第184話 なにっ、また野球部が勝ったのか!?
なんかときめき学園野球部が、三年生引退後の秋季大会で県大会を優勝、地区大会に出場し、決勝まで勝ち進んでいるのだ。
「……強すぎないか?」
「ジョジョ、ずっと応援してきてて今更だろ」
それはそうなんだがなあ。
イワザル曰く、
「今年のときめき学園野球部は歴代最強だぞ。なんだかよく分からないが、外部から来たコーチが入部してきた生徒たちをそれぞれのジャンルのスペシャリストに育て上げ、一年目は地区大会でいいところまで行き、その経験で二年目は甲子園寸前まで。この評判を聞きつけて、越境留学してきた強者たちが参戦し、一年生レギュラーを抱えながらついに今年は甲子園二回戦!」
「俺がネトラレブレイカーをやっている間に、野球部は野球漫画みたいな展開をしていた……!?」
この世界の主役は俺だと思っていたが、どうやらパワード高校野球みたいなゲームをプレイしている奴がいたらしい。
絶対異世界転生者のコーチだぞ。
道理で野球部でNTRが発生しないわけだ。
ある意味、ネトラレブレイカーはこの学園に三人いたことになるのだ。
あの、サングラスを掛けて指示を出しまくっている若い男がコーチか。
うむむ、転生者の気配を感じる……。
全ては甲子園出場のための布石。
恐らく俺がいなくなった来年の春、そして夏には、甲子園優勝を果たしそうな気がする。
お前が見届けるんだぞ、イワザル。
ということで、俺は応援団として活動しているのだが、手薄になった学園はマスカレードが守ってくれる。
とは言っても、あまり間男が出現しなくなっているらしく……。
『そっちの調子はどうだ?』
『間男どもの動きが鈍い。犠牲になっている女子はほとんどいないようだな。この間の学園祭で大多数を投入したし、さらに水先が粛清したのでほとんど残っていないらしい』
『校長め、一体どういうつもりだ? 間男が一旦全滅してもいいってことか?』
『俺にも分からん。だが、何らかの目的は達成したのかも知れないな』
マスカレードとの定時連絡だ。
やつはどうやら休学状態になっているらしく、今年一年はフリーに動き回れるのだ。
「あたしも先輩に協力する!」とか青菅が申し出たが、青菅が単位不足で留年したら本末転倒である。
花京院は青菅に授業にきちんと出るよう伝え、さらに応援団活動もちゃんとやれと言っているのだった。
なお、花京院、青菅、大嶽間の三角関係めいた修羅場は何一つ解決していない。
花京院が来なければ俺がそこに巻き込まれているところだった。
恋多き女、あんまり恋をするな!
「学校と応援団の往復で、なかなか忙しいですねミノリー」
「ああ。日帰りばかりなのがありがたいがな。ネトラレブレイカー活動がやりづらくなっているのが難点だ。まさか野球部がこんなに強いとは思わなかったからな」
「黒幕の校長は勇者がネトラレブレイカーだと気付いていますミノリー。ですが攻撃を仕掛けてこないのは、勇者たちが応援団としてきちんと活動し、野球部も実績を上げているからですねミノリー」
「なるほど。つまり俺達が忙しく応援して回っていることで、NTRブレイカーズの身の安全が保証されているってわけか」
怪我の功名と言えよう。
それに、校長もどうやら秋季大会に注目しており、間男とかNTRどころではないらしい。
高校野球とかのスポーツが大好きな黒幕ってどうなんだ。
だがそれはそれとして、俺はきちんと応援団をやる。
団長であることだし、なんだかんだで青春って感じがするからな……!
俺は今、高校時代をやり直している……。
なんか分からんが、黒幕もそっち方面には大変理解がある。
これは奇妙な利害の一致なのだった。
だが……。
そんな侘び寂びを理解しないやつというものはいるものだ。
用務員、水先妖二郎。
地区大会決勝から帰ってきた俺達応援団部室前に、奴がいた。
「おやおや、ご苦労さん。あんたらも忙しく駆け回ってるみたいじゃないか。ああ、俺かい? 部室を掃除しておいてやったよ。ま、がんばんな」
そう告げて、奴は去っていった。
「怪しい」
「怪しいって、何がだジョジョ?」
「うおーっ! 部室の中ピカピカになってるぜ!」
「すげー。用務員さんありがとう!」
三猿のはしゃぐ声が聞こえる。
俺も部室に入ると、なるほど素晴らしい掃除の腕前だ。
唸らざるを得ない。
床はピカピカにワックスがけされており、壁や器具にはホコリ一つない。
道具類は分かりやすいように整頓され、何より破壊されていた窓が新たに嵌め直されている。
ふーむ、至れり尽くせりだな。
だが……俺はNTRものに詳しいのだ。
「どこかに隠しカメラがある」
「勇者の猜疑心がむくむくと湧き上がってきましたねミノリー」
「ジョジョは考えすぎじゃねえの?」
「そうだぜ。世の中そんな悪い人ばかりじゃねえって」
「うひゃー、テーブルまでピカピカだ! 用務員さんってすげえんだなあ」
後から来た響と赤佐と青菅もびっくりだ。
みんな大喜びなのだが……。
「こんなに何もかもハッピーに行くはずがない。全ては持ち上げて落とすための布石に違いないぞ」
「とんでもないへそ曲がりの捻くれ者みたいな事を言っていますが、勇者のこの歪んだ思考が使徒や黒幕の思惑に食らいつく力になっているのは間違いないですねミノリー」
うむ、セレスだけは俺の疑心に賛同してくれているのだった。
さて、隠しカメラを探すか……。
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