第169話 響強化計画!
赤佐が最近、猛烈にモーション掛けてくるんだが?
響は何やってんの!
と思って、応援団での大会行脚中に聞いてみた。
「その……相手と向かい合った時に、殴られたら痛いだろうなって気にしちゃってこっちから手は出せなくて」
「なにぃー」
眠たいことを言っているではないか!
今が平和な時代で、ここがNTRのメッカでなければその考え方もありだろう。
だが!
ときめき学園はNTR戦国時代!!
「お前このままでは赤佐を奪われて終わるぞ。NTR再びだ」
「な、なんだってー!!」
「響、お前俺が救ったことで、今の立場にあぐらをかいていただろう。いいか? 恋愛とは戦争だ。常に横からかっさらおうと猛禽類の類が狙っている。お前の女を守れるのはお前しかいない」
「ううう、ぼ、僕はどうしたらいいんだ……」
「お前の中に住んでいる仏をいったん殺そう」
「えっ!?」
「バトル修業をすると言っているのだ! 打撃や投げは筋力が必要になる。今から鍛えたところで、付け焼き刃では無理だ。だが響、お前にはクレバーさと真面目さがある。関節だ。関節技を教える!!」
「な、なんだってー!!」
そういうことになった。
応援団としての仕事が終わった後、自由行動となる。
ときめき学園は何やら、意味が分からん内に野球部が県大会を優勝して甲子園出場していたので、大阪で特訓だ!!
「凄くね!? うちの野球部凄くね!?」
「イワザルが興奮しているが、俺は野球のことは全く分からん!! よしやるぞ響! 俺が見たところ、赤佐は純真でうぶな女子のようでナチュラルボーンサキュバスの才能を持っている。間男と接触したことで、その才能が開花しかけているんだ。このまま放っておけば、彼女は男をとっかえひっかえしながら破滅の沼を突き進んでいく人生になるぞ!!」
「そ、そんな! 真美奈はそんな人生を生きていい人じゃない! 僕が……僕が救って見せる!」
「よし! では彼女を守るための力として、関節技を授ける! こうだ! こう! こう!」
「ぐわあああああああ」
「ジョジョ! 響君が死ぬって!」
「技を掛けながら原理を教えている! そして逃れようとする人間の動きはこう! 覚えたか? 掛けてみろ!」
「こ、こうか……!」
「こう! こう!」
「ぐわああああ」
ホテルにあったトレーニングルームにて、関節技練習などをしていたのだが。
竹刀袋を背負った男が通りかかり、
「何をしている? ああ、レスリング部か」
とか呟いて立ち去ったのだった。
理解が速いな。
……誰だ?
剣道部が大阪に用があるわけがない。
年格好は俺達くらいだった。
謎の男だな。
だが、纏う雰囲気からは間男のそれを感じなかった。
どちらかというとこちら側のような……。
こうして楽しい特訓は終わり、ストレッチ、シャワーの後、俺達はぐっすりと眠ったのだった。
結局甲子園は二回戦で敗れ、帰還することになった。
「甲子園二回戦! すげえよ……すげえよ……!! 野球部、本当に頑張った! 感動した!! 最高の夏をありがとー!!」
イワザルがずーっと興奮しているのだ。
「そんなに凄かったのか」
「凄いなんてもんじゃねえよ! いいか? 全国高校野球の頂点だぞ!? その第二回戦まで進んだんだ! つまり日本全国でもトップ25の中に入ったってことだよ! とんでもねえ事だよこれは……」
「そうか……。良かったなイワザル! 応援団やって良かったな!」
「ああ、ああ……!」
球児たちは男泣きに泣いていたのだった。
結局、昨夜見かけた竹刀袋の男には遭遇しなかったな。
あいつらは高校球児に紛れて同じホテルに宿泊していたようだが、何者だったのだろうか?
そして電車の中で、関節技の理論を響にレクチャーする。
隣に座っている赤佐はずっときょとんとしている。
お前を守るために、響を鍛えているんだぞ。
この夏の間に、飛びつき腕十字、飛びつき膝十字で一瞬で相手の関節を破壊できる男に育て上げてやるからな。
「女というものは欲張りなものだ。知力と将来性だけでは足らず、暴力性まで欲するとは……。響、もっともっと強くなろうな!」
「が、頑張るよ!! 全て真美奈のためなんだ!」
帰還後も、響強化プロジェクトは続く。
市民体育館の武道場をレンタルし、響と日々の特訓だ。
「いいぞ響! かなり動きにキレが出てきた! そうだな……レベルで言うなら40レベルくらいに上がった。今のお前なら心の中の仏が顔を出す前に、自動的に体が動いて相手の関節を破壊する。その寸前で理性を働かせて再起不能にならないようにだけ注意してやるんだぞ」
「よく分からないよ!」
お前がパルメディアに転移したら、下位の使徒なら素手で封殺できる次元に達したと言っているのだ。
最強の優等生誕生だ。
もうラレ男とは呼ばせない。
こうして夏休み終盤に一応の完成を見た響。
赤佐とネズミーランドまでデートに行ったらしい。
そこで間男系のチャラ男に絡まれたらしいが……。
「相手のことを思うより先に体が動いてたよ。相手が放ったパンチに一瞬で飛びついて相手の腕を極めて地面に転がしてた。折ると後々可愛そうだから、ギリギリで理性を取り戻して脱臼させるだけにしておいたよ」
「慈悲の心だなあ」
「あっくん強くなってました! 素敵でした……」
その時のことをうっとりしながら思い出す赤佐。
おお、暴力性にも惹かれてしまうどうしようもなく女な赤佐よ。
これで俺に粉掛けに来るのをやめてくれればいいのだが……。
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