第172話 襲撃、ボブ!!
応援団では何の出し物をするかという話をすることになった。
中間テストが終わっても、気を緩めている暇などないのだ!
解放されてカラオケなどにいそしめるのは、帰宅部連中のみである。
悪いが、学園の外で使徒ではないチャラ男とかにお持ち帰りされて色々あったりするのは、さすがに俺でも管轄外だ。
君子危うきに近寄らず的な感じで自衛してもらいたいものである。
「ジョジョがまた難しい顔してる」
「いつものことじゃない?」
「っていうか翔子、最近よく応援団にいるよね?」
「そりゃあ、甲子園では選手の呼び出しとか私が担当したでしょ? その時に応援団とも交流したしー。もう他人じゃないって言うか?」
「そ、そんな事を言ってジョジョを狙ってるなー!?」
「ほほほほ」
また青菅と黄瀬がわちゃわちゃしているぞ。
なお、今回の会議は三猿と響と俺の五人で満場一致で……。
「応援団として展示や出し物をするのはやめ、学園祭のライブの頭で応援の演舞を見せることにしよう」
ということになったのだった。
うーん、健全。
そこへやって来た厚木先生。
女子バレー部も大会が終わり、活動も一段落。
今は基礎練と、次の主戦力となっていくであろう一年生の体作りを行っているそうだ。
引退した三年生の中で、推薦が決まっている者がコーチを受け持ち、後輩たちを鍛えている。
そうなると厚木先生にも暇ができるわけだ。
「おお、やってるな! なに、ライブで演舞をやるのか!? いいないいな! 応援団が復活してすぐに、まさかこれほど応援団らしい活動ができるとは思わなかった! しかも、夢の甲子園出場とそこで応援が実現できた……。顧問冥利に尽きる……」
思い出すだけで、今もうるうるしてしまう厚木先生なのだった。
応援団、学年主任の嫌がらせで解散させられて、構成員は離島キャンパスへ飛ばされたと聞いているもんな。
離島キャンパスというのは、言うなればときめき学園の飛び地だ。
そこに飛ばされた生徒は絶望的な環境から、自主退学するものが多いと聞くが……。
「そう言えば、元応援団の団長って花京院文彦先輩だよね? 最近、学園で花京院先輩を見かけた生徒がいるんだけど……」
「なにっ、青菅、何かまた含みがアリそうなことを……」
「なんかふと思い出しちゃって。クラスで話題になってたんだよね。先輩、本当なら三年生になってるはずなんだけど」
「こういうのはフラグになっているんだ。一見して脈絡がないような話題だが、本来の展開に大きく関係してくる……。俺は詳しいんだ。というか叡智ゲームよりはアニメとか学園を舞台にした特撮みたいな」
「勇者よちょっと静かにするのですミノリー」
セレスにたしなめられてしまった。
仕方ないので、静かに瞑想でもすることにする。
第三眼を開いてだな……。
ほう、窓の外に黒人の筋肉質な巨漢が張り付いているようだが……。
な、なにぃーっ!!
俺は反射的に「ツアーッ!!」と飛び上がった。
同時に「YEAHHHH!!」と窓を突き破ってボブが飛び込んでくる!
空中で交差する俺とボブ!
ボブの拳が唸りを上げて俺の顔面に叩き込まれる!
だが、俺の腕は螺旋を描いてボブの腕を撃ち落とすのだ!
「Oh!! 人種の差にヨル、リーチのビッグな違いがあるのに……! しかもユーはミーの接近をアーリーに気付いたネー……!」
「御託はいい。応援団の部室から出ていけ! ツアーッ!!」
「アウチ!」
連続でボブの腕を攻撃!
やつは突き破った窓から、再度外に向かって飛び出していく。
「俺は奴を追う。会議を進めておいてくれ!」
「おう、任せろジョジョ!」
「なんでジョジョは気付いたんだ……!?」
「最近特訓してたみたいだからな……」
なお、厚木先生はあまりのことに放心状態。
よし、ならば気付かれてないな!
赤佐が素早く、割れた窓ガラスを掃除している。
頼むぞ!
「ツアーッ! 待てボブ! そして死ね!!」
「Oh! アマリニモ、スピーディーな論理展開デース! バット、ミーはちょっとグリーティングついでに厚木ティーチャーをゲットしてステディにしようとしただけデース!」
「なにぃーっ!? お前のようなボブがあの女教師をモノにしたら一発で落ちるに決まっているだろうが!! 厚木先生的にお前はトップメタなのだ! 絶対にさせんぞ!!」
「HAHAHAHAHA! それを決めるのはユーではありまセーン! OK!! ミーの足が……地面に付きました!! スタンプ・オンザ・グランド!!」
「むっ! 奴の二つ名は……地のボブ!! これはもしや……!」
「イエスッッッ!!」
部活棟を見上げる道の上で、ボブがステップを踏み始める。
いや、あれは大地と一体となるダンス!
なんかそれっぽいやつだ!
落下してくる俺目掛けて、逆立ちしたボブが嵐のような蹴り技を放つ!
「カポエイラか!!」
「そんなニュアンスのサムシングデース!! YEAHHHHHH!!」
「ツアーッ!!」
俺はこれをひたすら弾く、弾く、弾く、弾く!!
権田原先生の教えで強化されていなければ、硬気功で受け止めるしかなかっただろう。
だが、基礎的な筋力アップをした俺ならば、これをいなすことも可能!
しかし、ボブの手数……いや足数は多い。
このままで千日手だ。
そこへ、状況を一変させる存在が現れた。
「手を貸してやろうか? ただし……もろともに真っ二つだ! ハアーッ!!」
何かが駆け込んでくる!
そいつから受けた凄まじい気迫に、俺は「ツアーッ!」と空気に震脚を放ち、空中に逃げた!
ボブもまた、「オーノーッ!! 一時退却デース!!」
そう宣言し、地中に潜って消えていった。
その直後、俺達がいた空間を斬撃が走る!
経っていたのは、お面を被った男だった。
「ふん、命拾いしたな」
「ネトラレブレイカー・マスカレード……!」
「いかにも。貴様はオリジナルのネトラレブレイカーだな?」
お面越しに、その男は俺を見た。
「そうだ……あっ、ちょっと待ってね」
俺はいそいそとポケットから取り出したマスクを被る。
ちょっと待っててくれるマスカレードである。
「いい?」
「OK」
「ネトラレブレイカー。この学園に巣食う化け物どもは、俺の獲物だ。手出しをするなら、お前も容赦はせん。それを心に刻んでおくことだな」
「あいにく、俺も間男を爆砕するという生き様を曲げる気は無い。次に会うときはどちらかが粉砕される時かも知れんな」
「お前だ」
「お前だろ」
「いやお前だ」
「お前だっつーの」
いかん!
どちらも負けず嫌いだ。
これは決着がつかなそうだぞと思った頃に、部活棟から飛び出してきた青菅が、三猿を従えて駆けつけてきたのだった。
「ジョジョーッ!!」
その声を聞いて、マスカレードが動く。
まるで見られたくないとでも言いたげに、やつは茂みの中に姿を消したのだった。
うーむ、謎めいた男だ。
というか露骨に、青菅の近縁のものと関係があって、顔見知りだから正体バレそうで逃げたんじゃないだろうな……?
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




