第216話 決戦前夜!
中条と祐天寺、そして小瀬家の母娘三人を連れてきた。
「詳しい話は後でするが、俺はお前たちを守りに来た存在だ。そこだけ理解してくれればいい」
「は、はあ……」
美春がぽかーんとしている。
俺、セレス、黄瀬にメガネ先輩、ヴェローナにネイア、花京院ことネトラレブレイカー・マスカレードとダイオンがいるのだ。
黄瀬とメガネ先輩と花京院以外は、外人に見えていることであろう。
「すごーい! こんなに外人さんがいっぱいいるの初めて見た!」
「おっ、お前、全然物怖じしないな? ガキのくせに体つきもエロい。どうだ、このあと俺と……」
おおーっと、ダイオンが超高速で粉をかけに行った!!
こいつ変わってないなあ。
敵対していた頃は恐ろしい相手だったが、こうして俺が女たちの身の上に責任を持っていないと、微笑ましく見えてしまう。
「え~っ! 外人のお兄さん日本語上手ー! なになに? なにするの?」
純粋な秋奈のキラキラした目がダイオンに注がれる!
にやりと笑ったダイオンはいけない大人の遊びを……。
というところで、奴の眼の前に木刀が差し出された。
花京院が割って入る。
「やめておけ。いや、自由恋愛ならば俺は口を出さんが、今は色恋にうつつを抜かしている場合ではないだろう」
「あぁん!? てめえ、邪魔しようっていうのか……って、自由恋愛ならいいのか? じゃあ戦いの前に余計な精力を使うなってだけか」
「おっ、ダイオンが大人になってるじゃないか」
「そりゃあな。団長が引退して、俺が今は騎士団長やってんだよ」
「な、なんだってー!! そりゃあ落ち着くはずだ」
「ジョナサンのやつは未来の王配だぜ? あの野郎、上手くやりやがって。まあ、お前が抜けて腑抜けになったジョナサンに用はねえがな」
俺とダイオンがちょっとずつ距離を詰めていく。
メガネ先輩がシューッと距離を取った。
これを見た美春が、夏乃と秋奈を連れて遠ざかる。
花京院は黄瀬をガードする姿勢。
ヴェローナとネイアは余裕の見物。
セレスは一応、中条と祐天寺のところに行った。
「えー、これからネトラレブレイカーがプロレス巡業でーす! 見るだけならタダですよー!」
セレスの掛け声で、祭りに集まってきていた人々がなんだなんだと注目した。
屋台のテキ屋たちもこちらを見て、ギョッとする。
背中に大剣を二本ぶっ刺したやつが、得物を引っこ抜いて臨戦態勢なのである!
こんなもん、昭和五十五年とは言えどなかなか見られるものではない。
あれ?
歌舞伎町で中華マフィアが青竜刀振り回してたんだっけ?
まあいい。
そんな連中でも、グレートソード二刀流を境内でぶん回そうなんて考えもしないだろう!
対する俺は素手である。
いや、既にこの身に武術という名の武装を纏っている!
「久々にやるぞダイオン!」
「うおおおおお!! これを楽しみにやって来たんだぜえええええ!! おらあああ! 死ねジョナサアアアアアアアアアアン!!」
二振りの大剣を抜き放ったダイオンが鋼の旋風と化す!
触れただけで何もかも粉砕する、人間ミキサーが俺と接触し……。
「ツアーッ!!」
グレートソードタイフーンと俺のチョップの嵐の激突だ!!
高らかに鳴る金属音!
「うおおおおおお!」「うわあああああ!」「なんだなんだなんだ!?」「大道芸か!?」「素手で剣と切り合ってる!!」
「腕を上げたなジョナサン! こんな子供だましの技じゃあ通じねえか!」
「並の使徒なら八つ裂きになる、グレートソードタイフーンを子供だましと申したか。いやあ、本当に強くなったなあ!!」
ダイオンは回転を強制的にストップ。
上段から振り下ろす、衝撃波を纏った斬撃と、下段から大地を削りつつ走る斬撃の交差剣を放つ!
俺はこれを、「ツアーッ!!」震脚と裡門頂肘で相殺!
反転しながらの「ツアーッ!!」鉄山靠!
「ウオオーッ!!」
跳ね飛ばされた大剣を素早く手元に戻し、鉄山靠を受け止めるダイオン!
やるなあ!
こいつ相当強いぞ!
この光景を見ていて、花京院もウズウズしてきたらしい。
「俺も参戦するぞ! ハアーッ!!」
閃光めいた速度の斬撃が、俺とダイオン目掛けて走る!
「チイーッ!! はええーっ!! ギリギリで受け止めるのがやっとだぜ!」
「花京院も腕を上げてるなー!」
「幾らでも強者がいるこの世界! 俺もどんどん強くならねば置いて行かれてしまうからな!!」
ということで、男連中でわいわいと楽しく組手をやるのだ。
「やっぱジョジョかっこいい……」
なんか黄瀬が目をキラキラさせてるし、ヴェローナは呆れ顔で、ネイアは屋台で買ってきた酒を飲みながら見物モードだ。
「かかかかか、かっちょえー!」
「秋奈、はしたないわよ! でも……あの木刀の男の人はかっこいいかも……」
「若いっていいわねえ……」
小瀬家の三人もニコニコだ。
祭りに集まっていた人々は、ワイワイと大いに盛り上がった。
ただでいいもの見れて良かったな!
三人でわちゃわちゃとやり合ったのだが、これを見ていたセレスが戦いの中にするーっと入ってきて、ダイオンの腕を絡めて転がし「ウグワーッ!?」花京院の木刀をいなしながらの足払いで転がし「ウオーッ!?」俺に「勇者よ、楽しんでいますね? どうして投げや関節を封印しているのです」
「そりゃあお前、二人が斬撃スタイルなんだから俺も打撃で勝負するべきだろう」
「なるほど。では皆まで言わないことにしましょう」
スススっと去っていくセレスなのだった。
うーん、相変わらず強い。
超越者に通用するパンクラチオンを使える時点で、俺の仲間の中で間違いなく最強なのがセレスなんだよな。
それを考えると、今回の因習村NTR攻略は初手最高戦力で挑んでいたと言えよう。
さて、二人が転がったところでお開きだ。
「以上、俺達のデモンストレーションは終わりだ! お楽しみいただけただろうか! 祭りを最後まで楽しんでいってくれよな!」
ワーッと拍手が巻き起こる。
時間は逢魔が刻を過ぎて夜に差し掛かる辺り。
使徒の力が増してくる時間帯だ。
決戦前夜の大暴れが始まる。
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