第217話 対決! テキ屋の親分VS譲二(中身俺)
日暮れになってから、祭り会場はより賑わってきた。
途中から舞台の上に大太鼓が運び込まれ、村人がドンドコ叩き始めた。
ほほう、紫色の渦を巻いた禍々しい飾りのついた大太鼓だな。
そのバチの先端、隕石じゃないの?
つまりこれはミクダリ大太鼓!!
これを聞いていたうら若き女性たちが、なんかポワーンとなってきた。
これは危険な!
「なんだか頭がふわふわするや~」
「あー、太鼓の音が体に響いて……」
「秋奈と夏乃が危ないぞ。あの太鼓を止めねば! それに俺達の体が……」
非実体になっていくではないか。
俺達の作り出した領域を、強制的に取り戻す手段か!
「勇者よ、楽しいお祭りの太鼓だと思ったら、あれは私達に対抗する手段だったのです! まあ非実体になるのは私と勇者だけというのは向こうには誤算だったんでしょうが」
ほんとにね!
『あーあ非実体に戻ってしまった。おいダイオン! あの太鼓ぶっ壊せ!』
「ああ!? 指図すんなって! だが確かにムカつく太鼓だぜーっ! おらぁーっ!!」
飛び込むダイオン!
「させるかーっ!!」
飛び出してくるテキ屋!
だが、たった一人でダイオンを止められるわけもない。
太鼓が鳴り響く夜空をバックに、テキ屋がグレートソードでぶった切られて「ウグワーッ!?」と爆散した。
花火である。
「たーまやーっ!」
近隣の村の人が掛け声をあげる。
やんややんやと盛り上がる。
そして鳴り響く太鼓で、うら若き女性は魅了され、ダイオンが暴れ、それを止めるためにテキ屋が三人がかりでドスを抜いて飛びかかる!
おお、いい勝負してるなあ。
ダイオンも使徒レベルを三体相手とか、本当に強くなったもんだ。
「敵が増えてきたな。俺も行くぞ!」
花京院参戦!
疾風の木刀がテキ屋の一人を打ち倒す!
「ウグワーッ!!」
倒されたテキ屋が空に打ち上げられて、パーン! と爆発した。
「かーぎやーっ!」
やんややんやと盛り上がる祭り会場。
だが、ダイオンと花京院が今にも太鼓を破壊しそうである。
「おいおいおい、困るねえ。大事なお祭りを邪魔されちゃあ。俺等も商売なんでね」
現れるのは、白いスーツに柄シャツの巨漢。
テキ屋の親分であり、この使徒たちを束ねる上位使徒と呼べる存在だ。
「足止めしますわよ!」
狙撃!
これを巨漢はどこからか抜き放った長ドスで切り払う!
「飛び道具とは物騒だねえ!」
「やるなお前! おらあ!!」
「おっと!! そんなデカブツを受けたら俺のドスが折れちまう!!」
ダイオンをいなし、続く花京院の突きをギリギリで躱す。
うーむ、真っ当に強い使徒だ。
なお、他のテキ屋はネイアが魔法をポンポンぶっ放して、次々花火に変えていっている。
「ジョジョ、あいつ時間稼ぎしてるんじゃない?」
黄瀬、鋭い!
『それは言えているな。テキ屋が暴れて太鼓に手出しできなくなればなるほど、女子たちが魅了されて来年の神子候補になる』
「ええーっ!! 最悪じゃん! ジョジョがなんとかしなきゃ!」
『奴らは俺が非実体になる攻撃を仕掛けてきたんだ。そこにいる中条が正気を失わないと俺は戦えないからな……!』
「なるほど! じゃあこの人をどうにかしたらいいんだね?」
「え、俺?」
この混沌とした状況を呆然と眺めていた中条。
横から忍び寄るメガネ先輩と祐天寺。
「今ですぞ祐天寺さん、羽交い締めに!」
「はーいっ!!」
「ウグワーッ! 何をする祐天寺!」
「先輩のままの人格だと使い物にならないんです!」
「な、なんてことを言うんだー!!」
「そして私が第三の目を使って! かーっ!!」
うおーっ!
メガネ先輩の額にホログラムのような第三の目が光る!
「祐天寺、離せ、離せ……! ……あっ、俺の前にメガネの女子高生が……」
中条の目がぽやーんとなった。
意識が曖昧になったな。
『でかしたぞ二人とも! うおーっ!!』
俺は中条と同化する!
すると、中条譲二の肉体がパンプアップした。
「テキ屋の親分さんよ。お前の相手は……俺だ!!」
「あんたはあの記者さんか!? 遠巻きに眺めていた時には、さっきのモヤシな状態かと思ったが……今のあんたは公民館で会った、あの化け物みたいな気配のままだ……!」
白いスーツが俺に向き直る。
奴はスーツを脱ぎ捨てると、シャツを腕まくりした。
びっしり入れ墨が彫り込まれている。
その入れ墨が、まるで生命体のように蠢き始めた。
「お前ら! 俺はこの人の相手をする! 片手間でどうにかできるタマじゃねえ! お前らは他の奴らを相手取れ!! 命を懸けて止めろぉぉぉ!!」
「おう!」「任せてくれ兄貴!」「行くぜー!!」
屋台と出店を放り出して、次々に飛び出してくるテキ屋軍団。
その姿が人間から、金魚すくいのポイや焼きそばをかき混ぜるヘラ、綿あめマシーンの頭部を持った百鬼夜行に変わる!
「ダイオン! 花京院! ヴェローナ! 頼むぞ!」
「命令するんじゃねえ! え、お願い? 仕方ねえなあ!!」
「分かりやすい化け物どもだ。こういう手合のほうが相手をしていて気が楽だな!」
「この世界、平和だと思ってましたけれどもパルメディア顔負けの魔境ですわね!?」
「わしのことも忘れるで無いぞー! こいつら、途端に魔法が通らなくなってきたわい!」
使徒の群れは四人に任せつつ……。
俺もまた上着を脱ぎ、シャツ一枚になった。
盛り上がる筋肉!
唸る筋肉!
「あんた……俺を相手に素手でやるつもりかい? そりゃあ無茶ってもんだ……」
「何を言ってやがる。いいか? レスラーにとって武器とは……この肉体なんだよ」
「レスラー? おいおい、真剣勝負に八百長を持ち込もうってのか……」
「ツアーッ!!」
俺の電撃的速度でのチョップ!
これをテキ屋は長ドスを構えて、ギリギリで受け止めた。
「ちぃーっ!? な、な、なんだこの一撃!! 化け物みたいなパワーだ! しかも……ドスを殴ったのに全くキレてない……!!」
「ほう……俺のチョップを受けても砕けないとは、大したドスだな……。どうだ? 八百長の威力は」
チョップと長ドスが、ギリギリと拮抗する。
テキ屋のこめかみに青筋が浮かび、奴は歯をぎりぎりと噛み締める。
全身の入れ墨が蠢き、奴の背から複数の腕が飛び出た。
肌が真っ赤に染まり、額から飛び出す角。
じりじりと、長ドスが俺へと押し込まれる!
「俺も、本気なんでねえ……!! 全力で捻り潰させてもらうぜえええええ!!」
「ツアーッ!!」
もりもりとチョップで押し返す俺!!
「えっ!? な、なぜ俺が押し返されているんだ!?」
「それがプロレスだ!! さあ、降臨者の前のデモンストレーションだ。おっ始めようぜ!」
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