第210話 ファンタジーからの使者!
翌朝。
中条がなんか夏乃に感謝され、懐かれている様子を見る。
おお、戸惑っている戸惑っている。
そしてこの村の、使徒を蹴散らした家屋周辺が俺の実体化できるポイントになった。
徐々に行動可能な場所が増えていくな。
「勇者よ、勇者よ」
「ジョジョいるー?」
『あっ、セレスと黄瀬ではないか。正面から来るやつがあるか』
朝っぱらから見知ったのが来たので、俺は外に飛び出したのだった。
というか、この宿の中でも俺は常に実体化できるようになっているんだよな。
「ふう、一体どうしたと言うんだ。二人とも実体化して尋ねてきて」
「それはですね、見知った人がこちらに来たからお知らせに来たんですよ」
「二人ともジョジョの知り合いらしいじゃん! どんだけあちこちで女作ってるのさ!」
黄瀬がなんかちょっと怒りのこもった肘でグリグリやって来る。
ハハハ、鍛えられていない肘など痛くも痒くもない。
午前中は中条は記事のまとめと、夏乃相手でいっぱいいっぱいだろう。
その間に俺はセレスと黄瀬の集めた情報を聞き、さらに新しくやって来たという仲間と対面するのだ。
果たして雑貨屋に到着すると……。
「勘弁してぇ」
栃子が死にそうな声を漏らしている。
もう死んでるが。
そこには、真っ白な長髪に褐色の肌をした、長身の女がいる。
「あれっ!? ヴェローナじゃん!!」
「あなたがジョナサン……いいえ、彼の中にいたネトラレブレイカーですのね? はじめまして……ではありませんわよね。纏う雰囲気と佇まい、そして語気はまさにあの時のジョナサンですわ。ジョジョと呼べばよろしくて?」
「その呼び方はどうなんだろうなあ!」
でも他に呼び方ないもんなー。
「ではジョナサンと呼びますわよ?」
それがいいかなあ。
なお、セレスもヴェローナも褐色なんだが、セレスは小麦色ってくらいの肌の濃さ。ヴェローナはインド人女性くらいの濃さなので、全然違うぞ。
セレス金髪だし。
「私が外をトコトコ歩いてたら、外人だーって騒ぎになったのでびっくりしましたよー」
「セレスもめちゃくちゃ目立つんだから、非実体で行動しような!」
そしてもう一人は……。
「わしじゃ!」
「うわーっ! ネイアだ!! エルフが来た!」
「うむ、完全にあの頃のジョナサンじゃな。今のあっちのジョナサンは刺激が無くなってのう。普通の男になってしもうてつまらんのじゃ。じゃから、わしはこうして超越者の誘いに乗った!」
「なるほどー」
やって来た二人を見回して納得する。
リビングドールにして、不死王の使いである魔弾の射手ヴェローナ。
そして永き時を生きるエルフの大魔道士ネイア。
「人間社会としがらみの薄い二人が来たんだな」
「ええ。他のみんなは妊娠してますから来れませんの」
「な、なんだってー!! そりゃあこれないわ」
「ちょっとちょっとジョジョ! 妊娠ってなにー!! 私、まだ全然ジョジョとそう言う関係になってないんだけどー!!」
黄瀬が掴みかかってきた!
「うおーっ! 落ち着けー!! お前本当にただの女子高生か!? すげえパワーなんだけど」
「恋する乙女は最強なんだからね!!」
「具体的には師匠から力を与えられてるので、黄瀬さんも使徒になってますぞ」
「な、なんだってー!!」
と一通り驚いたところで。
俺、セレス、メガネ先輩、黄瀬、ヴェローナ、ネイアの六人で今後の相談をするのだった。
「私と翔子が二人で調べたんですけど、ミクダリ神社の宮司さんは完全にミクダリ様の操り人形になっていますね」
「そうそう! 普段は優しいおじさんなんだけど、ミクダリ様関係になると途端におかしくなるの! 私に、ついでで生贄にならない? みたいな誘いをしてくるんだよー! ジョジョ助けてー! こわーい」
全然怖くなさそうなのに、俺に抱きつく黄瀬なのだ!
ええい、胸を押し付けてくるんじゃない。
「勇者よ、一回くらい実ってあげてもいいのではありませんか?」
「セレスがそれ言う?」
「彼女、まだなんですの?」
「なんじゃとー! 酷な話じゃなあ」
あっ、女子たちから同情の目が!
「ま、ま、まさか私だけ!? ええい、ジョジョー!! 責任取れー! 私はあんたを追いかけてここまで来たんだよー!!」
「うおー、落ち着け黄瀬~!?」
なお、栃子はずっと雑貨屋のカウンターの隅でガクブルしているのだった。
「仕方ない……。では事件が終わったらちょっとだけな……。それが終わったら元の世界に帰るんだぞ……」
「えー? 私がそっちに住み着いてもよくない?」
「お前、ときめき学園がある世界に居場所があるのに、カッとなってこっち来ちゃったらダメだろ!」
「えーっ! ジョジョなんかうるさい大人みたい!」
「元の俺は社会人なのだ」
「ええーっ!?」
この光景を見て、ヴェローナが目を丸くしている。
「あなたがこんなにグイグイ押されること、あるんですのね。ナルみたいな押しの強さですわ」
「うむ、どこの世界でも押しの強い女子がいる……」
「わっはっは、まあいいではないか! ちなみにわしもヴェローナもそこの娘と似たようなもので」
「なにーっ!? お前らも俺の世界に来るのか!?」
「それが超越者に提示した条件ですもの。不死王様もお許し下さいましたわ」
「期待しておるぞ、ネトラレブレイカー殿!」
な、な、なんだとー!!
なんて事を約束するんだ超越者。
こんなに俺のところに来るんじゃ、叡智ゲームを遊んで自家発電している暇が無くなってしまうではないか……!!
あと、日本では重婚は犯罪です!!
俺が葛藤していると、セレスが議題を先導し、今後の方針を決め始める。
「では、夜の偵察はヴェローナさんにお願いしますね。ネイアさんは魔法で目立たない姿に変身ができると。では遊撃担当ということで、自由に情報収集をお願いします。私は翔子さんと二人で、また神社に行きますから」
「本当はジョジョと二人っきりでいたいけどね!」
「いかんいかん」
民宿にいきなり、俺と黄瀬が増えたら怪しすぎるだろ!
俺は非実体になり、中条について回るのがちょうどいいのだ。
そしてネイアは、俺の手が届かない範囲の見回りを担当してくれることになった。
主に小瀬家周辺とか。
「よーし、ではかなり強力な布陣となってきたぞ。そして俺とセレスでかなり強大な使徒を四体倒したので、降臨者が作り上げたこの世界も、かなり侵入が容易になってきている。いい感じのところで超越者を招き入れ、そして祭りを早めに実行させて出てきた降臨者を叩く! こんな感じの作戦で行こうと思います! よろしく!」
おーっ!と掛け声をあげる女子たちなのだった。
女しかいないな!?
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