第223話 えっ!? 御降村ってこっちにもあったのか!?
「ブルブルブル」
「死んじゃうよ、死んじゃうよ……」
「降臨者様がやられて残ったの僕らだけだからもうだめだあ」
「おしまいだあ」
双子がへたり込んで絶望している。
そこにニコニコ近づくのは、やっと実体化出来たセレスだ。
「では二人とも私の眷属にしてしまいましょう」
「ひいー」
「たすけてー」
もはやお前たちを守るものはいないのだ!
というわけで、女神の神威に当てられてセレスの眷属たる獣に変えられる双子なのだった。
青と白のチンチラになったな。
セレス、何気にチンチラ時代を気に入ってたな?
「あーっ、かわいー! セレスちゃんを思い出すなー!」
チンチラを抱き上げて頬ずりする黄瀬。
双子はすっかり知能までチンチラ化して、モキュモキュ動いている。
これ、うちで飼うの?
飼うんだね?
そうですか。
俺もまた実体化し、後ろでは中条が呆然としている。
避難していた村人たちがやって来て、すっかり駅と近くなった御降村に驚いている。
「秘境の村じゃなくなっちゃった」
秋奈が呟いたのは、村人全員の総意であろう。
さらに彼ら、みんな降臨者による洗脳が解けたらしく……。
「何十年も村の中に引きこもって、俺ら何してたんだろうなあ……」
「若いもんはみんな都会に出ていって、年寄ばかりになっちまって……」
「でもよお、ミクダリ祭は盛り上がってたじゃないの」
「そうだ! おらが村にはミクダリ様があるもんな!」
指差す先には、欠けた隕石。
村興しが始まろうとしている……!
まずはこの村の近くに、駅を誘致しなくちゃな。
都会に近づいた御降村は、もはや因習村ではない。
これから昭和を終え、バブル時代を迎えるこの国で観光地化していく事になるのだ。
頑張るがいい。
「おっと、時間みてえだな。もうちょっと暴れたかったが……また、超越者の奴に無理を言ってお前とやりあいに行くからな」
ダイオンが近づいてくる。
「おう、いつでも来い。いや、平日は会社があるから土日祝日に来い」
「お前……それだけの力があるのに誰かの下について働いてるのか!? お前ほどの男が!?」
「あっちはあっちで、その方が楽だし娯楽に溢れてるから権力なんか無くても良くてなあ……」
「驚いたな。城之内は社会人だったのか……。俺達より年上なら、時折見せるあの落ち着きようも理解できるというものだ。それはそれとして俺達より明らかに狂っていたのは謎だが」
「社会人になると、頭がおかしくなるもんなんだよ花京院」
そして三人でわははと笑った。
男の会話などこれで十分なのである。
『えー、では宴もたけなわだが、これにて作戦は終了とする。はいはい、みんな元の世界に戻るぞ』
「おい超越者よ! ちゃんとジョナサンの世界に繋いでくれるのじゃろうな!?」
「そうですわよ。報酬後払いを信じて招集に応じたのですからね」
「ジョジョのところに連れてけー!」
ネイアとヴェローナと黄瀬にわあわあ言われて、超越者が困った顔をした。
お前もそんな顔になるんだなあ……。
『この娘は俺様の弟子になったしな……。それに契約した以上、報酬は払わねばならん。ネトラレブレイカーよ、あとは任せた』
「おぉーい!!」
俺は超越者に逆水平チョップでツッコミを入れた。
『ウグワーッ!』
次の瞬間!
俺とセレスは元の部屋に戻ってきていた。
二人きりである。
「今回も終わったか……」
「ですねえ。あっという間だったような気がしますよ。懐かしい顔にも会えましたし」
「ああ。ほんとにな。男子組……また会いたいなあ」
「女子の方ではないのですか!? 私の前だろうと気にせず、大いに実ってなんなら子供を作っていいのですよ!?」
「後々大変なことになるからやめてくれ……!!」
下の階に降りていった俺とセレスは、両親が見ているテレビを見て「あっ」と声をあげてしまった。
そこには、隕石を御本尊としたミクダリ神社が、今年も夏祭りを開催するというニュースが流れている。
毎年恒例の祭りなのだとか。
もしかして……歴史が変わったのか?
俺とセレスが行ったのは、過去の世界だったようだ。
だとすると、あの地で会った人々や、その子孫は今も存在していることになる。
何とも不思議な心持ちだなあ。
まあ、両親が青と白のチンチラを抱っこして撫でているから、因習村NTR世界と繋がっているのは間違いないと思うのだが。
「御降村ってこっちにあったのかあ。どうだセレス、一緒に行ってみる?」
「いいですねえ。私達が暴れて世界がどうなったか、見に行くのもおつなものです」
うちの女神は物騒だなあ。
なお、両親はニコニコしながら「若いのはいいわねー」「二人で楽しんでおいで」「そろそろ孫の顔も見たいわねー」「そんなに遠くないかも知れないな」なんて言うのだった。
まあ、そうなる可能性はありそうな気はする……!!
「なるほど、勇者をその気にさせるため、私自身が実りを産む……。盲点でした。では夏祭りに行ったあと、大いに実りましょう! 必ずできるように調整しておきますから」
「いつものことではないだろうか……って、確実に命中できるようにできるの!?」
「権能がフリーズになってますが、まあ多分できます。それに今なら、勇者が遊ぶエッチなゲームが存在しませんからね! チャンスです!」
「絞る気満々である……!!」
こうして明るい笑い声が響く実家なのだった。
こんな我が家に……他の女があと三人来たらどうなるだろうか……!?
セレスが良くても両親の心境が修羅場になるのではないか……!?
俺はそれだけが心配だよ!
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