表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネトラレブレイカー!~あらゆるルートでヒロインをNTRされる騎士に転生したので、ゲーム知識で全NTRルートを爆砕していたら英雄になった~  作者: あけちともあき
いざ、因習村へ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

197/226

第195話 御降村への到着

 よく知った彼女の声が聞こえる……。

 いや、彼女のこんな声、俺は知らないはずなのに……。


 ミクダリ神社の境内には、この時間、村の男たち以外は入ることが許されていない。

 俺は石塀を乗り越え、息を潜めながら歩みを進めた。


 彼女の声が大きくなっていく。

 太鼓の打ち鳴らされる音と、男たちががなる声が響き渡る中。

 不思議と、彼女の声だけが俺の耳に届く。


 灯籠が照らし出す場所は、見つかりやすい。

 光を避け、闇の中を移動し……。


 見えたのは、舞台だった。

 光に照らされたその上で、白い裸体が蠢いている。


 彼女だ。

 美しいと思えた。

 だが、その気持が一瞬の後に暗転する。


 男たちが、彼女を囲んでいる。

 男たちの放った精に包まれ、彼女は嬌声をあげていた。


 もう黙ってはいられない。

 俺は飛び出していた。

 彼女の名を呼ぶ。


 男たちをかき分け、手を伸ばす。

 だが、俺の体は男たちによって止められる。


 届かない。

 あと一歩のところで、届かない。

 彼女の蕩けた目が、俺を見つめる。


「やっと……気付いてくれた……」


「~~~~~~~っ!!」


 彼女の名を呼ぶ。

 俺は……俺は無力だ!

 儀式は終わらない。

 俺の眼の前で、彼女を穢し尽くし、この社に潜む何者かに捧げられるこの儀式は……止められないのだ。


「うわああああああああ!!」


 闇の中、俺の絶叫が響いた。


 ~END6 届かない手~


 ■


「……ぱい……!! ……先輩!! 起きて下さい先輩!!」


「!!」


 揺り起こされて、俺は我に返った。

 なんだ……?

 さっきまで、ひどい悪夢を見ていたような。


 俺の眼の前には、ボブカットにシャツとジーパン姿の女がいた。

 こいつは……。


 後輩の、祐天寺遥だ。

 俺はこいつと何をしに来たんだったっけ……?

 ああ、そうだ。


 御降村という、東京の山奥にある秘境を取材に来たのだった。

 ここはどうやら、空から落ちてきたという隕石を神として祀り、不可思議な儀式まで行われているのだという。


「悪い、寝てたみたいだ」


「寝てたじゃないですよ! 命が助かったからいいものの……。先輩、また徹夜してたんじゃないですか? だから、運転しながら寝ちゃって車が大木に突っ込んで……」


 ここは、車の外だった。

 どうやら祐天寺が俺を外に引っ張り出してくれたらしい。


 車はフロント部から大きな木に激突し、ひしゃげていた。

 あれに乗っていたのか……。

 よく生きてたな、俺……。


「悪い。締め切りギリギリの仕事があったんだ。くそっ、ついてねえ。これじゃ帰れないな……。村で事情を話すしかないか」


 俺は立ち上がる。

 ここは、まだ舗装もされていない山道だ。


 これから向かう御降村は、この昭和五十五年という時代においても、道路が繋がっていないのだ。

 俺達が登ってきた山道をしばらく降りて、ようやくバス停が一つだけある。


 そこは一日に二回だけバスがやって来るのだ。


 今日は村で泊めてもらい、明日帰る……。

 いやいやいや。

 これは退路が絶たれたということだ。


 俺と祐天寺は、御降村の取材に来た。

 俺達は月刊レムリアというオカルト雑誌の記者であり、御降村に関する情報提供を受けてここにいるというわけだ。


 それは、御降村に帰るという彼女を追って来た大学生の手紙だった。


『僕はまだ、あれが夢だったんじゃないかと思っています。僕は彼女と一緒に御降村に行き、そこでお祭りに参加しました。結果だけ言うと、御降村で僕は彼女を失いました。あそこは、あんなところが今の時代にあるなんて……。お願いします。あそこのことを、レムリアで特集して下さい。あんな村が東京にあっちゃいけないんだ……!』


 なんとも真に迫った手紙だった。

 詳しい内容は少しも書かれていない。

 こいつはガセネタか?

 だが、月刊レムリアの記者たるもの、どんなネタだって足で稼ぐのが鉄則。

 今年短大を出てうちに就職してきた祐天寺にも、いい経験ってものだ。


 ……と勇ましく会社を出てきたはいいが……。

 社用車を一台お釈迦にして、俺達は山の中だ。


 トボトボと山道を行くと、そろそろ日暮れ時だ。

 さみしくなってくる。


「先輩……本当にこの道で合ってるんですかあ?」


 祐天寺が恨みがましそうな目で見てくる。

 いや、恨んでるだろうなあ。

 本当に済まなかった。


 立ち並ぶ木々の間に、辛うじて設けられている山道。

 車輪の跡があるから、ここを使って村人が生活しているのだと分かる。


「車が通った形跡があるだろ。人が暮らしてる証拠だよ。もうすぐ灯りが見えてくるだろ」


 山奥とは言えど、御降村は最近電気が通ったらしい。

 そこに到着したらなんとかなるだろう。


 気を取り直し、ひたすらに山道を行く。

 ……と。


「くすくすくす」

「くすくすくす」


 笑い声が聞こえた。


「ひっ」


 祐天寺が俺にすがりつく。

 彼女の汗のにおいがした。


「なんだ……なんの声だ……?」


 俺は祐天寺の肩を抱き寄せながら、周囲を見回した。

 ふと、木々の向こうに真っ白なものがあるのが見える。


 それは……白装束を纏った、二人の子供だった。

 背格好が、鏡で写したようにそっくりだ。


「くすくすくす……。やって来た。やって来たよ」

「御降村にやって来たよ。嬉しいねえ、嬉しいねえ」


 二人でころころと笑いながら告げる。

 なんだ……?

 なんだこいつら……!?


「あー、君たちはもしかして、村の……」


「こっちにおいで、おいでよ」

「そっちの道は遠いよ。夜になっちゃうよ」

「「夜になったら出るよ。出ちゃうよ」」


「出るって……何がだ……?」


「御使いが出るよ」

「御使いに会ったら、よそ者は死んじゃうよ」

「「だから、ついてきてね」」

「くすくすくす」

「くすくす……」


 二人がくるりと背を向けて、林の向こうに走り出した。


「あっ、待て! 待ってくれ!! おい祐天寺、追うぞ!」


「ええーっ!? ほんとですかあ!? 絶対、絶対やばいですって!」


「バカ、やばいところに突っ込むのが記者なんだよ! それに真っ暗になったら、洒落にならん! オカルトどころじゃない。クマやイノシシが出るかも知れないんだぞ!」


「ひい! は、走ります!!」


 俺と祐天寺は、必死になって木々の間を走った。

 二人の子供は、俺達が追いつけるくらいの速さで走っているようだった。

 その真っ白な背中を追いかける内に……。


 遠くに、明かりが見えてきた。

 人里の明かりだ……!


「先輩! 村があります!」


「ああ! あった! ……あれ……?」


 二人の姿はどこにも見当たらない。

 まるで、最初からそんなもの、いなかったかのように。


 木々の合間から見えるのは、御降村。

 山の中にあるはずのそこは、大きく削れ、えぐれた地形をしていた。


 段々になった土地の中に、家々と畑が点々と存在している。

 俺達はこれを見下ろせる場所に出たのだ。


 村の突き当り……崖になった場所には、半分潰れたような形の大岩。

 あれが、この村が崇める御本尊。

 神となった隕石、ミクダリ様だ。


 いざ、御降村へ……。


『おー、やっと入村したな! 何度もループしているようだが、中条にはその記憶が断片的にしかないようだ。こいつに任せるとバッドエンド連打をする気がするので、俺が乗っ取ってやりたいところだが……』


『今回の勇者と私、パルメディアの頃の私みたいな扱いなんですね。この世界、かなり守りが堅いです。私達異分子を入り込ませないようにしていますねー』


『まあ、こいつは放っておいてもどんどん危険に出会う。意識を手放したら……俺の出番だな』


『勇者が悪役のようなことを言っていますねえ』


『いつもの事だろう。超越者のバックアップもある。いい感じで介入してくれるさ』


お読みいただきありがとうございます。


面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ