第20話 学べ、技!!
修行が始まった。
チエリもオマケで、柔拳の神からちょっと護身術を教わっている。
砦攻略の時に上がったチエリのスキルポイント、格闘術に振り分けてあげようねえ。
「なんだか私が望まぬ方向に成長した感覚があります!」
「気のせい気のせい」
「ああっ、今まで経験したこともない格闘術が、なんだか分かります! こ、これは一体~! ジョナサンさんの活躍を見てたせいでしょうか!? あひー、ま、まさか私、こっちに才能がー!?」
なんか言いながらも、技を教わってるね。
ほうほう、相手の攻撃をいなす、回避とでも言うべき技だ。
これはスキルありとなしでは、明確に生存率が変わるだろう。
『まあまあ見込みがあると思うわよ? そこの彼ほどじゃあないけど、それでもこの若さで格闘術の基礎をマスターしてるのは立派だわ』
柔拳の神エリルに褒められるチエリ!
「あひー!? 全く習ったこともないのに基礎の習得が終わってるなんてー!」
チエリの格闘術、3に上げておいたからな……!
安心して技を学んでくれ!
そして俺はと言うと、やはり柔拳の神からドッジを習い、さらに相手の攻撃を受け流す流水の型を習う。
「基礎の基礎なんですね」
『基礎は全ての始まり。これができなければ先には進めないわ。柔拳は全て、ドッジからの流水の型で説明ができるからね』
なるほどー!
俺が上げておいた格闘術が今、火を吹く!
今までは、言うなれば格闘術スキルについてきた、常時スキルを使って素殴りをしていただけである。
だが、神々から習い覚えるのは明確な技。
それそのものがスキルとも言える存在だ。
『勇者が強くなっているのを感じますねえー! どんどん成長して、この世界を脅かす超越者の手勢を排除しましょう!』
セレスもテンションが高い。
そして次に、俺は剛拳の神に技を習うことになった。
『発勁と浸透勁があれば話は早いな。俺からは硬気功と崩拳を教えてやる』
「いきなり中国武術めいてきたぞ」
腹の出たランニングシャツのおっさんにしか見えない、剛拳の神。
彼が大地をズドンと踏みしめると、周囲がビリビリ震えた。
こ、これは、震脚か!?
『震脚もまあまあ極めれば、これだけで相手の動きが止まる。まあ、お前にゃ早いけどな。どれ、硬気功は相手の攻撃に合わせ、内側から発勁を使って相殺する技術だ。慣れれば魔法も相殺できる』
「すげえ」
『まあお前にゃまだ使いこなせないけどな』
「またそれかよ!」
だが、物理ダメージを軽減できるくらいのは使えるようになった。
次に崩拳だが、もうこれはひたすら型の練習をした。
正しい型から、正しい威力が生まれる。
で、一旦コツを掴んだらどれだけ崩しても構わんということらしい。
剛拳の神が、寝っ転がりながら尻で崩拳を放って、巨木をへし折ってみせた。
「とんでもねえな!!」
『極めればこういうことになる。つまり、極まった崩拳の使い手が正しい型で放てば……とんでもねえ怪物だって吹っ飛ばせるわけだ』
ひとまず、崩拳の基礎を学んだぞ!
なお、これは剣にも応用できるそうだ。
突き技の強化だな。
崩剣とでも言うべき、なんでもかんでも貫く一撃だ。
ジョナサン・スクライドと名付けよう。
必殺技ができたぞ。
最後に、プロレスの神。
外の世界からたまたまこっちに来てたらしい。
マスクド・オクタマから技を習った。
『お前からは、一人で無数の困難と戦う男の気配がする』
「どういう気配だか分からないが鋭い……」
『連続で使える技がいいだろう。俺が教えるのは……空手チョップ。そしてドロップキックだ!!』
「基本中の基本!!」
空手チョップは剣にも応用ができ、高威力の連続斬りを可能とするようになる。
ただし切れ味が落ち、打撃みたいな効果になるそうだ。
ふむふむ。
なんでも剣に活かせるんだな……。
『さらにドロップキックに浸透勁を乗せたと言っていたな? ある程度崩拳をマスターしたら、ドロップキックに崩拳が乗るぞ』
「なにぃーっ!!」
『硬気功も流水の型も乗る』
「なにぃーっ!!」
全ての武術は繋がっているのではないか。
俺はハッとした。
そして修行に励む。
この狭間の空間では、時の経過がゆっくりとしたものになるらしい。
たっぷり一ヶ月くらい修行したと思ったが……。
『では、俺達が教えられることはここまでだ』
剛拳の神が、現段階での修行終了を宣言する。
『ジョナサン、チエリ、世界には邪悪な力が満ちようとしているよ。全てと正面からぶつかればひとたまりもない。時に水のように柔らかく、合間に浸透してくぐり抜けることも大切だからね』
『なお、浸透したところで大暴れすれば相手も砕ける! 剛の心も大切だぞ!』
『そして相手の技を受けてから返すのだ。技を受け切られた相手には致命的な隙ができる。そこに己の技を打ち込め! プロレスとは受けである! あと、ついでで教えた首の筋トレは毎日するようにな』
プロレスの神だけ言ってることがちょっとおかしいな?
こうして俺たちは、狭間の空間から元の世界へ戻ってきた。
どうやら、狭間で過ごした時間は現実にして、一日程度だったようだ。
眼の前には、活気に満ちた都市国家、ポンドールがある。
一気に目的地まで連れてきてもらった形だ。
「ああ~。皆さん、いいお方でしたねえ……。いえ、神様をいい人って言うとバチが当たりそうですけど」
「その表現まで日本風なんだなあ……。みんな俺達に期待してくれているんだと思う。さあチエリ、一緒に冒険者をやって、王国を謎の結晶から救い出す情報を集めよう!」
「はい、ジョナサンさん!」
こうして俺たちは冒険者になるため、都市国家ポンドールへと足を踏み入れるのだった。
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