第189話 猿拳爆発!ネトラレブレイカーがやらねば誰がやる!
「ああ~! 呑まなきゃやってらんねえぜ、オィ!」
水先がネックスプリングで起き上がり、スキットルの酒を呷った。
つまり、ここからが本番というわけだ。
酒が入った以上、ミザルはここに加わるには力不足。
「ジョジョ……!!」
「ああ。ここからは超人バトルだ!! ウキーッ」
俺は地面に手をつき、おサルのようにトコトコ歩き回り、水先にケツを向けてから振り返った。
「ウィーッ……! さっきは無かった動きをしてやがるなぁ~っ!? 何だお前、この一瞬で成長したようなぁ……」
その通りである!!
剛拳と柔拳の間に、猴拳という套路を得た俺は明らかにパワーアップした!
なお、合間合間に無理やりプロレスをぶっこむぞ。
「だがぁ~っ! 俺のトリッキーな動きについてこれるかぁ~?」
ふら~っとよろける水先。
だが、俺はそれに構わず尻を掻く。
倒れる水先。
俺は無視しながらウキウキ歩く。
「仕掛けて……こねぇだとぉ……!?」
「酔拳とは、常道に対するカウンターとしてのトリッキー。では、己よりも相手の方がトリッキーならばどうする? つまり、お前こそが打ち破られる常道の拳となるのだ!!」
「な、なにぃーっ!!」
「また勇者が口プロレスで攻撃してますミノリー。かなり口プロレス強くなりましたよねミノリー」
「戦いは口先から始まるからな」
「ええいっ!!」
倒れた状態のまま高速移動し、水先が間合いを詰めてくる。
そこでピョーンと飛び上がりながらの蹴りだ!
俺はこれを、自ら地面に身を投げ出して猿がお昼寝するポーズで回避!
反転しながら、着地した水先の脚を刈る!
「ちぃーっ!? 俺以上にトリッキーだと!?」
「トリッキーさは技の差し合いには有利だが、決定力が低い」
冷静に戦況を見ながら、俺は套路を組み立てていく。
体勢を崩した水先を絡め取るように立ち上がり、向かう先は……。
「コブラツイスト!」
「ウグワーッ!? 拳法かと思ったらいきなりプロレスの関節技になりやがった!?」
「俺の強さはこの変幻自在さでな!! ツアーッ!」
「ウグワーッ!! なんのぉーっ!!」
水先が、全身を脱力してするりと抜け出した。
そして密着距離からの連打!
拳拳、肘膝肩頭突き!
「ツアーッ!!」
これを素早く受け流しつつ、連打の最後までは付き合わない。
俺は姿勢を限界まで低くした蟷螂拳で残りの打撃をやり過ごし、水先を蟷螂手で引きずり倒し……。
「ウグワーッ!?」
「震脚!!」
「うおおーっ!?」
振り下ろされる踏みつけの一撃を、水先が回避する。
「……」
「どうしたのですか勇者よミノリー。なんか残心に浸ってる感じですかミノリー」
「いやな。こういう細かな拳法的やり取りが通用する相手だってのは分かるが……。やはりまだるっこしくてな。そろそろカッとなろうかと思っている」
「いいのではありませんかミノリー。相手のペースは完全に乱れましたミノリー」
酔拳は、己のペースに相手を巻き込んで翻弄、打倒する拳法だ。
そのペースが崩れてしまったのならば、あとは地道に套路を刻む必要はない。
いや!
俺が最も馴染んだ套路……つまり試合の組み立てを行うべきなのだ!
再び立ち上がり、倒れ込むように肘を叩きつけてくる水先を……。
肘ごと抱え込んでの「ツアーッ!! フロントスープレックス!」
「ウグワーッ!!」
地面に炸裂!
そこから力づくで引き起こしながらのDDT!
「ウグワーッ!?」
大地を踏みしめられていない拳法に勝ち目なし!!
活人拳くそくらえ!
「おらーっ! ゼロ距離からのエルボー連打! 剄が入ってない? そんなもん、打ち込む度に浸透勁を上半身の動きだけで入れるくらい朝飯前だツツツツツツツツツアーッ!」
「ウグワーッ!? こ、こいつ! でたらめだ! 拳法かと思えばプロレス、プロレスかと思えばあらゆる技に発剄を乗せてくるーっ!!」
「表面をプロレス技で攻撃し! 内面から発剄でダメージを与える!! これだーっ!! ツアーッ!!」
この密着状態は、酔拳でさえ近すぎる間合い!
骨法ですら至近距離過ぎて威力を発揮できない。
ならば何を使うか?
投げでしょう!
「終わりだ、間男がーっ!! 手加減抜き! ジャンピング・パワーボムッ!!」
「や、やめろーっ!? こんなっ、こんなところで俺がぁぁぁぁぁぁっ!!」
震脚で大地を蹴り、跳躍した高さは40m!
そこから空を蹴って加速!
自由落下の二倍の速さで叩きつける、言うなればマッハ・ジャンピング・パワーボム。
今、校門前に炸裂!!
「ウグワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
絶叫とともに、水先は爆散!
ちょうど下校するところだった生徒たちが、衝撃波で「ウグワーッ!?」とふっ飛ばされる!
ごめーん!!
だが、ギリギリ下校時間に間に合ったな。
「やったか!」
ミザルが原付を押しながら駆け寄ってくる。
謎の空間での基礎トレーニングにより、超絶パワーアップをしたから、原付を軽々押せてしまうな。
「ちなみにその言葉はフラグだぞ。まあ本当にやったんだが。これで……残るは黒幕だけだな」
ついに、ときめき学園での戦いは最終局面に達した。
これより先、学園にNTRは発生するまい。
満を持して、俺は校長と対決するだけだ。
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