第193話 バトル・オブ・ときめき学園!
「おい、見てみろよあのマスク……」「ああ。あれは……赤と緑のマスク……!」「クリスマスカラーだ……!!」
生徒たちがどよめき、そして歓声に変わる。
本日はクリスマスイブ。
テスト終わりの高揚感と、そして校長に化けていた何者かの正体。
打倒された応援団の仲間たち。
現れた俺、ネトラレブレイカー。
全ての要素が絡み合い、この場のボルテージを上げていく。
「なんだか良くわかんねえけど……」「ネトラレブレイカーの戦いで、ときめき学園の何もかもが変わる!」「これが決戦ってこと!?」「あれがネトラレブレイカーの最終フォームなのか!」
いかにも。
「人呼んで……ネトラレブレイカー・XMAX!」
「勇者よ、なんか今上手いこと言ってやったぞみたいな顔しましたねミノリー」
「我ながら上出来だと」
「まあ、今の季節限定ではありますが悪くないのではないでしょうかミノリー」
おっ、今日のセレスは優しいぞ。
『無駄話をする暇があるのか! 余裕だなあ!』
統轄者が指を鳴らす。
奴の周囲に、無数のキラキラ光るものが出現した。
あれは何か?
「気を付けてください勇者よミノリー! ついに敵は、本当の力を使ってきましたミノリー!」
「超越者のエネルギーボールみたいなもんだな。こいつはキラキラしたものを飛ばしてくると見た。そして様々な創作物を摂取してきた知識から考えるに……」
『逃げ場は無いぞ! 消し飛び給え!!』
無数のキラキラが、俺に向かって飛んできた。
俺はこれを、地面の雪を蹴り飛ばして様子見する。
おっ!
キラキラと雪が接触した瞬間に爆発した。
幾つものキラキラが爆発する。
やはり、空間にばらまかれた機雷である。
統轄者の能力は、空間機雷!
これによって敵の行動範囲を狭め、一方的に攻めるわけだな。
さっきまでの応援団相手では、これを使うまでも無かったと。
『動けまい……! お前はこのまま、私の攻撃を避ける隙間すら得ることができぬ! 大人しく嬲り殺されるがいい!!』
「あの爆発ならば……硬気功でいける! ツアーッ!!」
俺は機雷の中に、両手を広げてダイブする!
『な、なにぃーっ!? 自殺する気か!!』
巻き起こる連鎖爆発!
うおおー!!
硬気功ーっ!!
凄まじい爆発の嵐が、降り注ぐ雪を消し飛ばす。
あまりの爆炎に、ギャラリーである生徒たちからも悲鳴が上がった。
だが!
俺はここで実感する。
「パルメディアの時の俺に戻っているようだな! しかも……!」
爆風を突き抜けて、俺は統轄者の頭上に到達する。
『なにぃーっ!?』
「俺はパワーアップしている! ツアーッ!!」
広げた腕を十字に組んで……フライングクロスチョップ!!
これをまともに食らった統轄者が「ウグワーッ!!」と吹っ飛んだ。
着地した俺の背後で、キラキラが一斉に爆発!
「硬気功なら……なんともないぜ!!」
『ばっ……化け物めええええ!!』
「それはお互い様だな。俺はお前と戦えるよう、この世界に順応して技を磨いた。そして基礎体力を上げ、第三眼を開き、本来のレベルを取り戻した……!! これがどういうことか分かるか?」
『なん……だと……!? 何だというのだ!?』
「超越者を倒した時よりも、俺は強い……!!」
「いつもは相手の口上の最中に仕掛けるのに、今回はのんびりですねミノリー」
「今回は俺が語ってるからな。ギャラリーへのサービスみたいなもんだ」
俺の声が聞こえた学生たちが、わあわあ騒いでいる。
みんなが応援してくれているな。
ときめき学園は、ネトラレブレイカーにとってのホーム!
逆に、校長にとってはアウェーなのだ。
俺がこれまで行ってきた活動は、今ここに結実した。
声援に向き直り、俺は両手を広げる。
そして応援団長のポーズ!
ウワーッ!! と大歓声!
誰もが俺を知っている。
俺は応援団長。
そしてネトラレブレイカー!!
『おのれ! おのれ! おのれーッ!! ここは私が作り上げた世界だ! 私が主なのだぞ!! 私こそが、この世界を統べているのだ! だというのになぜ! なぜ貴様が生徒たちの声援を浴びる! なぜ私ではなくお前が、少年少女たちから認められ、憧れられるその場に立っているのだ!!』
「なんだ、そんなことか」
俺は振り返る。
統轄者は怒りに咆哮を上げながら、頭上に巨大な輝きを作り出していた。
この大きさがまともに炸裂すれば、学園の半分と、ここに集まった生徒たちは跡形もなく消し飛ぶだろう。
故に、俺は跳躍する。
震脚で踏みしめられた大地が、一瞬遅れてクレーターになった。
俺の震脚が音を超えたのだ。
飛翔する俺の膝が……。
完成したシャイニングウィザードが、超巨大空中機雷に突き刺さり……貫通!
超巨大空中機雷が後方に向けて爆発を起こした。
「ツアーッ!!」
俺の発剄が空間に放たれ、なんか相転移みたいな効果で爆発が霧散する!
『お前は……お前はーっ!!』
「校長。学園の主役は教師じゃない。まして、校長でも用務員でもOBでもない!」
俺は統轄者と、拳が届くほどの距離に着地すると告げる。
「主役は生徒だ!! 奴らが主役なのだ!! そして俺は、生徒としてこの八ヶ月間を駆け抜けた。それがこの声援だ!」
『バカな! バカな! 私の三十年間が、お前の八ヶ月間に劣るなどと……!!』
長い年月をかけてこの学園に住み着き、使徒を生み出し、NTRを生み出し、世界を歪めてきたのだ。
その怪物が今、嫉妬している。
俺を妬ましげに睨んでいる。
「お前は学園を踏み台にしようとした。世界を改造したが、この世界を愛してはいなかった。己を愛さぬ造物主を、被造物が愛すると思うか!? お前は毒親だったのだ! そのままバイバイされて孤独なクリスマス……もとい、クライマックスを迎えるがいい!!」
『うるさい! うるさい!! 黙れーっ!!』
無数のキラキラが再び出現する。
それが組み合わさり、槍の形になった。
俺に向かって降り注ぐ!
「ツアーッ! 既にそれは見切った!! 爆発は! 発剄で散らせる!」
俺は降り注ぐ槍を無視して、眼の前の統轄者目掛けて逆水平チョップを放った。
発剄混じりの、打撃音!!
その衝撃に、近づいていた槍が弾け飛ぶ!
『ウグワーッ!?』
逆水平!
弾け飛ぶキラキラの槍!!
そして逆水平逆水平逆水平!!
マシンガンのような逆水平チョップの連打だ!!
『ウグワーッ!?』
全ての槍が消し飛び、統轄者もチョップの打撃で宙に浮く。
そこをキャッチした俺は、奴に告げた。
「さらばだ統轄者よ!! 白き聖夜に散るがいい! ツアーッ!!」
統轄者をキャッチし、高く高く飛び上がる俺!
『や、やめろ! やめろーっ!! 私は! 私はこんなところで終わる存在ではない! 私は! 私はーっ!!』
空を蹴り、超音速で落下する!
水先を仕留めたあれよりも、さらに速い!
この世界で最初に放ったとどめの技はパワーボムだった。
故に、締めもこの技が良かろう!
まさに隕石が落下するが如き、メテオストライク・パワーボム!!
「ツアーッ!!」
『ウグワワワーッ!!』
校庭が爆砕した。
雪が、土が宙高く舞い上がる!
その下には、統轄者が使っていたのであろうUFOが!!
外壁に叩きつけられた統轄者は、カッと目を見開くと……。
『せめて……高校野球の春大会を……見たかった……!!』
「勝つさ」
俺の返答を聞き、統轄者の顔がフッと優しくなった。
そして全身が結晶となって砕け散る。
UFOも同時に、粉々になった。
次の瞬間、学園を包んでいた独特の空気が消え失せた。
この世界全体に掛かっていた、NTRもの学園ゲームという呪縛が解けたのである。
戦いは終わったのだ。
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