第163話 邂逅、最強の四天王残り二人!
「オー! トテモコワイ視線デスネー」
岩場から現れた黒人のマッチョは、そう言うと黒いビキニパンツを直してから肩をすくめた。
こいつ、岩陰でまさにNTRをしてやがったな?
「使徒だな?」
「イエス。ユーは、彼がイッテイタ、エネミーデスネ? ミステリアス・マスクマン」
「そうだ。ここでやるか? いや、人が多すぎるか」
「ヤメテオキマショウ。ミーは分の悪いバトルはシマセーン」
マッチョは真っ白な歯を見せて笑う。
「ユーとのデュエルはスクールにリターンしてからになるデショウ。ファイアとウィンドをスレイしたユーがバトルするのは、ミー……。ボブ・ランドマークと、Mr.ウォーターデース」
「あと一人……ということは、お前は上位使徒ということか。なるほどな。確かに存在感が違う……」
「おーいボブ。お前さん、いつまで油売ってんだ」
「オー、Mr.ウォーター! HAHAHA! ソーリー! ツイツイステディとパーリナイシテシマイマシタ! ステディはロックのリバースでヘブンデース!」
「お前さん、手加減してやれよ? 使い物にならなくなったらもったいないんだからよ」
アロハシャツのおっさんがやって来た。
ガニ股で、手には一升瓶をぶら下げている。
だが……俺はこいつを見た瞬間に総毛立った。
「今まで見てきた中で、最強の使徒だ……!」
「おう……。あんたがぁ……あの人の言ってた敵……ネトラレブレイカーかい」
おっさんはにやりと笑った。
その身のこなしは自然体のようで隙がない。
「こりゃ、俺とボブが出てこなきゃならなくなるわけだ。この俺だって、喰われかねねぇ。冗談きついぜ。俺は可愛い子ちゃんをゲットして食うのは好きだが、野郎に興味なんざねえんだよな。だが、あんたを無視してたら俺がゲッチューできなくなっちまう」
おっさんはボブの背中を叩くと、
「行くぜボブ。ここでおっ始めるのは無理だ。これだけの数の生徒にゃ、暗示が届かねえよ。俺たちの存在が明らかになったら、あの人も困るだろう」
「オーケー、ウォーター! デハ、ネトラレブレイカー! シーユーネクスターイム!」
ボブとおっさんが去っていく。
うーむ!
「二人とも恐ろしいほどの使い手ですねミノリー」
「ああ。一人で二人を相手にすると、俺も負けるだろう。各個撃破の必要がある。まさかあれほど強大な使徒がいるとはな……」
「あら? 用務員の水先さんじゃないか」
「なにっ、四天王最強の男は用務員だったのか!」
「それと留学生のボブくんだろう? 城之内は顔が広いんだな」
厚木先生に感心されてしまった。
なるほど……。
上位使徒はどうやら四天王だったらしく、残り二名はまさに間男の王道にして金字塔。
マッチョスキンヘッドな黒人留学生のボブ・ランドマークと、用務員にして学園の隅から隅までを知り尽くす男、水先妖二郎である。
これは強いに決まっているのだ。
今の俺が戦うには、少々分が悪かろう。
そろそろパワーアップイベントを起こさねばなるまい。
「パワーアップと言いますが、勇者には何かあてがあるのですかミノリー?」
「アドベンチャーゲームに出てくる、何か色々知ってそうなキャラを探すんだ。そいつは例えば、一周目はバッドエンドしか起こり得ないNTRゲームで二周目以降の世界を認識していたり、重要なヒントをくれたりするわけだ」
「ほうほう、深いですねミノリー。でもそんな、重要な人物っぽいのにNTRに絡んでいない人がいるのですかミノリー?」
「そうだなあ……。大体NTRされる女かラレ男で、他は三猿と……」
「あとはボディビルダーですねミノリー」
ボディビルダー……!?
権田原先生か!?
そう言えば彼は、この世界に登場した男性の中で、唯一NTRは無縁の状況に身を置いている!
まさか……彼こそがこの世界における重要人物だと言うのか!?
「城之内、そこでぼーっとしているのは時間がもったいないぞ! 先生はこれからちょっと泳ぎに行く! 城之内も来るか? なんだ黒須はパラソルで先輩と二人でいるなんて不健康だぞ! お前も来い!」
「ひぃー」
あっ!
黒須が厚木先生に連れられて海に!
ただでさえ大量の間男で危険な海に、NTRを引き寄せる属性の塊たる厚木先生は危険である!
俺が守護せねばな……。
思考を切り替える俺なのだった。
パラソルは……メガネ先輩が一人で荷物を見てくれるわけか。
不思議とあの人はNTRを寄せ付けぬ謎の気配がするんだよな……。
「うむ、ここは拙者に任せて青春してくるのだ、若人よ」
「あんた俺より一つ歳上なだけだろうが」
相変わらず謎な女だ。
さて、厚木先生が海に入っていくと、周囲にいる男たちの注目を浴びることとなる。
そりゃああの凄まじいプロポーションにマイクロビキニである。
目立たないほうがおかしい。
この学校の教師はどうなってるんだ!!
「ひ、ひぃぃ、私まで注目されているようで……ああ、居づらい……」
黒須がもじもじしている。
彼女を陽光から守るものもないからな。
かろうじて、レンタルしてきた浮き輪を纏い、視線をガードしている状態のようだ。
「よし、泳ぐんだな? 浮き輪ということは泳げまい。俺が教えてやろう」
俺は黒須の手を取って海に連れて行った。
彼女はすぐ浮き輪に全体重を任せ、俺に引っ張られるままになる。
「サボるんじゃない! バタ足とかする努力をするのだ」
「そ、そんなぁ~」
「ははは。オカルト研究会はいつも屋内に閉じこもっているからな。だが、今回は城之内がお前たちを連れ出したんだろう? いいことだ。せっかくの合宿なのだから、存分に楽しんでいくといい。高校二年生の夏は、今しかないんだからな! そーれ!」
厚木先生が泳ぎだした。
素晴らしいクロールである。
さすがは体育教師……!
そして俺は黒須を引っ張りつつ、周囲を警戒することになるのである。
絶対に、ここでラッキースケベを狙う間男が襲ってくるだろうからな……!!
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