第187話 決戦! 最後の四天王!
最後の四天王、水先妖二郎。
ついに奴を釣り上げた!
「先に行くぞ!」
マスカレードがお面を被り「ハアーッ!!」と斬り込んでいく!
初速があるよなあ。
権田原先生に鍛え抜かれた基礎体力のお陰か、踏み込みが明らかに力強い。
木刀の一閃は、タオルを切断した。
「俺のタオルを切り裂くってか!! てめえ、力任せに獲物を振るってるだけじゃあねえな?」
「いかにも! 俺はネトラレブレイカー・マスカレード!! 貴様ら間男を一人残らず駆逐すると誓った男だ!」
「ふん! ケツの青いガキが言いやがるぜ! だがぁ! ちょっとやそっと鍛えたくらいじゃあ、俺には及ばねえ!」
水先は腰に下げたスキットルを手にすると、中身をぐいーッと飲んだ。
なんだなんだ?
酒であろう。
戦闘中に酒を飲む……?
おかしいな。
まさかこいつ……。
「ハアーッ!! 食らえ、間男ーっ!!」
「うぃーっ!」
雷光のような超高速の面打ち!
だが、これをふわりとよろけるように回避する水先!
千鳥足のような動きで、ちょこちょこっと動いたと思ったら、バターンと倒れた。
いや、倒れながらスライディングしてマスカレードの脚を刈る!
「くおぉっ!!」
マスカレード、第三眼とはいかないまでも直感が鍛えられていたようで、これをギリギリで回避した。
だが避けるので手一杯で体勢を立て直せない。
さらに、屋内での木刀は下手な振り回し方をすると壁に当たってしまうのだ。
対する水先は素手。
そして倒れたはずの体が下半身のバネだけでひょいっと起き上がり、またふらふらーっと動いた。
スキットルの中身を呷る。
「ふーむ」
「何を見ているネトラレブレイカー! 奴を攻撃しないのか!」
「俺はメガネ先輩から力をもらってから、一旦、見に回ることにしている。どれ、ちょっと確認してこよう」
俺が踏み出すと、水先がふらふら動いた。
間には、タオルからひいひい言いつつ脱出している女子たち。
彼女たちを盾にして攻撃してこようというわけか。
「うぃぃぃ~っ! ひゃぁーっ!!」
ふらふらしたかと思ったら、四つん這いになっている黄瀬の上を通過するようにして水先が吹っ飛んできた!
なんというトリッキーな動き!
第三眼が無ければ当たっていたな!
だが、お前が飛んだ時……!
「俺は既に壁を駆け上がっている!!」
「なにぃっ!?」
頭からの突撃から、くるりと回って着地した水先。
壁から天井へと駆け抜けた俺を睨みつける。
「ツアーッ! 超高空ドロップキック!!」
「なんのぉ! アチャァーッ!!」
迎え撃つのは地上からの迎撃ミサイル頭突き!
空中で俺達の技がぶつかりあった!
生まれる衝撃波!
「ひゃあーっ」
「ひえーっ」
黄瀬と青菅が吹っ飛んだ!
俺達も互いに跳ね跳び……衝撃波は更衣室の壁を破砕する!
まあ、プールの更衣室なんかバラック小屋みたいなもんだからな。
水先は地面をバウンドしながら、プールにボチャンと落ちた。
水が入っていただと!?
「冬のプールで頭が冷えたぜ。いやあ、こいつはどうやら、おじさん見事に釣られちゃったなあ」
「冷静さを取り戻したな……?」
「今度は俺が行くぞ! ハァーッ!!」
飛びかかるマスカレード!
お前、水上走れないんだから止めておいた方がいいのではないか。
あっ、ビート板を次々に投擲し、それを足場にしながら疾走している!
「おいおいおい! そんなんありかぁ!? だったらぁ! 俺だってやっちゃうぜぇ!」
水先は一旦水中に潜ったと思いきや、勢いよく飛び上がってくる。
ここに駆けつけていた三猿がこれを見て驚愕した。
「ゲゲぇーっ!! 水中からジャンプしてあんなに跳べるのかよ!」
「トビウオかあーっ!?」
「空中で方向転換した!」
「ハアアアアッ!!」
「アチャチャチャアーッ!!」
迎撃するマスカレードと、空中で連打を繰り出す水先!
いい勝負だ。
足場が安定していればだが。
「くっ! 俺はまだ足りんと言うのか!!」
ビート板の足場が崩壊し、マスカレードがプールに没する……というところで!
「ハアアアアッ!!」
木刀一閃!
プールの水が真っ二つに割れる!
技が練り上げられて行っている。
これなら、俺と力を合わせれば水先など一蹴できよう。
「……って思ってるんだろぉ?」
マスカレードの木刀を蹴って後退、プールの反対側に着地した水先。
「俺ぁなあ、用心深いんだ。学園のあちこちに、俺の下僕になった野郎どもを用意してるってわけよ」
「なにっ!?」
驚愕するマスカレード。
「あー、なんかそういうキャラっぽい気はしてた!」
納得する俺。
「さあ出てきやがれ野郎どもぉ! 即席使徒として、その力を振るってやれーっ!!」
「水先様ーっ! 今駆けつけましたぜーっ!!」「いつもおこぼれに与ってて本当にありがとうございます!」「毎度送られてくるNTRビデオレター……堪らんです」
多様な属性の連中が駆けつけてきた!
教師に生徒、父兄までいるぞ。
水先、どれだけ手広くNTR行為を行っていたのか。
それに巻き込まれた男たちは、水先の手先となってしまうのだ。
「即席使徒だと……? 殴ったら爆砕しないで死体が残りそうだな」
俺は心配になった。
ここは法治国家。
人を殺してはいけないのである!!
「勇者よ、何を今更常識人ぶっているのですかミノリー」
「だがセレス、俺がいなくなっても城之内の人生は続くからな」
「あっ、それは盲点でしたミノリー」
つまり俺達は、この即席使徒を殺さないように相手しつつ、水先を逃さずに仕留めなければならないのだ!
おお、ストレスフルなミッション!!
全部殺していいなら楽なのに。
「いや、正気になれ俺よ。ここはつまり……活人拳の使い所ではないか」
「活人拳とはなんですかミノリー」
「それはなっと! こうやって相手の攻撃を受け止めて」
「おら死ねーっ! 何ぃーっ! 俺のチェーンを握り込んだパンチを受け止めたーっ!?」
「手四つの力比べから相手を引き込んで」
「うおおーっ! すかされた!?」
「抱え込んでのパワーボムだ!! 受け身取れよ! 死ぬなよ!」
「ウグワーッ!!」
よし!
ギリギリ受け身取れてる!
死んでない!
「これだーっ!!」
「野郎、殺す気だ!?」「正気じゃねえ!!」「ここは法治国家だぞ!?」
「ま……まさか即席使徒相手に、躊躇無く殺人技を繰り出すとは……! 狂ってやがるぜぇ」
なんで即席使徒ばかりでなく、水先まで驚いてるんだよ!
「いいか? プロレス技は試合で使われる。そこでは相手を殺さずに真剣勝負を見せ、筋書きのあるドラマを描き出すことで見るものを感動させるのだ。つまりプロレスとは活人拳!! 行くぞ使徒ども!!」
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