第22話 最初の冒険をサクサクサクッと終わらせるぞ!
四人で冒険者パーティを結成した俺達。
俺とチエリが五級、ボクっ娘盗賊のナルが四級になったばかり、寝取り役のマズールはなんと二級だ。
二級冒険者になったほどの男が、初心者冒険者たちに構うなど何をやっているのか?
簡単である。
こいつは自分がいたパーティの女全員に手を出し、修羅場になってパーティを空中分解させた挙げ句、その噂が広まってそれなりに上のパーティは誰も仲間にしてくれなくなった男なのだ。
で、俺やチエリ、ナルのようなそういう事情をよく知らない冒険者に絡んで来て、上手い汁を吸おうとするわけだ。
無論、あわよくば女の子を落として肉体的にも美味しい目を見ようとする気満々。
死ぬがよい。
「最初の依頼はスライム退治ですか。スライムの核を集めるとお金になるんだそうです」
チエリがほへーと感心している。
これに、ナルが先輩面をして教えるのだ。
「実はねー。スライムの核は様々な武器に使えるんだよ。鉄はそのままだと普通の鉄だけど、鍛える時にスライムの核を練り込むと粘りのある鉄になるんだ。だから冒険者の武器は、簡単には壊れないんだよ」
「そうだったんですね! じゃあこれって大事な依頼じゃないですか!」
「うんうん。だからずーっと依頼が残ってるんだ」
なるほど、初心者向け依頼にはそんな裏設定があったんだなあ……。
そんな女の子二人の会話を見ながら、マズールがニヤニヤしている。
こいつ、企んでいやがるな?
二級冒険者は、俺が師匠の神々に鍛えられる前だったら手が届かない強さだったろう。
だが、今は違う!
柔拳、剛拳、プロレスの基礎を身に着けた俺は、既に中級冒険者に匹敵する実力があるのだ。
『勇者の実力を試す時ですね。楽しみですねえ』
「わあ! ジョナサンの肩の上の光が喋った! 中にちっちゃい人の形が見えるし!」
めでたくナルもパーティに組み入れられたようで、女神セレスの声が聞こえるようになった。
当然、マズールは何も聞こえないのだった。
道すがら、ナルのスキルポイント配分を行う。
盗賊スキルと運動スキルが伸びてるな。
戦闘は短剣術と投擲か。
ではちょいちょいといじって……。
盗賊スキルで、夜目を暗視に。
パルクールも習得させておいた。
戦闘はこれはダメだなあ。
才能がない……!
盗賊としてはいいところまで行けるだろうけど、ナルはあらゆる戦いは二流が限界だろう。
俺が守護らねばならん。
チエリの方が、柔拳の素質があっただけ戦闘に向いてるくらいだ。
「よし、到着だ!」
「うわあーっ、あちこちが凄い茂みになってますし、足元が沼地で……ひいー、びしょびしょになっちゃう」
チエリが悲鳴を漏らした。
いかにもスライムがいそうな場所だ。
マズールが嬉しそうなのは、女の子がびしょびしょに濡れる姿を見られるからであろう。
特に今回のメンバー二人は可愛いからな。
「ボクは平気だけどね! 盗賊の衣装は通気性がいいからすぐに乾くんだ」
ナルの盗賊用ジャケットの下は、体にピッタリとフィットしたタイツみたいな格好だ。
そんな姿で冒険に!?
そして盗賊らしからぬムチムチしたプロポーション。
このゲームが十八歳以上の変態紳士推奨であることがよく分かりますなあ。
「みんな、気を付けて進もう!」
俺はわざと、純朴な若者ジョナサンを演じながら一行の先頭になった。
マズールがニヤニヤしながらこれを見守っている。
こいつの内心については、原作のゲームで何度も見たぞ。
(馬鹿だなあ、入口にでかいスライムが潜んでいるんだ。こいつには生半可な剣なんか通じない。お前がここで情けない姿を見せたら、オレが女達を率いて先に行ってやるよ)
これである!
馬鹿め!!
果たして、『もがーっ!!』とスライムが茂みから飛び出してきて、軟体を俺に覆いかぶせようとしてきた!
だが!!
俺には今、発勁があるのだ!
さらにさらに……。
「ツツツツツッツアーッ!!」
大地を激しく踏みしめながら、放つ一撃は崩拳……風ボディブロー!
これは生半可な攻撃のダメージを無効化するスライムに、深々と突き刺さった!
貫通しない!
スライムの体内で巡る、俺の発勁!
『ウググググッ、ウグワーッ!?』
スライムの核がぶち抜かれ、スライムの背後にぶっ飛んでいった。
グズグズに崩れ落ちるスライム!
「ツアーッ!」
これを踏みつけ、残心に浸る俺。
「つ、つよーい!! ジョナサン、凄いんだー!! 強かったんだー!?」
「そうなんです! ジョナサンさんはとっても強いんです! 主に剣を抜かないときが一番強い!」
俺のクラスは騎士だから、剣がメインだけどな……。
「そ、そんなバカなーっ!? なんでお前、五級冒険者なんだーっ!? こんなの詐欺だろーっ!!」
俺の力をご覧いただけただろうか。
こうして、一歩目でNTRの芽を摘み取った俺。
マズールが分かれ道で、
「ここから男女ペアで二組に別れて探索しようぜ。その方が効率がいいんだ」
と言えば、「ツアーッ!」と分かれ道を作っていた茂みをチョップで薙ぎ払って破壊し。
「すまんがそっちにアイテムを落とした! 拾ってきてくれ!(馬鹿め! そっちはスライムの巣だ! 食われちまえよお邪魔野郎!!)」とやつが俺をスライムの群れが待ち伏せする領域に誘い込もうとしたら、
「ツアーッ!」と流水の型でスライムをグルングルン回して周囲に流し。
「スライムボスだ! こいつは衣服だけを溶かすぞ!!(うひひ、上手いことチエリとナルのところまで誘導し、二人を裸にしてやるぞ)」と企んでいるところで、
「ファルコンスラッシュ……発勁!!」
『ウグワーッ!!』
「ジョナサンさんが剣を使ったー!! ほんとに剣もパワーアップしてるー!!」
「すごいすごいすごーい!!」
至近距離で服を溶かしてくるなら、斬撃に発勁を乗せて何発も飛ばし、核を外に押し出してしまえばいいのだ!!
こうして、無事に……本当に何もなく、最初の依頼は終わるのだった。
いやあ、マズールが俺をすごい目で睨むこと睨むこと。
完全に敵視されているな。
だが、俺はお前に見せていない手札がまだ何枚もあるのだ!!
冒険者編のさわりの、級を上げていく段階でフラグなんか建てさせるかよお!
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