第188話 活人拳じゃないので用務員担当だと!?
「やめろーっ! ネトラレブレイカーやめろーっ!! それは死ぬ!」
「なにぃーっ」
即席使徒に屋外ブレーンバスターを掛けようとしていたら、マスカレードに止められてしまった。
「即席使徒とかいうこいつら、まだまだ人間の気配がする。恐らく水先を倒せば元に戻れるんだ。殺すことはない!」
「何を言っているんだマスカレード。プロレスは人が死なない……かなり死ににくい。つまり活人拳なのだぞ」
「いや、あれはお互いが了解を得た上で技を掛け合っているからこそだろうが!」
「なにっ! プロレスを八百長だとでも言うつもりか!」
俺はパルメディアを終えた後、プロレスの中継を見るようになったのだ。
動画サービスが提携しているプロレスは、魂をたぎらせてくれる戦いの連続だった。
あれはガチ。
そしてどれだけ技を受けても立ち上がるレスラー。
プロレスとは活人拳なのだ!
「いかん……こいつに任せていたら即席使徒は全滅する……!!」
使徒たちを相手取りながら、敵の心配をするマスカレードなのだ。
随分優しくなったな?
もしかして青菅とかなりいい感じになっているんじゃないのか?
友達以上恋人未満だった大嶽は完全にBSSになったな?
「もういい! こいつらは俺が相手をする! お前は水先をやれ! 逃げそうだぞ!!」
「なにぃっ」
俺とマスカレードが言い合いをしている間に、水先妖二郎は全力ダッシュで遠ざかっていくところだった。
なんて潔い逃げっぷりだ!
態勢を立て直してから攻めてくるつもりだろう。
そうはいくか!!
「うおおお! 待て水先ーっ!」
俺はダッシュで後を追いかける。
そこへ、原付に乗ったミザルが並走してきた。
「ジョジョ! 後ろに乗れ!!」
「なにっ!? ノーヘル・ニケツは法律違反だぞ!!」
「ジョジョ、学内は治外法権だ!!」
「なるほど!!」
見事なシステムハック!!
俺はミザルの後ろに乗り込んだ。
そしていつでも飛び出せるよう、後部で立ち上がり腕組みをする。
「ジョジョ、こいつを使ってくれ! 俺達が金を出し合って買ったマスクだ!」
「なにっ!? これは……青いマスク!! おさるマークが3つ付いている。三猿との友情の証ということか! ありがたい、受け取ろう!」
マスクを被ると、全身に三猿との友情パワーが漲ってくるではないか。
うおお、俺はネトラレブレイカー・モンキーである!!
その時!
不思議なことが起こった!!
『ウキーッ! モンキーの極意に達したようだな』
「なにっ、突然時間の流れが緩慢に……。これはまさか……」
『いかにも。おいらがお前に技巧の拳法を教えにやって来たんだぜ。おいらの名はイサルデ。技巧神イサルデだ!』
「どこかで聞いたことがあるような……」
「あっ、こいつパルメディアの神ですよミノリー」
『なんだこのネズミ。セレスみたいな声で喋りやがって』
「私です私ですミノリー」
『マジでセレスなのかよ!? なんともまあ、ファンシーな姿になっちまったなあ。まあいい。今は時が止まった状態にある。おいらがお前に、技巧の拳法、猿拳を教えてやろう、ウキーッ!』
「な、なんだってー!!」
突然、ミザルの原付の上から、謎の武道場へ!
「ウグワーッ!」
ミザルも謎の武道場へ!
なにぃーっ!!
「な、なんだここはーっ!!」
『ついでに連れてきちゃったぜ』
技巧神イサルデを名乗る神が現れる。
インドっぽい甲冑を纏った、直立する白猿だ。
「ミザルはただの人間なので辛いのではないか」
『何を言ってるんだ。お前の相棒だったナルって女も、おいらの薫陶を受けて強くなったんだぞ。ちょっとセクハラもしちゃったが』
「なにぃー! だが、なんか別に問題なさそうだったし結果オーライとしよう……」
ということで、イサルデの技を学ぶのである。
猿拳とは!
「香港映画にそんなのがあったような……」
『猴拳とも言ってな。トリッキーなアクションと素早い打撃でペースを握る。ま、お前の使う技だと柔拳と剛拳の間にあるような技だな』
なるほど、螳螂拳にも繋がる拳法のようだな。
どーれ……?
ということで……。
メンタルとタイム武道場にて、俺とミザルは猴拳をマスターしたのだった。
まあ、俺のは螳螂拳と詠春拳の動きに新たな套路が加わった感じだが……。
「うおーっ! なんか俺、超強くなったぜーっ! 動きはなんかおもしろおかしくなったけど」
『そうだろうそうだろう! お前、これで人間の中ではトップクラスの上澄みだぞ。神の技を身につけたんだからな!』
ナルとは別方向での超人化したっぽいなミザル。
意外な人選!
そしてハッと気がつくと、また原付の上だ。
加速する原付!
水先の背中が見えてきた!
「追いつくぜー!! ヒャッハー!!」
「ちぃーっ! だが! ただの人間に俺を追いかけさせたのが間違い!! アチャァーッ!!」
水先が跳躍!
ミザルを原付から蹴り落とそうとする!
これが、以前のミザルであればあえなく叩き落され、リタイアしていたことだろう。
だが、さっきまでの彼ではない。
「見せてやれミザル!」
「ウキィーッ!!」
原付のハンドルに片手逆立ちし、激しくスピンしながら水先の飛び蹴りをいなすミザル!
「なにーっ!?」
「ウキッキー!!」
素早い打撃が、水先を襲う!
だが、水先もさすがは最強の使徒。
付け焼き刃の猿などそう通じはしない。
「人間にしてはやるようだがぁ! まだまだぁ!!」
強引に振り回された腕が、ミザルを襲う!
だが、好きにはさせんぞ!
「俺を忘れていたな! ツアーッ!」
「ウグワーッ!?」
疾走する原付の上で、ミザルが手放したハンドルの上に俺!
着地ざまの旋風拳で水先を跳ね飛ばす!
「猴拳を通じての螳螂拳! ツアーッ!!」
飛ばされた水先は原付の後部に着地するが……。
そこに俺の蟷螂手が炸裂!
水先を原付の外に引きずり下ろす!
そして俺は脚でハンドルをコントロールしながらターン!
「ミザル! 運転をバトンタッチだ!!」
「任せろーっ! 突撃だぁーっ!!」
突進する原付!
迎え撃つ水先!
「舐めるなクソガキどもぉーっ!! すっかり酔いが醒めちまったじゃねえかぁーっ!! 死ねやーっ!!」
来たか、水先の頭部から突っ込む人間ミサイル!
だが酔拳の効果が切れ、以前のようなキレがない。
それに対する俺は、既に飛び上がっているのだ。
原付の加速から放つ……超高速! ミサイルキック!
「ツアーッ!!」
空中にて炸裂!
俺が勝つか!?
水先が勝つか!?
「俺だぁーっ!!」
「ウグワーッ!!」
水先がぶっ飛んだ!
そこは校門ギリギリの場所。
危うくニケツどころか曲芸乗車で治外法権外に飛び出し、色々まずいことになるところだった。
最後の四天王戦最終局面。
校門前、夕暮れの決戦!
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