第194話 ときめき学園よさらば! 第二章完!
仲間たちが立ち上がる。
その中には、城之内もいるのだ。
なんだか不思議な光景だな。
「終わったのか……?」
花京院が呟いた。
俺が頷く。
「ああ。不思議なことが起こって俺が城之内の外に弾き出された。そして本来持っていたパワーを全て取り戻して校長こと統轄者を倒したのだ」
「???」「はあー?」「どういうことだってばよ」
三猿には難しいかー。
ここで賢い響が説明をしてくれる。
「ええと、つまりそれはこういうことだよ。城之内くんと、ネトラレブレイカーは本来別々の存在だった。それが、何かの事故で一つになり……僕らの前に一人の人間として現れたんだ。だけど今、またネトラレブレイカーと城之内くんは分かれた」
「そういうことだ」
「うん、それで正しいよ」
城之内も頷く。
三猿と青菅と黄瀬が、「な、なんだってー!!」と驚いた。
流石リアクション要員だな……!!
「つ……つまりジョジョは」「ネトラレブレイカーじゃなかったってことか!?」「いや、俺らが知ってたジョジョがジョジョじゃなかったんだ!!」
「イグザクトリィ!」
サムズアップする俺。
理解が速いぞ三猿!
「えっと……じゃあ、あの強引で強気なジョジョって、ネトラレブレイカーの方だったの!? 最近、ジョジョが大人しくなって聖美と急接近してるなって思ったんだけど」
黄瀬も驚愕!
青菅はまあ冷静だった。
花京院といい感じだもんな。
さらば、恋多き女よ。
「いやいやいや、あたしのことサラッとまとめてる風だけど! そっかあ……ふーん、なるほどねえ……。一年の頃は、ジョジョみたいな男子いなかったと思ったのに、突然出てきたから……。そうだったんだ」
おっと、こいつ顔が広いんだった。
そんな青菅のアンテナに引っかからなかった、ネトラレブレイカー風城之内。
確かに不自然であったことだろう。
「じゃあ、あっくんと私を助けてくれたのが……」
「そうだぞ赤佐。俺がこの世界に降り立った日だ。そこで俺は城之内雪之丞に憑依し、ネトラレブレイカーとなった」
「じゃあセレスちゃんも……」
「そうですよミノリー……あっ、私もついに分離するようです」
どよめく一同。
チンチラから、褐色肌の美女が分かれていくではないか。
裸だ。
「寒い! 勇者よ、寒いですよ!」
「ええいこっちに来るんだ! 抱え上げて……俺の身につけている学ランの中にインサート!」
「ああ~。あったかいですねえ」
「せ、セレスちゃんがチンチラのセレスちゃんと、女の子のセレスちゃんになっちゃった!」
赤佐がようやくそれだけ絞り出した。
ここでチンチラを回収した城之内が申し訳なさそうに、
「うちのチンチラは、セレスっていう名前じゃないんだ。ハナコって言うんだけど……」
そうだったのか!!
今明らかになる真実。
「ということで、俺はこの世界にやって来た目的を果たした。ときめき学園を支配していた校長こと統轄者は敗れ、世界は安定を取り戻したぞ。つまり……さよならだ」
俺が告げると同時に、体がこの世界を離れ始める。
震脚で大地を蹴ったわけでも無いのに、俺とセレスが空に引き上げられていくのだ。
「ネトラレブレイカー! その、あの! ありがとう!!」
響が叫ぶ。
「セレスちゃん! またね! いっつもおしゃべりできて、楽しかったです!」
赤佐はセレスとの間に友情が生まれていたのか。
「ジョジョーッ! 俺達にとって、お前はずっとジョジョだからなー!!」「忘れねえぜーっ! あんたと一緒で、一年楽しかった!!」「俺達の人生、お陰で全然変わったぜ! 毎日が楽しい!!」
何よりだぞ三猿!
「まあ何ていうか! あたしの気持ちに応えなかった理由って、セレスがいたからなのね! まあ理解した! やっと失恋できた!! せいせいしたー!」
青菅は元気だなあ。
「えーと、つまり私は……あっちのネトラレブレイカーを追いかければいいの? いや、でも別の世界の存在なんでしょ!? どうすればいいかなあ、うーん!!」
黄瀬はなんか考えてるな……。
そんな彼女の横に、メガネ先輩が寄ってきて、「世界を渡るには私の師匠筋に知り合いが……」
いるのかよ!!
そして黒須は小さく手を振った。
城之内と手を繋いでいるな。
青春するんだぞ、メカクレ女子。
「ありがとう! ありがとう、ネトラレブレイカー!! ありがとうー!!」
城之内はなんか泣いてるし。
男がやたらと泣くものではないぞ。
厚木先生も駆け寄ってきて、
「いつでも学園に遊びに来ていいんだぞ! お前は、私の可愛い教え子なんだからな!」
ありがとう、属性モリモリにしてチョロインな先生!!
俺の人生で、最良の師の一人だったと思う。
もう一人は権田原先生な。
最後に、花京院の声が耳に届いた。
「お前は! また、どこかで戦うのか! 何かを奪われたわけでもない! 何かの使命を帯びているわけでもない! そんなお前が、また新たな戦いの場に身を投じるのか! 答えろ、ネトラレブレイカー!!」
「そうだ!!」
「なぜだ!! 戦いに呑まれようとしていた俺を戦いから解放し! だが、どうしてお前はまた戦いに赴く!!」
「それが!! 趣味だからだ!! さらばだ!!」
俺の体が輝きに包まれる。
「あんまりと言えばあんまりな返答だったのではありませんか?」
「いいんだよ事実だから。っていうかミノリーって語尾にないと違和感だな」
「あら、希望するなら付けてあげてもいいですよ、ミノリー?」
「わざとらしいのはなあ」
「あなたと実っている時に、思わず口に出てしまうかも」
「そ、それは雰囲気が台無しだ!!」
かくして、ときめき学園は遠ざかる。
俺達は雪の降り止まぬ空に吸い込まれ……。
気がつくと、自室にいたのだった。
俺とセレスが、異世界に飛び込んだあの瞬間から、一分くらいしか経過していない。
画面に映った、NTRれ青春! ときめき学園はTRUE ENDの表示がある。
タイトルに戻ると……スタートもコンティニューも消えている。
この世界は救われ、俺が介入できなくなったのだ。
なお、回想モードはあるのでちゃんと使うことはできる。
よーし。
「勇者よ、何を指差し確認しているのですか? こちらの世界ではまだまだ朝。おかあさまと朝ごはんを作ってきますから、降りてきて顔を洗ってくださいね」
「へいへい。一気に日常が戻ってきてしまった」
俺はPCの電源を落とす。
こうして戦いは終わり……。
俺はつかの間の休息として、冴えない人生をやっていくことにするのだった。
第二章 終わり
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