、な、なんだってー!!」
衝撃を受ける俺なのだった。
キョトンとするヴェローナ。
むむむ……。
彼女がNTR対象のサブヒロインとなるのかどうかは……。
イベントに突入してみれば分かるだろう!
さあ、三級昇格の間男粉砕イベントにゴーだ。
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




