第167話 もう一人のネトラレブレイカー!?
その後、海を大いに楽しんだ。
厚木先生がビーチバレーに参戦し、相方は赤佐。
その場に大量の男子たちが並び、二人がアクションする度に大歓声が上がったのだった。
うーむ、揺れるなんてものじゃない。
こぼれないのは奇跡みたいな二人だな。
あまりに興奮しすぎて、男子が十人ばかりぶっ倒れて海の家に運ばれていく。
セクシーも極めれば危険な武器となるのだ!
「現役の教え子たちにはまだまだ負けないぞ! たあーっ!!」
「あひーっ! 厚木先生のスパイクが重いーっ!!」
「すっごいパワー!」
長身の女子バレー部たちも華があるのだが、相手が悪い。
赤佐もかなり動けるのだ!
「はいっ!」
バレー部のサーブを、スパイクを、拾う! 拾って拾って拾いまくる!
それがトス代わりになり、厚木先生がガンガン相手のコートに打ち込んでいく!
強い……。
赤佐は背丈はそこまででもないが、拾う技に特化しているから問題ないのだ!
そしてコートを走り回るほど、大変揺れる。
男子たち大歓声。
「とあーっ!!」
厚木先生のスパイク!
揺れる!
男子大歓声!
興奮しすぎてぶっ倒れる男たち!!
またか!!
「恐ろしい世界だな……」
「はわわわわ、男の人たちが倒れていきます……」
「厚木先生すごいねー! あたしらより全然すごいや」
「真美奈も、あんなに動けるなんて……」
「真美奈は元々、中学でバスケ部だったんだ。ポイントガードをしてて、ドリブルする相手からボールを奪うのがとても上手かったんだよね」
慌てる黒須、感心する青菅、驚く黄瀬、そして赤佐の秘密を教えてくれる響。
なお、ミザルとイワザルは大興奮。
純真な彼らは途中で鼻血を吹いたので、退場していった。
残る小原くんはもう、最初から最後までボルテージマックスで叫びまくりである。
いい思い出になっただろうか。
結局、バレー部が勝利した。
だがその戦いを見た者たちの心には、勝敗以外のもっと大切なものが生まれたようだ。
満場の拍手が巻き起こったのだった。
「いやあ……年甲斐もなく張り切ってしまった! 今夜は筋肉痛だな!」
爽やかに笑う厚木先生と、「久しぶりのスポーツでした。でも、やっぱり楽しいですね」余裕っぽい赤佐。
何気にポテンシャルが高い女なのではないだろうか。
こうして楽しい海のイベントは終わり……。
今日という日が暮れていくのだ。
厚木先生は夕日を俺達と見たかったらしく、同じ宿泊所で夕食を終えた後、花火に誘いに来たのだった。
俺と女子たち、三猿、響と小原くん。
そしてオカ研。
みんなで花火をして……合宿の合間にある休日を楽しんだ。
いやあ、実にいい休日だった。
ここから残り三日間合宿があり、そして本格的な夏休みだ。
※
好色三兄弟最後の生き残りは、焦っていた。
兄弟二人を失い、さらにはただ一人もNTRすることなく夏を終えようとしているからだ。
「くそっ、くそっ、くそーっ!! このままでは……あいつが俺を処しに来る! そんなのはゴメンだ! ボブの手で殺されるのは!!」
己が中途半端な使徒であることは良く分かっている。
だからこそ、三人で義兄弟の契りを交わしてチームで行動していたのだ。
だが、美女に美少女揃いの海とあれば、男たちは理性を失う。
好色三兄弟もまた例外ではなかった。
いや、好色三兄弟だからこそであろう。
個別行動をし、各個撃破をされてしまったのだ!
「何か……何か成果を挙げなくては……! 死んだあいつらの分も俺が……!」
ときめき学園に力を与えられた使徒は、比較的自由に活動することを許されている。
だが、無能はその限りではない。
最後の好色三兄弟は、その無能にカウントされたのである。
故に、彼らを消すために四天王、地のボブが来た。
やつから粛清される前に、誰か女をNTRせねば……!
「いた……いたーっ! 一人でトボトボと道を帰る女が! あいつをモノにして、せめてあのお方への申開きの材料に……!!」
間男が走る!
使徒となった彼の身体能力は、人間のそれを大きく超えている。
並の人間では反応すらできないはずだ。
彼は手を伸ばし、夕暮れの道を一人歩く少女をその毒牙に掛けようとした。
だがその時。
「ハアーッ!!」
気合が込められた声とともに、何かが一閃される!
「な、なにっ!? ウグワーッ!!」
腕を激しく打たれて、使徒はつんのめった。
自らの速度を殺しきれず、道から横の芝生に飛び込み、ゴロゴロ転がる。
「ひ、ひぃーっ!?」
狙っていた女子生徒が悲鳴を上げている。
しまった、気付かれた!
だが、どうしてだ!? 今自分に何が起こった!?
間男は混乱する。
そして気付いた。
夕日に赤く照らされた芝生の上で、間男と少女を隔てるように、一人の男が立っている。
その男は……お面を被っていた。
縁日で買える、安っぽいお面である。
しかも、数世代前に終わった古いヒーローのお面だ。
「早く逃げろ。こいつは俺に任せてな」
お面を被った男が、少女に告げる。
「は、は、はいっ! もしかしてあなた……噂のネトラレブレイカー……?」
少女は、どうやら放送部の配信を見ていたらしい。
そこでインタビューされていた、間男を滅ぼすという最新の七不思議、ネトラレブレイカー。
お面の男は、それと同じ雰囲気をまとっているように見えた。
「ネトラレブレイカー? いや俺は……。 ……面白い。それを名乗ろう。聞け。俺の名は……ネトラレブレイカー・マスカレード!」
男は身構える。
その手には、お土産用の木刀が握られていた。
「お前っ……お前ーっ!! 何者だ! 我々に……! あのお方に力を与えられた我々に逆らうなどと! 命が幾つあっても足りないと思えーっ!!」
相手がただの人間だと察した間男は立ち上がる。
そして、人間離れした猛烈な速度でお面の男……ネトラレブレイカー・マスカレードに駆け寄る!
腕を振るおうとして気付いた。
折れている!!
あの木刀で、使徒である自分の腕を叩き折ったのか!?
使徒は身体能力のみならず、肉体の頑強さも人間を超越している。
それをただの木刀で破壊する。
超人の剣と言える技量や威力がなければ不可能なことだ。
「ええい、そんなわけが……!」
一瞬の逡巡だった。
故に、間男は致命の一撃に反応することすらできなかった。
「ハアーッ!!」
横薙ぎに放たれた木刀が、間男の頭部を捉える!
「ウグワーッ!?」
木刀が一瞬だけ拮抗し、すぐに間男の首の強度に打ち勝った。
間男の首が飛ぶ!
「バカな! こんなバカな! 俺は、俺はこんな、ここでーっ!!」
間男は絶叫しながら、空中で頭部が、芝生の上で肉体が爆散した。
「間男・即・斬!!」
ネトラレブレイカー・マスカレード。
そう名乗った男は、夕闇の中に消えていく。
「か……かっこいい……」
少女は呆然と呟いた。
かくして、二人目のネトラレブレイカーが学園に現れた。
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