第177話 間男狩りのスタートだ!
開場と同時に、学園になだれ込んできた間男……もとい使徒たち。
これは、何者かによって作り変えられたときめき学園が長年に渡って生み出し続けた、使徒の大決算なのである。
学園祭は狩り場となり、多くの女子たち、女性たちが落とされ、黒幕はNTRから作り出されるパワーを得て、より強大になる。
『そう。我が力は間もなく、降臨者のそれに至る。そうなった時が勝負ぞ!』
黒幕には狙いがあった。
それは、対立関係にある、強大な敵を打ち倒すことである。
異なる世界を支配しようとしていたライバルが、何故か脱落した。
三人のオーバーロードは、互いに支配する世界を戦わせあい、勝敗を競っていたのである。
一つは超越者。
ファンタジー世界パルメディアの一大陸を支配し、そこを己のフィールドに作り変えた。
だが、彼は何者かによって討たれ、命はあるようだが再起するつもりはないと宣言した。
しばらくは自作のアップデートを行い、次回作の構想を練り続けるそうだ。
なんのこっちゃ。
一つは降臨者。
とある村を丸ごと支配し、因習に満ちた儀式を繰り返しながら蠱毒を行う不気味な存在。
単体の実力であればトップクラスであろう。
だから、彼は降臨者に及ぶため、ときめき学園を支配した。
『いよいよ、我が野望は結実する。何より甲子園出場も出来たし。後は我が使徒どもを肥え太らせ、この私が食らうのみ……。だが……』
彼は部屋の中で目を閉じる。
学園に溢れる使徒たちの気配が消えていく。
一つ、また一つ。
これはどうしたことだ?
『水先くん!!』
「へい!」
己の腹心とも呼べる、最強の使徒を呼ぶ。
用務員、水先妖二郎は地面から滲み出すように現れた。
「なんの御用でしょうか。俺ぁ、今いいとこでして」
なるほど、水先は下半身が裸であった。
『アッ、こいつは失敬。だが、君のお楽しみタイムにも匹敵するような重要な事が起きているのだ』
「へえ! そいつはなんですかい」
誰に対しても不敵な態度をとる水先だが、彼の前では従順な部下だ。
水先にとって、彼は力を与えてくれた神であり、最高の狩り場で自由にさせてくれる理解ある上司だった。
『事が終わったら、学園内を巡回してもらいたい。今年に入ってから動き出している、あのネトラレブレイカーとか言う謎の因子が悪さをしているようだ。いや、悪さの程が過ぎる……!』
「なるほど、なるほど。そんじゃあ、ボブに連絡しときますぜ。俺ぁ、これから日が暮れるまでお楽しみの予定なんで……」
『うーむ、仕方ないか。ボブに任せよう』
使徒のお楽しみタイムは、彼にとっても重要だ。
そこで得られるNTRパワーこそが、彼の血となり肉となり、降臨者を超える力になるのだから。
「あ、それはそうとお館様。野球部の秋大会、楽しみですねえ」
『うむ。しかも今年は、男子バレー部がいいところまで行っている。権田原先生のボーナスをあげてやらねばな……』
「いよっ! お大尽! 校長!」
『ぬははははははは!!』
悪の哄笑が轟く。
今年の彼は、学園野球部の甲子園出場があったため、上機嫌だった。
※
「ツアーッ!!」
「ウグワーッ!? なんでーっ!?」
「ツアーッ!!」
「ウグワーッ!? トイレの窓から必殺の一撃がーっ!?」
俺は!
学園内を駆け回っていた!
俺が走れば間男に当たる!
ある時は、体育用具室にて女子を組み敷く間男を爆砕し。
ある時は、男子トイレに連れ込まれた女子の頭越しに間男を爆砕。
どこに行っても間男がいるではないか!
ははははは!
爆釣!
午前中のうちに、六人の間男を倒したところである。
一体どれだけのNTRが学園内で行われていると言うのか。
おっと、窓越しに見える渡り廊下では、マスカレードが間男の集団と渡り合っている!
圧倒的な剣戟が間男を次々に爆砕!
間男の練度が足りないなあれは。
好色三兄弟レベルでは勝負にもならない。
見たところ、マスカレードの剣の腕はパルメディアで言えば最終戦のダイオンと互角くらいであろう。
並の使徒ならば正面切って斬り伏せる。
格の足りぬ使徒ならば、物の数ではない。
「ハァーッ!!」
剣閃が放たれ、渡り廊下の窓ガラスから次々に間男たちがふっ飛ばされて行く。
「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」 「ウグワーッ!!」
「いい感じで雑魚の群れを探り当てやがったなあ、あいつ」
こっちの敵がちょっと強かったらしいな。
「どれ、俺もこれから巻き返しを図るか……っと! 厚木先生!」
俺は慌てて覆面を脱ぎ、ポケットに押し込んだ。
厚木先生はこちらに気づくと、笑顔で駆け寄ってきた。
「おお、城之内! 午前の演舞良かったぞ。本当に良かった……。私は教師として、顧問として、本当に幸せだ……!」
厚木先生、幸福の絶頂!
これは……来るか!?
最高の瞬間をぶち壊して、敵襲があるのはパターン!!
「勇者は素直に歓びを享受できないタイプですねミノリー」
「パターンなの!!」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
ほら来た!!
窓を破壊して、ボブが飛び込んでくる!
狙いは厚木先生!
俺と彼女の間には、わずかばかりのスペースがあるのだが……。
ここに俺が踏み込むより早く、ボブは隙間目掛けて抱えていた女の子を投げつけてきたのである!
「なんとーっ!!」
「あーれえー!!」
これはさすがにキャッチせねばなるまい!
そして女の子を助けているうちに、ボブは厚木先生を抱き上げると、
「いただきデース!!」
「ぼ、ボブくん!? いったいどうしたというのだー!!」
ぬおおっ、走り去っていく!
俺は女の子をそのへんの教室に放り込むと、追跡を開始だ!
渡り廊下からも、マスカレードはこちらの状況を察知したらしい。
割れた窓から跳躍し、ボブが破壊した壁面から入ってくる。
周囲はパニックだが、そんなものは俺達にとってどうということもない。
「まんまと厚木先生を奪われたか!」
「うるさい! 口論する暇があるなら……!!」
「追いかけるか!!」
二人のネトラレブレイカーが、地のボブを追う!
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