第206話 大人を舐めるなよ!!
「くすくすくす……」
「くすくすくす……」
「死んじゃうよ、死んじゃうよ……」
「余所者がお祭りに首を突っ込んだら死んじゃうよ……!」
「ミクダリ様が怒っちゃう」
「怒っちゃったら大変だよ」
くすくすと笑う双子の姿がある。
白装束は、最初に見た時は着物とばかり思っていたが……。
神社の宮司が身につけているようなものの、童子服というか。
髪はおかっぱで、顔は白塗りされたかのように真っ白だ。
唇は紅が引かれて赤く、不気味に見えた。
『勇者よ、落ち着きましょう。子供のやってることですから、生意気な子供をガツンとやるのはコンプライアンス的にもよろしくないですよ』
『今が昭和55年なんだから何やってもいいんだよ。オラァーッ!! 大人とネトラレブレイカーを舐めるなよガキィーッ!! エアプレーンスピンを二人まとめてお見舞いするぞ!! さんざんぶん回して、その後そっと降ろす』
「ひっ」
「ひっ」
あっ、双子がちょっと怯えた!
「お前が絡むと話がややこしくなるから、守り神はちょっと静かにしてもらってていいか」
この守り神……上手く御さないと何もかも破壊してしまいそうな気がする!!
「先輩が第二人格の扱いが上手くなってきてる……!」
「こんなの上手くなりたくねえー! そ、それはそうと! つまり、どういうことなんだ!」
気を取り直して双子に聞いてみる。
彼らも正気に戻ったようで、
「ミ、ミクダリ様は怒っているんだ」
「そ、そうだそうだ。儀式で求める神子の数を倍に増やすと言ってる!」
二人が、祐天寺を指さした。
「その女も神子に決まった!」
「小瀬の女と、外から来たお前が神子だ!」
『随分口調に余裕が無くなったじゃないか……? さてはお前らは伝令役で、戦闘力がないんだな?』
「ひー!」
「助けてー!」
双子が真っ青になって逃げ去っていった。
初めて現れた時の不気味さはどこに……。
『な? 怪異だろうが自身を上回る恐怖と暴の力を見せつけると大人しくなるんだ』
「くそーっ、オカルトの全てを否定してきそうだぞこいつ……!」
負けて堪るか!!
俺は神社まで行ってみることにした。
夜間は謎の力で入れなかったミクダリ神社。
昼間は……境内に足を踏み入れることができる!
寂れた村にある唯一の宗教施設。
それがこの神社だ。
「いやに豪華だな……。よる闇の中では見えなかったが、こんな立派な神社、かなり大きな街でもないと見ないぞ」
血のように真っ赤で、汚れ一つない鳥居。
その奥には玉砂利が敷き詰められ、石畳の道が続いている。
正面には本殿……なのだが、そこと入口を結ぶ石畳の中心に、四角い舞台が設置されていた。
あれはなんだ……?
見ていると、頭が痛くなってくる。
「うっ、あれは……あの舞台は……」
村の男たちが囲む舞台……。
その中で、あられもない姿になっている女……。
そんな光景が俺の脳裏をよぎった。
存在しない記憶……!
『エンディング6だな。完全無欠のバッドエンドで全てのヒロインを救えず、全員目の前でNTRされたやつだ』
『あらー悲惨ですね。ですが女性陣は実ったのでセーフでは?』
『この世界で実ると最後はミクダリに吸収されて死ぬから実らない』
『ミクダリ様許せませんねえ!! 叩き潰さないといけませんねえ!!』
「あわわ、守り神様落ち着いて~!!」
『いつの間にかセレスもやって来ていて、大慌てで祐天寺遥がなだめている。はて。セレスは黄瀬と同時行動しているはず……』
『割と最初からいましたよむきー!!』
荒ぶる守り神どもは無視だ無視!
「ミクダリ神社にようこそ~。おみくじ引いて行かれますか?」
巫女がいる……?
なんだか……妙に垢抜けた、顔立ちの美しい背が高い女性だ。
御降村らしくないというか、この世のものではないようだと言うか……。
『黄瀬じゃん! どうやって巫女に入り込んだんだ!?』
『勇者よ、これは超越者のバックアップがあって、昼間はミクダリの意識が薄くなっているのです。そこを宮司の脳をハッキングしてバイト巫女という存在を刷り込んだのです』
『強行的手段! こっちが怪異どもを侵略していっているな。いいぞいいぞ。頭脳戦だ』
また幻聴めいた連中が理由のわからないことを言っているな……。
まあいい。
俺は巫女に招かれて、お守りなどを買える授与所にやって来た。
……?
妙だな……。
この授与所だけ、異常に新しくないか?
『超越者が設置した外部の授与所です。ここだけ、神社のどことも繋がっていない異空間です。昼しか存在せず、夜には雑貨屋の裏手に帰還します。私と黄瀬さんはこれを使って、神社の情報収集を行います』
『なーるほどー。セレスはなんかやる気だな』
『さっきまでいつも通りのんびりだったんですが、実りに繋がらないと聞いて態度を改めました! この世界は剪定せねばなりません!! 許されざる世界です! 絶対にミクダリの横暴を見過ごしてはいけないのです! うおー!!』
『こんな怒ってるセレス初めて見た』
「セレスちゃん、エッチな事が行われて子供が生まれるのが一番大事だもんね。エッチだけで、子供が生まれないの絶許勢だったんだよ」
『そうかー。黄瀬が今明らかにしたセレスの地雷! 超越者や統轄者以上に、降臨者はセレスにとっての不倶戴天の敵だったんだなあ……』
「あ、先輩! 大吉! 失せ物、出ます、御縁、あります、敵対者、ネトラレブレイカーが粉砕しますだって!」
「最後のおかしくないか?」
なんか妙な事になってきてるな……。
頭痛から開放された俺はそう思うのだった。
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