第215話 やって来た最後の仲間
おや?
メガネ先輩がやって来る。
この時間帯は雑貨屋に詰めているはずだが……。
後ろに男を二人つれているな。
さては昭和の時代ならモダンガールなメガネ先輩、モテ期が来てしまったか?
「おーい、おーい、城之内くん」
「なんだいメガネ先輩。後ろの男二人は……明らかに見覚えがあるような……」
木刀を手にした優男と、冗談みたいにでかい剣を交差させて背負った大男だ。
「……城之内なのか……? ネトラレブレイカーの方の……」
「は? こいつがジョナサンか!? いや、本物だな! 腑抜けになっちまったあいつとは違う。こうやって向き合ってるだけで背筋がヒリヒリしてくる強烈な圧を感じるぜ……」
「えーっ! 花京院先輩とダイオンじゃん」
「やっぱりか! なるほど、その一見して特徴が捉えづらい姿形がお前の本来の姿というわけか」
「おうおうおう、さらに力を付けやがったな……? てめえ、今すぐリベンジしてやりてえくらいだが……。なんか超越者がやって来てよ、俺に暴れて欲しいとか言うもんでな」
「なーるほどー」
後ろでは、ヴァローナとネイアが目を丸くしている。
パルメディアからダイオンが来るとは思わないもんな。
最初に彼が来なかったのは、何日も放っておくと女子に手を出すからだろうな。
で、花京院は純粋に降臨者を倒すために参加したんだろう。
こいつは正義の戦士みたいなところあるからな。
黄瀬は「さもありなん」とか口に出しながら頷いている。
で、ここで超越者に選ばれた戦士大集合というところで……。
背後にそびえる御本尊、巨大な隕石がゴゴゴゴゴ……と震えだした。
すぐに震えは収まる。
ざわつく境内。
誰もが隕石を見ている。
「降臨者からの脅威認定をいただいたっぽいな」
「城之内くん! なんか村中から剣呑なのが集まってきますぞ! 今までバラバラだったのが一度に……」
「ははあ、夜を待って、俺達を一斉攻撃で仕留めようというのではないか」
メガネ先輩が第三眼レーダーで見てくれて助かる。
「では俺はそろそろ、中条を迎えに行ってくる。ゲーム的にも終盤だからな」
俺の言葉に、セレスが首を傾げた。
「おや。今回のゲームは随分短いのですね?」
「周回前提のゲームだからな。プレイ時間も全部テキストを読むと一周二時間だが、周回すると一時間かからないくらいだぞ」
「相変わらずこっちのジョナサンは意味の分からねえ事を言ってやがる。やっぱ頭がおかしいこいつじゃねえと張り合いがないぜ」
「同感だな。同時に、使徒どもに対する尋常ではない戦意も全く薄れていないようだ。味方にしてこれほど頼もしい男もいない」
なんか男にモテモテになっている。
というか彼ら、あっちの世界に残してきた本体の主人公たちが、人畜無害すぎて張り合いがないらしいな。
そもそもNTRゲームの主人公なんていうものは、人畜無害でいっそ有害なくらい善良だったり小者だったり、不要な慢心からBSS決める存在なのだ。
俺はそういう連中の逆張りをする人間だというだけである。
「えー、ではこっちの指揮は私がしまーす」
「は? なんで見たことない女に命令されなくちゃなんねえんだよ。……っていうかお前すごくいい女だな!? どうだ? 俺と一晩付き合わないか?」
「うーん、豊穣の女神としては嬉しいお誘いですけれど、これはNTRになるんでしょうかねえ」
セレスが後光を輝かせた。
ダイオンがはっとして膝を突く。
「えっ!? 豊穣の女神!? セレス様!?」
「この無礼者がひれ伏すの初めて見ましたわ」
「こやつの家、どうやらセレス様を信仰する神官の末裔だったらしいのじゃ。セレス様が表舞台から姿を消してなお、信仰してきたのじゃな。それ故にあちこちで種をばら撒くわけじゃ」
俺の後ろでダイオンの秘められていた設定が語られているんだが!!
あいつ、ゲームがゲームなら主人公やってるタマだからな。
境内を出ると、あっという間に非実体になった。
さて、中条を探さねばなあ……と思ったのだが……。
「おや……? 今日は雑貨屋も休みなのか……。電話を借りちまってもいいかなあ」
「先輩! 勝手に借りるのは悪いですよ! 電話代だって掛かるんだから」
「そりゃそうだけどさ」
「いいと思うよ! あとであたしがあのおじいちゃんに話しといてあげる!」
中条と祐天寺と秋奈の三人だ。
なぜ秋奈が……?
神子のはずでは……?
今回、秋奈は完全にルートから外れたんだろうか。
そう言えば公民館でのやり取りで、俺に助けを求める的な感じになったもんな。
秋奈にセクハラした男が、俺の圧にやられてぶっ倒れたのだ。
「じゃあ使っちまうか! 祭りだからな。今日と明日の二日間でこの取材も終わりだろ? 帰りは近くの駅まで歩くぞ祐天寺! ……秋奈ちゃんは夏乃ちゃんと二人で旅行に来てみるかい?」
「わーい! 行く行く!」
「せんぱーい!! ダメですよ子供をたぶらかしたらー!!」
「えーっ! あたしもう中学生だから子供じゃないんだけどー!」
微笑ましいやり取りである。
なお原作にはない。
この光景を生み出しただけで、因習村NTR世界に介入した甲斐があったというものである。
そして雑貨屋ならば俺も実体化できる。
「三人揃ってるようだが、早めに美春と夏乃も巻き込んで、ひとかたまりになって行動しておいた方がいいぞ。これからこの村は戦場になるんだからな」
「えっ!? 誰!? ……でもこの感じ、なんか知ってるような……」
「ネトラレブレイカーさん!」
「うわっ、また実体化したのか!」
三者三様の反応を示す彼らに向かって、俺は今後の方針を語ることにするのだった。
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