第159話 野球を見ながら弁当を食うぞ!
「では、俺はここで!」
「おうミザル! 海水浴場偵察中に呼んで悪かったな」
「なんのなんの。さっさと終わったから、全然時間があるぜ! ってか、ジョジョとみんなが協力して、すげえバトルだったなあ……!」
しみじみ呟きながら、ミザルは去っていったのだった。
その後、俺は応援団として練習試合の応援に参加。
完全に意気投合したチアや吹奏楽部とともに、大いに試合を盛り上げたのだった。
「あー、本当に野球っていいものだなあ……」
イワザルと仲良しのおっさんが実に嬉しそうだ。
NTRを爆砕することだけしか考えてこなかった俺だが、こうやって見知った者たちが幸せを感じているのは良いものである。
俺にも人間の心が残っていたらしい。
「勇者は勇者モードに入ると人間性をまあまあ失いますからねミノリー」
「我ながらカッとなったまま駆け抜けてしまうからな」
吹奏楽部がお昼の仕出し弁当を頼んでいたらしく、これを分けてもらうことになった。
うむ、陽光の下で食べる弁当が美味い。
明太子弁当だった。
明太子の他に、揚げ物の魚とかかまぼことか卵焼きが入っている。
ゴージャスである。
「城之内くんはさ、私のこと守ってくれたでしょ」
同じ弁当を食べて、お茶をぐびぐびやりながら黄瀬が口を開く。
健啖な女だな。
黒須なんぞちびちび食べてて、明らかに食べきれなそうだぞ。
なに、ちびちび食べながら全部食べきるタイプなのか?
「城之内くん!」
「あ、おう。まあそんなもんだ。お前には今、決まった相手はいないんだろうが、それでも見知った女が外道に堕とされるのは見ていられないからな」
「それであの空中戦を……! 本当に君って、七不思議のマスクマンだったんだねえ……」
「あれぇーっ!? なんか黄瀬さんとジョジョ、仲が良くなってない!? ちょっとちょっとー! あたしが! あたしが先にそこのポジションにいましたー!」
「青菅は常に元気過ぎる。出会った頃が一番しおらしかった」
「ジョジョってそういう女子が好みなの!? 前時代的! 今は女子もグイグイ前に来る時代だからね!」
いや、別にグイグイくる女子が苦手なわけではないぞ!
わあわあやっている内に、黄瀬が言ってた話も曖昧なまま終わってしまった。
なお、離れたところでは、響と赤佐が仲良くお弁当を食べているのだった。
なんだかんだ、俺が一番最初にNTRブレイクをしたあいつらが上手く行っているのはいいことである。
例えばNTRゲームでは、間男の無駄に大きなお大事さんによって女子が分からせられ、サイズ感では遥かに劣るラレ男彼氏のサムシングでは満足できなくなり、自ら間男の元に戻っていく展開が多い。
だが常識で考えて欲しい。
そんなことある?
これは即ち、NTR時空でNTR的な暗示で操られているから、誰もがNTR思考になってこういう悲劇が発生するのである!
暗示を行う間男を爆砕し、NTR時空を解除してしまえば現実世界と同じようになるのだ。
つまり、お大事様が大きいということは、あくまでお大事様が大きいだけということになる。
男の間では羨望の的だが、女にとってはデカすぎるのは勘弁して欲しいになるわけである!
「という事を俺は突き止めたのだ」
「相変わらず勇者は妙なことばかり考えていますねミノリー。大きいことは別にいいことではありませんからねミノリー。実っている最中に攻撃された時、大きいと攻撃を受けやすいですし行為の中断も難しいため、生存率が低いのですミノリー」
「な、なんだってー!!」
「城之内くんとセレスちゃんがお喋りしてる」
「割とろくでもない会話をしているように思うなあ」
響、それは正しいぞ!
割とどうでもいい話なのだが、セレスが豊穣の女神という立場から見る、お大事様のデカさ良し悪しの話が刺激的なのだ。
「強い戦士は大体そんなに大きくないのですミノリー」
「な、なんだってー!! なるほど、行為の最中でもスポッと抜いてすぐさま応戦できるから、暗殺されずに血を継ぐことができたわけか……」
これはNTR時空に一石を投じる新たな見解と言えよう。
野球部も昼飯が終わったらしく、腹ごなしにキャッチボールを始めた。
食休み中もキャッチボールとは……やるな。
「そう言えば、パルメディアではダイオンはかなりデカかったようだが」
「あの世界はおかしくなっていましたねミノリー。ですがジョンはそんなでもないサイズですがダイオンと互角の強さになりましたミノリー。あれはたまたまですミノリー」
「豊穣の女神が次々にNTR世界のセオリーを破壊していく……!!」
午後の試合が始まり、またみんなでわあわあと応援した。
本日は間男と間女が倒され、応援団としても仕事をし、さらにはチアリーダー部や吹奏楽部とも仲良くなれた。
実に有意義な一日だったではないか!
「ジョジョ、暇があれば一日中セレスさんと不思議な話ししてるんだもん!」
「そりゃあ、俺の手が空いたら黄瀬とか青菅が話しかけてくるからだろう。俺は色恋関係はやらんぞ!! 夕食が終わったら黒須に付き合ってオカルト探しだからな? ついてくるなよ? 絶対ついてくるなよ?」
「そう言われたらついていくに決まってるじゃーん!」
「あっ、私思いついた! 今日は城之内くんと聖美についていって、オカルトは本当にあるのか? っていう配信はどうかなあ」
「ひ、ひぃ~! 神聖なオカルト探索の時間が、リア充の遊びに変わってしまいますぅ~!」
黒須の悲鳴が響き渡るのだった。
なお、後で俺達応援団の活動を知った厚木先生は、大層喜んでいらっしゃったようである。
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