第154話 三日目の朝!
夜は!
何もなかったぞ!!
「ああ~残念です……」
がっくりうなだれる黒須をオカ研の宿泊所に送り届けた後、俺は帰還。
多少疲れていたようで、泥のように眠った。
夢も見なかった。
「どうやら使徒との二連戦で疲労していたようだな……」
「この世界の使徒は、個々の戦闘力にレベルが関係しなければパルメディアよりも強力なようですミノリー。明らかに雑魚使徒と呼べる存在がいませんねミノリー」
「つまり、ここの黒幕は超越者以上に粒ぞろいな部下を揃えているというわけか……」
特に、上位使徒である熱波師の出現は脅威である。
早急に対策を立てねばならない。
朝飯の席で、セレスと角を突き合わせて会議を行った。
セレスもどんどんチンチラから女神としての知性を取り戻していっていて、そろそろ人化するんじゃないだろうか。
まだチンチラのまま?
「人になる気配は今のところないですねミノリー。そもそも私が人になったら勇者が住んでいるおうちに説明が難しいのでは」
「言われてみればそうである」
城之内家というものがあるからな。
ということで、しばらくはチンチラのままでいてもらおうということになった。
「ジョジョ、今日は野球部だろ? 案内するぜ!」
大変テンションが高いイワザル。
二日間も野球部に張り付いてたもんな。
「俺は明日行くであろう海水浴場を調べてくる。気が早い連中がそこを利用して遊んでるらしいからな」
「頼むぞミザル! サングラスしてるお前は海水浴場調査にうってつけだ」
何がうってつけなのかは、自分で言っててよく分からないが。
なんか日差しに強そうではないか。
なお、キカザルは本日ぐったりしている。
「ジョジョ……本当にすげえなあ、あんた。あんな化け物どもとずっと戦い続けてるんだな……」
「ああ。お前はよりによって、上位使徒と遭遇してしまったからな。敵対して生き残っただけで万々歳だぞ。以後は俺が戦闘を担当するからな」
「ああ、頼む。ありゃ人間じゃねえ。入田は怪物になってたが、まだどうにかなりそうなところはあった。だが、あの熱波師は無理だ。人間にゃどうにもできねえ……!」
「怖気づいたか?」
「正直言うと怖え。だが、あんな奴が学園に巣食い、悪さをしてるんだろ? で、ジョジョならあいつらを倒せる。だったら俺は、てめえにできることをしてあいつらと戦うぜ!」
「よし! これからも頼むぞ、キカザル!」
がしっと握手を交わす俺とキカザルであった。
なお、俺のタフさの理由を聞かれたのだが、なんか元々物凄く打たれ強いのと、異常に回復が早いのと、そして間男絶対爆砕すべし、という俺の極めて高いモチベーションの三本柱によるものだとしか考えられなかった。
「俺はどうも一晩寝て完全回復したっぽいから気にしなくていいぞ」
「ジョジョはタフ過ぎる……」
なんかキカザルから尊敬の目で見られてしまった。
ということで。
本日はイワザルと行動だ。
野球部の練習場は、ズバリ野球場。
青少年の家でも最も広い敷地を持つ、スポーツ施設である。
観客席まであり、実際に試合が行われたりもするのだ。
「野球部ばかり異常に手厚い学校とかあるよな」
俺の言葉に、イワザルは頷いた。
「うちの親父もだけどよ。日本人は野球が好きな奴が多いんだよ。特に年を食った奴らに多いんだ。で、そいつらが金を出すじゃん? 高校野球に金が流れるわけだ」
「ほーん。それで野球部が特別扱いなのかあ」
「まあ、それだけじゃないけれどね。でも、ときめき学園では野球部はあくまで、運動部の一つという扱いに過ぎないんだよね」
突然聞こえてくる女の声!
誰だ!?
いや、このアルファ波が出てそうな声には聞き覚えがある。
生身のセレスとは違ったタイプのアルファ波だ。
セレスがおしとやかだったり、内に激しいものを秘めた優しい女性を演じるタイプの声優っぽい声だとすると……。
この声は汎用性の高いヒロイン声!!
ワンシーズンに複数作品でヒロインを務めるような売れっ子っぽい声だ。
「黄瀬翔子……!」
「正解。私だよー」
「そ、そして私です」
「黒須~。お前昨日、一日中俺に付き合って動き回ってたのに今日も朝からついてくるの? すごい体力だな……」
「オ、オカルトは体力ですから……フヒヒ」
「聖美って、昨年の女子マラソン大会の覇者だからね」
「なにぃーっ!?」
黄瀬から飛び込んでくるとんでもない情報!!
というか、名前呼びをするような仲だったのか。
あ、同じクラスなのね。
「オカルトは体力ですから……フヒヒ」
本当にそうなんだなあ……。
なお、黒須聖美は昨年度、アフリカから留学してきたマラソン特待生を抑えてトップ。
当然のように陸上部からスカウトが来たが、常に気配を消しており、発見が困難を極める黒須はそれから逃げ切ったらしい。
オリジナル城之内も昨年のそういう話を知っているのかも知れないなあ。
「ではこの四人で本日は挑むわけだな」
「私楽しみなんだよね! ネトラレブレイカーの実力とやら、見せてもらおうじゃないの!」
「どこまで知っている?」
「ご、ごめんなさあい。私が話しちゃいました……。翔子は秘密は絶対守るって言うから……」
そうかあー。
まあ、黒須の数少ない友達の一人なら仕方ないか。
「いいか? 何か危ないことがあったらすぐに避難しろよ? 荒事が始まったとき、迂闊に近寄ると死ぬからな?」
「はーい! でもそういうのを取材するのもジャーナリズムですから!」
にんまり笑う黄瀬なのだった。
放送部じゃなかったのか!?
こいつ、他のヒロインたちとまた毛色が違うぞ……!
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